千種区池下の歯医者 阿部歯科 副院長の阿部利晴によるブログで、アメリカの歯科医療についての事情等を載せています。

東山線「池下駅」徒歩5分 「今池駅」徒歩6分 仲田銀座商店街 広小路通沿い ホカホカ弁当近くの歯医者
診療案内
副院長ブログ

当院副院長からのお知らせ、出来事のご紹介です。

口腔外科の最近のブログ記事

こんにちは、千種区の歯医者の阿部歯科です。舌をまじまじと見ることは少ないと思いますが思いもかけずに鏡で舌を見たときに舌に色が付いている事に気がつく事があります。そんな舌の着色の中でも今回は黒毛舌というという状態についてお話をしようと思います。

舌の色が変わった

通常の舌はやや白っぽいピンク色をしていますが人によって舌に色が付いてしまう事があります。舌の色が変わる場合でも黒っぽく変わる事がありこれは黒毛舌と呼ばれます。色の元の多くは細菌や真菌が産生する黒色色素からきており、この黒色色素が舌に存在するデコボコの舌乳頭という組織の間に着色してしまっている状態です。舌をよく見ると舌の表面にはツブツブしたものが付いていますがこれが舌乳頭と呼ばれる組織で正常な舌はツルツルではなく舌乳頭によってデコボコしています。

どうして黒色色素が着色したのか

黒色色素は空気を嫌う嫌気性細菌や真菌の一部が産生しますが、歯周病菌で有名なP. gingivalisも黒色色素を産生する能力があります。通常の舌では舌が黒くなかったのに急に黒くなる理由は口腔内の細菌の構成が変わった可能性があります。通常ではそれほど多くなかった黒色色素産生能力のある細菌や真菌が抗菌薬の長期投与や免疫機能の変化、口腔内清掃状態不良など様々な理由で増殖したために口腔内の細菌の構成バランスが崩れて、菌交代現象という現象が起きた可能性があります。

黒毛舌は 治るのか?

まずは黒毛舌はいつから黒色になっているのかという事を確認する必要があります。舌の色の変化には黒毛舌とは別に注意が必要な病気も存在するため、その黒色が黒毛舌によるものなのかという事を確認しなければいけません。それは黒色の広がり方や舌の表面の性状など複数の項目を確認していかなければいけません。黒毛舌による着色と分かれば体調不良による免疫機能の低下が落ち着いたり、抗菌薬(抗生物質など)の投与が終われば菌交代現象によって崩れていた口腔内の細菌バランスが元に戻り細菌叢(フローラ)と呼ばれる口の中の細菌の分布が通常通りになる事で黒色が解消されてきます。ただし、長期間にわたって舌の着色が続いていた場合は口腔内の細菌バランスが固定されてきていて舌の着色がつくような細菌叢がその人の通常の口腔内細菌バランスとなってしまった場合は舌の着色は続いてしまう場合があります。

急激な菌交代現象による着色の場合は1週間単位で舌の色が変わったり戻ったりする事もあるので舌の色が気になった場合は色の変化がどのように変わってきているのかという事は少し注意してみるといいかもしれません

黒毛舌.jpg

 

親知らずの抜歯といえば抜くのが大変というイメージがあるかもしれませんが、下の親知らずを抜く場合に歯が横に寝ていて歯茎に埋まっている場合は歯茎の一部を切ったり骨を削ったり、歯そのものをバラバラに分割して抜いてくる場合もあります。しかしながら親知らずを抜く場合にわざと根の先端を残して根の一部は抜かないこともあるという場合もある事をご存知でしょうか?

 上の親知らずで歯の根を残す場合

通常は上の親知らずの場合は基本的に歯の根の一部を残す事はありません。しかしながら時々歯の根の先端が大きく曲がり抜くときに歯の根の先端が折れる事があります。この時に歯の根の先端に感染がなくかつ根の先端が上顎にある上顎洞という空間に非常に近い場合はそれ以上抜くことを追求しない場合があります。これは残された歯の根の先端を抜こうと器具に力を入れた際に残された根の先端を上顎洞に押し込んでしまう可能性があるからです。通常、感染のない歯の根の先端が骨内に残されると時間の経過とともに歯の根が骨と結合して骨の代謝とともに吸収されていくからです。このように残された歯の根の先端を抜こうとする方がリスクが高くなる場合はあえて感染のしていない歯の根を残して自然に吸収されるのを待つ場合があります

 下の親知らずで歯の根を残す場合

この場合には上の親知らずと同様に歯の根の形態の問題で折れてしまった根の先端を残す場合とわざと歯の根と歯の頭の部分を分割して歯の根を残す場合があります。

歯の根の形態が問題で折れてしまった歯の根の先端を残す場合があるのは、歯の根が感染しておらず、かつ根の先端が顎の中を通る下歯槽神経の通る下歯槽管という空間に非常に近接している場合です。この時に残された歯の根を抜こうと力を込めてしまうと根に先端を下歯槽管に押し込んでしまい下歯槽神経を傷つけてしまう事があるためリスクを考えた上であえて抜かずに自然に吸収されるのを待つ場合があります。

 

それとは別に歯の頭と根を分割して根の部分だけを残す場合もあります。これはコロネクトミーという方法で親知らずの根の先端が下歯槽管に元々突き抜けていたり歯の根がガッチリと下歯槽神経を抱え込んでしまっている場合に行われる事があります。これらの場合は抜く前の状態ですでに親知らずの根の部分を抜く事で物理的に下歯槽神経を傷つけてしまう事が予想されるため、あえて歯の頭の部分だけを抜き、根の部分は残して下歯槽神経にダメージを与えないようにする方法です。この根だけを残してしばらくすると残された歯の根が段々と移動してきて数年後に下歯槽神経から離れてくる場合もあるのでその時に改めて残した歯の根を抜くようにする場合もあります。

コロネクトミー.jpg

☆☆☆ 口腔外科・歯周病治療・審美歯科は千種区池下の阿部歯科へ ☆☆☆

歯科治療を受けている患者さんの中で時々気持ちが悪くなったり体調が悪くなる患者さんがいます。その症状は軽微なものから重篤なものまで様々に分かれます。そこで今回は比較的歯科治療中に起きやすいものから起きることは非常に少ないものの注意する必要のあるものに関してお話をしようと思います。

迷走神経反射

歯科治療の際に比較的起きやすいものが迷走神経反射です。局所麻酔薬の際に比較的起きやすく、治療に不安を抱えていたりする患者さんに不用意に気にせず注射針をブスッと刺すと起きる場合があります。口腔内には三叉神経と呼ばれる神経が広く分布しておりこの神経に対して注射針を不用意に刺すなどの強い刺激を加えると三叉の求心性の刺激を介して迷走神経が刺激される事があります。迷走神経が刺激される事で様々な副交感神経の働きが起きて血圧の低下や虚脱感などを感じて気分の悪さを訴えます。三叉神経の求心性の刺激に刺激されて迷走神経が遠心性に反応する事から三叉迷走神経反射とも呼ばれます。

過換気症候群

過換気症候群も歯科治療に極度に不安を感じていたり恐怖心を抱いてる人に起きる事があります。この症状の本態は通常の呼吸回数よりも緊張によって呼吸回数が多くなる過呼吸という状態に基づきます。この過呼吸が血中の酸素二酸化炭素の交換を過剰に起こし血中の酸塩基平衡が崩れてアルカリ性に傾き呼吸性アルカローシスを引き起こします。呼吸性アルカローシスを起こす事で初期症状として指先のしびれを感じ始めますので過換気症候群ではこの指先のしびれのサインと過呼吸による胸郭の素早い上下の動きを見逃してはいけないのです。

アレルギー症状

アレルギー症状では麻酔薬などの注入による即時型アレルギーの症状のサインを見逃してはいけません。アレルギーは炎症反応によりものなので免疫機構による浮腫、腫脹、発赤などのサインを見逃さずに診断する必要が出てきます。重篤なものではショックへと移行するので素早い判断と鑑別診断が必要となる状態の1つです。アレルギー症状に付随するショックではアナフィラキシーショックに注意が必要であり、アナフィラキシーショックの症状とその他の三叉迷走神経反射や過換気症候群との症状の違いを完全に理解している事が必要となります。

 

この他にも中毒症状やてんかんなど様々な要因によって起きる症状があるので歯科治療の際の思わぬ症状にはその作用機序と発生機構を理解して素早い鑑別診断と適切な対処が必要となってくるのです。

歯科で注意するデンタルショック.jpg

※※※ 名古屋市千種区池下の歯医者の阿部歯科では患者さんの歯科治療や治療に関連する色々な疑問に関しても情報をお届けしています ※※※

 

病院や歯科医院で飲み薬の抗菌薬が出される事がありますが、この飲み薬の抗菌薬に関して「飲んでどれくらい効いているのか?」と疑問に思った事はありませんか?抗菌薬の効果には真正細菌に対する感受性の範囲である抗菌スペクトルと生物学的利用能であるバイオアベイラビリティが関係しますが今回はこの「生物学的利用能:バイオアベイラビリティ」についてお話をしようと思います。

バイオアベイラビリティ

抗菌薬が機能を発揮するためには抗菌薬が細菌に対して届かないといけません。しかし服薬の場合は抗菌薬が細菌に届くまでに様々な代謝を受けて本来の抗菌薬の構造が変わり本来あった全ての抗菌薬の成分が届くわけではありません。つまり100あった抗菌薬の成分が代謝を受けて一部が失われて50や30になってしまう、これを生物学的利用能:バイオアベイラビリティと呼びます。飲み薬である服薬の際のバイオアベイラビリティは抗菌薬によっておおよそ決まっています。

初回通過効果

抗菌薬が服薬された後に体に吸収されないと抗菌薬の成分は循環に達する事ができません。この吸収されてから循環に達する際に代謝される過程を初回通過交換と呼びます。代謝は主に肝臓で行われてこれらの代謝やその他の分解などの要因によってバイオアベイラビリティが決定し、どれだけ循環へと達するかが決まってきます。このバイオアベイラビリティに加えて体循環の際による薬剤効果の低下である半減期が細菌感染に対して影響をしていきます。この初回通過を受けない、つまり点滴による抗菌薬の静脈内投与の場合は抗菌薬の成分全てが循環に達するという事ができます。そのため強くて急を要する細菌感染の場合は点滴による抗菌薬の静脈内投与が選択される事があるのです。

新しい薬ほどバイオアベイラビリティが高いわけではない

細菌感染に対する抗菌薬の効果はこれらのバイオアベイラビリティ、抗菌スペクトル、半減期などの複数の要因によって決定されるので新しい抗菌薬ほどバイオアベイラビリティが高いというわけではありません。逆に言えば例え服薬の際のバイオアベイラビリティが100%に近くても抗菌スペクトルから外れていれば効果は非常に薄いという言い方もできます。歯科領域で比較的よく使われるβラクタム系の抗菌薬も新しい世代の抗菌薬よりも古い世代の抗菌薬の方がバイオアベイラビリティが数倍高い事も珍しくありませんが、このバイオアベイラビリティはあくまでも循環に達するかどうかという括りで効能は上に書いたように複合的な要素で決定してきます。

飲み薬として服薬した抗菌薬でも必ずしも飲んだ成分全てが循環に達するわけではなく薬によっては飲んだ成分の20%ほどしか血中に移行しないものもあるのです。

服薬.jpg

千種区の歯医者の阿部歯科では患者さんに役立つ歯科医学知識も分かりやすくお伝えできるよう心がけています。

口の中には小帯と呼ばれるヒダのような部位が存在します。そのヒダには上唇小帯、下唇小帯、頬小帯、舌小帯という種類があります。これらは通常はすべての人が持っています。例えば、鏡を見ながら舌を上にあげると舌の下の面に縦に見える薄い皮のようなものが舌小帯です。これらの小帯と呼ばれる部位は通常であれば問題とならないのですが場合に行っては問題になる事があります。

小帯の異常

舌小帯の帯が大きすぎると舌の動きが制約される場合があります。口を開けた状態で舌を上にあげて舌で上の前歯をさわれないくらいだと舌小帯が強く付着している可能性があります。このような場合は舌の動きが悪く発音に影響を及ぼす事もあります。

上唇小帯は上の前歯の真ん中と唇の内側にあります。この部位は発音には影響しませんが子供の歯の生え変わりの際に問題になる場合があります。上唇小帯がしっかりとできているとその帯が前歯と前歯の間の歯茎に線維として残ってしまいうまく歯と歯の隙間が閉じない場合があります。これは乳歯が永久歯に生え変わって行く段階で問題になる事があり、上の前歯が生えたばかりの頃は真ん中に隙間が空いているのですが他の部位の永久歯の生え変わりに合わせて段々と隙間が閉じてきます。この真ん中の隙間が閉じてくる段階の時に上唇小帯が強く付着していると線維状の筋が邪魔をして前歯の真ん中が空いた状態が残ってしまう事があります。

下唇小帯は上唇小帯とは逆に下の前歯の真ん中と唇の内側に位置しています。上唇小帯が下についた状態なのですが下唇小帯の場合は上唇小帯ほど問題になる事は少ないです。頬小帯は上の両側の奥歯と頬の内側の間に位置していますがこの頬小帯もあまり問題となる事は比較的少ないです。

小帯付着異常の場合はどうするのか

小帯付着異常では上であげたように小帯が通常より発達していたりして強く付着している状態なのですが、生活の上で問題とならない場合は様子を見る場合が多いです。ただし舌小帯や上唇小帯の付着異常のように発音の問題が出てきたり歯の生え変わりの際に隙間が空いてしまう可能性がある場合は問題が起きる前に小帯の一部を外科的に切り取ってしまう事が必要な場合もあります。特に上唇小帯の場合は歯の生え変わりの前に処置をしないと意味がなくなってしまうので上唇小帯の付着異常に対する外科処置は通常は小さいお子さんに対して行われる事が多いです。

このようにあまり聞きなれない口の中にある小帯という組織ですが場合によっては外科的に切除する事も考える必要もあります。

上唇小帯.jpg

☆☆☆ 口腔外科・審美歯科・歯周病のお悩みは千種区池下の歯医者の阿部歯科へ ☆☆☆

 

こんにちは、千種区の歯医者の阿部歯科です。

直近で虚血性心疾患に伴う心筋梗塞の発作のあった患者さんには歯科治療中の不用意な痛みの伴う治療はかなり慎重にならないといけませんが、この治療に伴う歯への痛みが心筋虚血状態の発作に影響する可能性があるということの他に、心臓側の心筋虚血の状態および症状が歯の疼痛を含めた口腔顔面領域の疼痛を引き起こす場合もあると言われています。そこで今回は心筋虚血状態、特に心筋梗塞に伴う歯の痛みという内容でお話をしようと思います心筋虚血状態による歯の痛みの症状は肩や腕などに生じる副産物的な痛みに比べて稀ですが、歯原性ではない歯の疼痛の発生の可能性という意味で心筋梗塞の既往のある患者さんの歯痛への鑑別診断として必要な知識の一つとなります。

心筋虚血の症状が歯の痛みを引き起こす可能性があるのか?

心臓疾患による症状に関連して痛みを感じる可能性のある部位では肩や腕などが有名だと言われていますが、口腔顔面においても心筋梗塞による歯の痛みや顎の痛みの発生が報告されています。心筋梗塞に関連した口腔顔面領域の痛みの発生は6:1で片側よりも両側に起きることが多く6%の患者に口腔顔面領域のみに心筋梗塞の症状に伴って痛みが発生したという報告もあります(Craniofacial pain as the sole symptom of cardiac ischemia: a prospective multicenter study. Kreiner, M. et al. J Am Dent Assoc. 2007)。そのため、解剖学的に離れた歯を含む口腔顔面領域と心筋虚血に伴う心臓の痛みに何らかの関連性がある可能性が指摘されます。心臓疾患、特に心筋虚血に伴う歯の痛みの発生の原因については種々の可能性が考えられています。

なぜ関係ない歯に痛みを感じる可能性があるのか

心臓と口腔顔面の歯という解剖学的に離れた位置にある組織の間に関連痛が発生する機序については様々な仮説が挙げられています。ただ、これらの仮説には議論の余地が多く原因が「これ」と断定されているものがまだありません。交感神経を介して歯痛を発生させるという説もその一つです。他には心臓に分布する迷走神経神経を介して歯の痛みを引き起こしているのではないかとも言われており、迷走神経刺激療法の際に歯痛を訴えるようなケースレポートも紹介されています(Vagus nerve pain referred to the craniofacial region. A case report and literature review with implications for referred cardiac pain.  Myers, D. E. Br Dent J. 2008)。その他には心臓からの求心性の刺激が三叉神経に影響して口腔顔面痛を引き起こす可能性が指摘されています。

このようにメカニズム自体ははっきりしていない部分があるものの心筋虚血の症状が顎や歯の疼痛を引き起こす可能性があるという事も心筋梗塞の既往のある患者さんの歯痛への鑑別診断には大切となってくるのです

歯痛と心疾患.jpg

口の中の頬や舌を噛んで傷口ができたり栄養不足などで口内炎ができたり、口の中には色々な理由で傷口ができる事があります。これらの口の中の傷口ですが時には注意しなければいけないものもあるというお話をしようと思います。

通常の傷口が治る期間

咬傷や口内炎などで口の中にはびらんや潰瘍ができると通常は傷に細菌感染が起きなければおおよそ1から2週間以内には傷が治癒してきます。しかし、糖尿病などの基礎疾患の有無によっては治癒が遅れることもありますが感染が起きていない状況であれば時間が通常より少しかかっても少しずつ治癒していきます。そのような口の中にできた傷がどのような経過で治癒をしていき、感染が起きないように管理する事も大切なのですが中にはいつまでも治らない口の中の傷もあります。

なかなか治らない傷、痛みのない傷には注意が必要

ゆっくりでも治癒する傷とは別にいつまでたっても治らない傷もある場合があります。潰瘍のように粘膜の下の組織がむき出しになっているのに痛みを感じないような傷もありますがこのような傷は注意が必要です。その理由の一つにその傷が悪いできものである口腔内の癌に由来している場合もあるからです。このような口腔癌に付随してできる潰瘍は癌性潰瘍とも呼ばれ抗菌薬による細菌感染への対応やステロイド軟膏での対処では治癒することがありません。癌性潰瘍が存在する場合はその潰瘍の下部に腫瘍細胞の増殖によりシコリを触診で確認できる事があります。そのため基礎疾患がなかったり感染が起きてないのに2週間以上治癒傾向が認められない傷や傷の位置や形がほとんど変わらない場合、無痛性の潰瘍が確認できる場合は注意深く経過を確認する必要があります。治癒の遅れは基礎疾患とも関連するので必ずしも2週間以上治らない傷がそのような悪い出来物につながるとも言い切れないため全身疾患の有無、服薬している薬、細菌感染の状態、治癒の経過、傷口の性状、組織下の触診、リンパ節の状態など様々な情報を確認して判断する必要があります。特に慢性の感染を起こした不良肉芽を伴う傷口では基礎疾患がなくとも治癒傾向が大きく遅れる事もあるため単純にそれぞれの断片的な情報のみで判断する事はできません。

このように口の中の傷口と言ってもその治癒の傾向や組織の性状によっては注意深く経過を観察して判断していかないといけない状況も存在します。臨床診断とは別に最終的な確定診断は病理生検によって確定するため時には組織の一部を病理で確認する事が必要な場合もあります。

口内炎.jpg

※※※ 口腔外科・歯周病治療・審美歯科は名古屋市千種区池下の歯医者 阿部歯科 ※※※

 

歯科領域において行われる麻酔にはいくつか種類があります。歯科治療の際に疼痛のコントロールのためによく行われる浸潤麻酔から口腔外科の大きな手術の際に行われる全身麻酔まで様々です。そこで今回は歯科領域において行われる麻酔の種類に関してお話をしようと思います。

浸潤麻酔

麻酔薬のカートリッジから薬液を注射で口腔内の歯肉や頬粘膜、時には舌や口唇にも麻酔を行い麻酔薬を浸透させて疼痛のコントロールを行います。麻酔薬を組織内に注入して浸潤させる事から浸潤麻酔とも呼ばれます。歯科治療の際に最もよく行われる種類の麻酔方法です。歯科領域ではよく「浸麻」と略して言いますが麻酔科領域で「しんま」と言ってしまうと心臓マッサージと勘違いしてしまう事もあります。

下顎孔伝達麻酔

下顎の水平埋伏智歯(親知らず)の抜歯の際などに行う事があります。浸潤麻酔に使う針よりも太く長い針を使って下顎孔付近に麻酔薬を注入して下顎孔へと入る下歯槽神経の支配部位に対して麻酔する事ができます。ある程度の太さのある神経を目標にして針先を進めるので手技を間違えると稀に神経を痛めてしまう事もあります。絶対に必須という症例はそこまでは多くなく、下顎の水平埋伏智歯に対する抜歯でもほとんどは浸潤麻酔で対応してしまいます。

鎮静法

プロポフォールによる静脈内鎮静や笑気ガスを使った精神鎮静です。嘔吐反射が強すぎたり歯科治療に対する恐怖心が強すぎる場合に使われる事もありますが、プロポフォールによる静脈内鎮静は疼痛をコントロールする麻酔効果はないため、疼痛のコントロールをする場合は他の麻酔法も併用しなければいけません。プロポフォールによる静脈内鎮静は循環虚脱による血圧の低下や舌根沈下といった状態も現れるので十分に管理された元でやる必要があるためあまり安易には行われません。亜酸化窒素を使う笑気の場合は笑気ガスを使うためガスが周りに漏れる事を留意しなければいけません。笑気には弱い麻酔作用があるので全身麻酔の際に使われる事もあります。

全身麻酔

手術室で行い意識レベルを落として人工呼吸器による呼吸管理と循環の管理、疼痛コントロールを行う麻酔です。セボフルランなどの吸入麻酔を使うものから鎮静法でも使われるプロポフォールに加えて疼痛コントロールに使う薬剤を併用する方法まで様々な方法があります。プロポフォールが全身麻酔に使われている事から分かるように精神鎮静法で使われるプロポフォールの量を誤ると意識レベルが落ちて呼吸管理と循環管理をしないといけない状態に陥ってしまう可能性があるので鎮静法としてプロポフォールを使う際には十分な知識と管理が必要になります。プロポフォールを使った全身麻酔の術中管理は吸入麻酔を使わず全て静脈からの薬液によって管理されるため全静脈麻酔(TIVA: Total Intravenous Anesthesia)と呼ばれます。

このように歯科治療や歯科領域の際にはこれらの麻酔方法が使われる事があります。

歯医者の麻酔.jpg

執筆者

名古屋市千種区の歯医者 阿部歯科 副院長 阿部利晴

【歯科医師としてのプロフィール】

1980年:名古屋市千種区生まれで、歯科医師の祖父と父親を持ち地元で育つ
2005年:愛知学院大学歯学部を卒業
2005年:豊川市民病院の歯科口腔外科で臨床研修医として活動
2006年:愛知学院大学歯学部の顎顔面外科学講座へ入局
2010年:愛知学院大学大学院の歯学研究科を修了 総代
2010年:愛知学院大学歯学部の顎顔面外科学講座にて非常勤助教
2010年:名古屋大学医学部附属病院の麻酔科 医員を経験
2011年:アメリカ ペンシルベニア大学歯学部で勤務
2014年:アメリカ ペンシルベニア大学歯学部にて講師となる
2014年:アメリカ 国立衛生研究所 国立歯科・頭蓋顔面研究所の非常勤連邦職員を経験
2015年:名古屋市千種区池下の阿部歯科 副院長に就任
趣味:ハイキング、英会話
 
【一言】
国内とアメリカで歯科治療に関して様々な知識や経験を得てきました。
長年培ってきた技術や知識をリニューアル開業後に存分に活かして多くの患者さんに適した治療を提供できたらいいなと思っています。

多剤耐性菌という言葉を聞いた事があるでしょうか?もう随分前から複数の抗菌薬に抵抗性のある多剤耐性菌の問題が出てきていますが感染症で抗菌薬が段々と効かなくなってきていると言われています。そこで今回は多剤耐性菌についてお話しをしようと思います。

薬剤耐性菌とは

薬剤耐性菌とはその名の通り薬剤に対して耐性のある細菌の事です。ニュースでも院内感染の際に問題とされる事が多い薬剤耐性菌ですが具体的にどのように耐性があるかというと今までは効果のあった特定の抗菌薬に対して効果がなくなるもしくは効果が著しく下がるというものです。複数の種類の抗菌薬に対して耐性を持ったものは特に多剤耐性菌と呼ばれます。

通常は細菌の抗菌薬の感受性に関して最小発育阻止濃度という指標で薬剤に対する抵抗性を確認します。希釈した薬剤に対して一定の濃度の細菌を培養して薬剤がどれくらいの濃度だと細菌の発育が抑えられるのかという事を確認して細菌の薬剤に対する感受性を試験していきます。同種の細菌でも通常の最小発育阻止濃度よりも大きく高濃度でないと発育を阻止できないものや全く発育を阻止できなくなった細菌が薬剤耐性と認識されます。有名な耐性菌ではメチシリン耐性黄色ブドウ球菌という細菌がありこの細菌は通常の黄色ブドウ球菌に有効であるβラクタム系の抗菌薬に対する抵抗性を獲得しています。

何故薬剤耐性を持つのか

細菌が薬剤耐性を持つにはいくつかの方法があります。1つは細菌に取り込まれた抗菌薬を分解して無効にしてしまう酵素を細菌自身が作り出すように進化する事で、別の方法は抗菌薬が細菌に取り込まれないようにする方法です。βラクタム系の抗生物質であるペニシリンがペニシリンを分解する酵素を産生するペニシリン耐性ブドウ球菌によって無効化された際に同系統の抗菌薬でありながら分解されないメチシリンを開発した経緯があります。しかしその後βラクタム系抗菌薬が結合するために取りつくペニシリン結合タンパク質の立体構造を細菌が変える事でメチシリンも無効になりました。これがメチシリン耐性黄色ブドウ球菌です。βラクタム系の抗菌薬はこのペニシリン結合タンパク質という酵素に結合して細菌のペプチドグリカンの合成を阻害して薬効を発揮していたのですがこのような耐性菌の出現によって無効化されてしまいました。

薬剤耐性はこのような細菌の新たなタンパク質の発現の結果生まれた機能であり、通常の細菌の中からごく低い確率で出現してきます。この新たなタンパク質の発現の機能を複数獲得して複数の種類の抗菌薬に耐性を持った細菌が多剤耐性菌と呼ばれています。

歯科領域においては耐性菌はあまり話題になりませんがどのような細菌でも薬剤耐性を獲得する可能性があるため薬剤耐性の獲得機構を歯科医師もしっかり理解してないといけないのです。特に感染症の対応が多い口腔外科領域や歯周病の領域でも注意しないといけません。

耐性菌.jpg

記事の執筆者
千種区の歯医者 阿部歯科
副院長 阿部 利晴 (あべ としはる)
 
【歯科医師としてのプロフィール】
1980年:名古屋市の千種区池下で生まれ歯科医師の祖父と父親を持ち地元で育つ
2005年:愛知学院大学歯学部を卒業
2005年:豊川市民病院の歯科口腔外科で臨床研修医を経験
2006年:愛知学院大学歯学部の顎顔面外科学講座へ入局
2010年:愛知学院大学大学院の歯学研究科を修了 総代
2010年:愛知学院大学歯学部の顎顔面外科学講座にて非常勤助教に任命
2010年:名古屋大学医学部附属病院の麻酔科 医員となる
2011年:アメリカ ペンシルベニア大学歯学部で勤務
2014年:アメリカ ペンシルベニア大学歯学部にて講師となる
2014年:アメリカ 国立衛生研究所 国立歯科・頭蓋顔面研究所の非常勤連邦職員となる
2015年:名古屋市千種区の阿部歯科 副院長に就任
趣味:ハイキング、英会話
 
【一言】国内の歯学部や病院だけでなく、アメリカの歯科医療を通して様々な知識や経験を得てきました。千種区や池下だけでなく名古屋市内や市外の患者さんにも信頼される歯科医院を作っていこうと思います。

 分子標的薬という言葉をご存知でしょうか?癌の治療法などで最近注目される事もある分子標的薬という薬ですが歯科領域においても歯周病などの治療に対してその利用が模索されています。そこで今回はこの分子標的薬という薬についてお話しをしようと思います。

分子標的薬とは

その名の通り対象を標的として特異的に疾患を制御しようとする薬です。この分子標的薬の最大の特徴はその特異性にあり狙った標的のみに作用するという部分が通常の薬と大きく変わってきます。通常の薬だと何か別の標的やもしくは複数の標的に対して作用し、その結果薬効を発揮するという流れになるのですが分子標的薬はダイレクトに標的を目標とします。

分子標的薬はどのように直接作用するのか

それぞれの細胞の表面には色々な形をしたタンパク質が存在します。このタンパク質の立体的な構造に対して合致する形を分子標的薬は持っています。タンパク質の立体構造は非常に複雑でそれぞれが非常に特異的な構造をしているため同じような形をしているものは非常に少ないです。その構造の中のタンパク質としての機能を発揮する部位に対して分子標的薬が取り付く事でその薬効を発揮します。それは例えばその部位に取り付く事で機能を抑制したりといった具合にです。

免疫抗体が分子標的薬にも使われる

抗体というのは元々特異的な部位に対して免疫系細胞の貪食を活性化したり抗体そのものが細菌を死滅させるなどの効果があるのですがその特性から非常に特異性の高いものとなっています。よく聞くワクチンというのも、ワクチンを打つことによってそれに合った特異的な抗体を作り細菌などの外敵を排除しようとするものです。以上のことから抗体には定まった場所に接合する極めて優秀な機能があり、分子標的薬として使われる事もあります。

通常の抗体はワクチンのように人体で作られるのですが、現在の分子標的薬であるモノクロナール抗体と呼ばれる特異的な部位に接合する抗体は体の外の試験管で人為的に大量生産されます。B細胞という細胞が抗体を作る事が出来るのですが通常のB細胞では増殖する能力に限界があり、薬として利用できるほどの分子標的薬としてのモノクロナール抗体を得ることができません。そこで通常の細胞とは違うハイブリドーマと呼ばれるB細胞と無限に増殖し続ける事ができる細胞の融合体を作り出し、その細胞が出す大量のモノクロナール抗体を得る事で分子標的薬としての利用ができるようになりました。

これらの分子標的薬は口腔癌はもちろん、歯周病領域での歯周病増悪のメカニズムを抑える目的としても歯科領域で近年研究が進められています。

分子標的薬.jpg

※※※ 千種区の歯医者は歯周病治療・審美歯科・口腔外科の阿部歯科 ※※※

現在、医院建物の改装中につき、固定電話が繋がらなくなっております。
求人等に関するご連絡は、下記携帯番号までお願いいたします。(原則メールにてご連絡ください)
採用担当:阿部 090-3300-5882
診療時間
月~金
10:00~14:00 / 16:00~19:30
土・日
9:30~13:00 / 15:00~18:00
休診・・・祝日
阿部歯科 特別コラム

医院情報


阿部歯科

〒464-0074
愛知県名古屋市千種区
仲田2-18-17

TEL:052-751-0613
※現在、医院建物の改装中につき、固定電話が繋がらなくなっております。
求人等に関するご連絡は、下記携帯番号までお願いいたします。(原則メールにてご連絡ください)
採用担当:阿部 090-3300-5882

駐車場:あり

地下鉄池下駅より徒歩5分、
今池駅から6分

Copyright © 阿部歯科医院. All Right Reserved.
Web Management Exe.
お問い
合わせ
ページ
最上部へ
TOP
PAGE