千種区池下の歯医者 阿部歯科 副院長の阿部利晴によるブログで、アメリカの歯科医療についての事情等を載せています。

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歯科医学の最近のブログ記事

緊張すると口が渇く事がありますよね。口の渇きは唾液腺から分泌される唾液の影響によるものですが、今回は口の中の渇きに影響する唾液腺についてお話をしようと思います。

大唾液腺

唾液を分泌する唾液腺には大唾液腺と小唾液腺があります。大唾液腺には、耳下腺、顎下腺、舌下腺という3種類の唾液腺があります。名前の通り位置的には耳の下、顎の下、舌の下にありこれらの大唾液腺から多くの唾液が分泌されています。唾液腺にも唾石という石ができる事があり唾石が唾液腺の腺体内もしくは導管内にできると唾液がうまく出なくなったり感染を起こして激しく痛む場合があります。この場合に唾液腺を指で押してみる事で唾液がうまく出てくるかどうかを確認して唾石の有無を確認することもあります。これらの唾液腺の分泌する唾液の出口は決まっており、それぞれの場所からうまく唾液が出てくるかを確認する事で唾液の分泌状態を確認する事もできます。口の中の唾液でもサラサラのものと粘り気があるものがありますが、耳下腺からはサラサラの唾液である漿液性の唾液が、耳下腺からは粘り気がある粘液性の唾液が、顎下腺からは漿液性と粘液性の唾液の両方が分泌されてこれらの唾液の割合で口の中の唾液のサラサラ感や粘り気が決定してきます。これらの唾液腺の一部分は顔の外から触る事で触診する事も可能で、唾液腺に炎症が起きてるかを触診で確認する事もあります。

小唾液腺

小唾液腺はその場の通り大唾液腺とは違い小さな唾液腺の集団です。小唾液腺は口腔内の様々な部位に存在しており唇や舌の下部、頬や口蓋といった様々な部位に分布しています。唇を噛んだりなどして小唾液腺の導管部が損傷するとその損傷部位から唾液が漏れ出して唾液の溜まりを作ってしまう粘液嚢胞という偽嚢胞を作る場合があります。下唇にできる場合を下唇粘液嚢胞と呼び下唇を噛む癖のあるお子さんに見られる事があります。舌の先の舌尖下面に粘液嚢胞ができる事もありこの場合は特別にブランディンヌーン嚢胞と呼びます。舌の下面に円形のできものができるので舌に何かができたと心配されて受診される患者さんもいます。これらの粘液嚢胞は破れて中の唾液が排出されると潰れてしまうのが特徴ですが潰れてもまた唾液が貯留をして再び腫れてくる事がほとんどです。

これらの普段あまり意識しない唾液にもそれぞれに分泌する場所があり、その分泌される唾液にもサラサラな漿液性の唾液と粘り気のある粘液性の唾液にわかれているのです。

口腔内の唾液.jpg

執筆者:名古屋市千種区の歯医者 阿部歯科

千種区池下駅から徒歩のロケーションにある歯医者、阿部歯科副院長 阿部利晴です!

今回は身近なのに知らない部分も多い歯の構造に関して詳しくお話をしようと思います。歯医者さんへ行って「歯の神経の理療をしますね」と言われた方もいるかもしれませんが、「歯の神経」と言われてもピンとこないのではないでしょうか??

記事の再執筆:2018年1月22日(月)11:30

 

歯の表面について

歯の表面は人の体の中で、最も硬い硬度を持つ「エナメル質」に覆われています。

エナメル質はハイドロキシアパタイトという、極めて水分量の少ない無機質の結晶からできており、歯のエナメル質部分はハイドロキシアパタイトの結晶でできたエナメル小柱という構造が寄り集まってできています。

ハイドロキシアパタイトは、カルシウムに酸素や水素やリンが集まってできる結晶なのですが、骨や後に出てくる象牙質という構造にも含まれています。このハイドロキシアパタイトが最も多く含まれる部分が歯であり、体の中で最も硬い組織となっています。
 

エナメル質の下

エナメル質の下には象牙質があります。

象牙質にはエナメル質にあったハイドロキシアパタイトの他に有機質も含まれており、象牙質の構造の中には象牙細管という管のような構造があります。この中には水分が含まれておりさらに奥にある歯髄に存在する象牙芽細胞の一部が腕を伸ばしております。

この象牙細管の中の水分が刺激によって揺れると、その水分を伝って刺激が歯髄に行き痛みを感じると言われています。

歯が痛みを感じる機序の仮説にはいくつかありますが、この水分が動くことによって痛みを感じるという動水力学説が最も有力だと言われています。虫歯になるとこの象牙質がむき出しになり、象牙細管内の水分を経由して刺激が歯髄に伝わるのです。

 

歯髄とは?

大きな虫歯になって神経を取ることになると「神経の治療をします」という事になるのですが、その時に神経と言っているのはこの歯髄の事です。

歯髄の最外側には象牙細管に腕の一部を伸ばしている象牙芽細胞という細胞がいますが、その奥の空間には神経や血管や結合組織、免疫細胞で満たされています。動水力学説による水分の圧力変化をこの歯髄の中の神経が感じ取って、痛みを感じているわけです。

神経と言っても実は種類があり、歯髄の中にはAδ線維とC線維という2種類の痛覚神経があります。違いは鋭い痛みを感じるか鈍い痛みを感じるかの違いがあり、歯の痛みでもキーンと感じる鋭い痛みとドーンと感じる鈍い痛みの2種類があるのはこのためです。

 

セメント質について

歯の構造にはこの他にもセメント質と呼ばれる、骨に埋まっている部分に存在する構造があります。
これは歯と骨の間でクッションの役割をする
歯根膜というハンモックのような構造が歯に繋がるためのアンカー部分となっています。

 

「歯やお口に関するご相談」は、千種区の頼れる歯医者 阿部歯科へお任せください!

今回は「歯の構造について」ご説明しました。少し専門的な内容がありましたが、いかがでしたか?

このように歯と一言で言っても、色々な構造で構成されてできているのです。
その構造をしっかりと把握し、むし歯や歯周病、その他の疾患について診査し、その患者さんに適した歯科治療を歯医者は行っています。阿部歯科では「患者さんにとって、最適な治療を行うよう努める」のは勿論、患者さんに不安のないようにご説明の上、治療を進めています。

いくら最適な治療でも、今どういった状態で、何故その治療を行う必要があるのか?それによってどう良くなるのか?が分からないと、安心して治療に通うことができなと思います。このような気持ちのケアまで行うことが、良い治療であると考えます。

これまでに「他の歯医者さんで治療してもらったけれど、どれぐらい良くなっているのか分からない・・」「自分のお口の状態について把握した上で適切な治療をしてほしい!」といった方はお気軽に阿部歯科までご相談ください。まずは患者さんのお話をヒアリングできればと思います!

歯の構造.jpg

 

 

本記事の執筆:歯科医師  阿部 利晴 (あべ としはる) 


【歯科医師としてのプロフィール】
1980年:名古屋市千種区生まれで、歯科医師の祖父と父親を持ち地元で育つ

 

2005年:愛知学院大学歯学部を卒業
2005年:豊川市民病院の歯科口腔外科で臨床研修医として活動
2006年:愛知学院大学歯学部の顎顔面外科学講座へ入局
2010年:愛知学院大学大学院の歯学研究科を修了 総代
2010年:愛知学院大学歯学部の顎顔面外科学講座にて非常勤助教
2010年:名古屋大学医学部附属病院の麻酔科 医員を経験
2011年:アメリカ ペンシルベニア大学歯学部で勤務
2014年:アメリカ ペンシルベニア大学歯学部にて講師となる
2014年:アメリカ 国立衛生研究所 国立歯科・頭蓋顔面研究所の非常勤連邦職員を経験
2015年:名古屋市千種区の阿部歯科 副院長に就任
趣味:ハイキング、英会話
 

【一言】
国内だけでなく、アメリカでも歯科治療に関し、様々な知識/経験を得てきました。
日本とアメリカで長年培ってきた技術をリニューアル開業後、存分に活かし、それぞれの患者さんに適した治療をいたします。

阿部歯科のある池下近隣の患者さんはもちろん、千種区内にお住いの多くの方に頼っていただけるような歯科医院を作り上げたいと思います。
どうぞよろしくお願いいたします。

 

千種区の歯医者の阿部歯科です。アレルギーには色々種類がありますが特にその中でも今回は重篤なアナフィラキシーショックに関してお話をしようと思います。頻度は低いですが、歯科領域でもごく稀にアナフィラキシーショックが見られる事がありますアナフィラキシーの場合は早急な対処が必要なため迷走神経反射や過換気症候群などと鑑別をしっかりして素早く対処する必要があります。

アナフィラキシーショックとは

アレルギーの種類の内でI型アレルギー、別名で即時型アレルギーとも呼ばれるアレルギーによって重篤な反応が起きてショック状態を呈したものです。アレルギー反応の延長で循環器系に大きな影響が起きてしまった状態とも言えます。I型アレルギーに付随して起きてしまった症状と捉える事もできます。

I型アレルギーとは

アレルギーの型にはその発生機序によってI型からIV型まで分類されます。I型アレルギーと聞くと聞きなれませんが花粉症や食物アレルギーもこのI型アレルギーに含まれます。この型のアレルギーでは花粉や食べ物などのタンパク質が抗原として認識されるところから始まります。食べ物や花粉や他の様々な物質は色々な種類のタンパク質でその物質が構成されています。その中のタンパク質はそれぞれ特徴的な3次元的立体構造を持ちます。これは連なったアミノ酸が3次構造や4次構造を作る事で形作られその構造の中の一部の形が免疫機構によって抗原として認識されます。これをエピトープと呼び、このエピトープに体の中で作られた抗体が付着していきます。I型アレルギーではIgE抗体という種類の抗体がエピトープに結合しこのIgE抗体を介して免疫系の肥満細胞などの免疫細胞が感作されます。感作された肥満細胞などの免疫細胞からヒスタミンなどの化学物質が放出され体に炎症反応が起きます。この炎症作用が急激に起きて血管拡張、浮腫、腫脹が強く出る事でショック状態や呼吸困難を引き起こしたものがアナフィラキシーショックと呼ばれる状態です。

アナフィラキシーショックと他の類似症状を絶対に間違えてはいけない

歯科治療中に気分の悪さや息苦しさを訴えた際に他の迷走神経反射や過換気症候群などと絶対に間違えてはいけません。それはアナフィラキシーショックが非常に素早い対応を必要とする状態で急激なアレルギー症状を呈する所見を絶対に見落としてはいけないからです。そのためにはそれぞれの状態の発生機序を理解してどういう原因で起きるのかを理解していないとそれに続くさまざまな付随症状を理解することができずに鑑別診断を行えなくなってしまいます。

患者さんがどのような時でも安心して歯科治療を受けられるように幅広い知識が歯科医師にも必要とされるのですね。

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※※※千種区池下の歯医者は審美歯科・口腔外科・歯周病治療の阿部歯科※※※

こんにちは、千種区池下の歯医者の阿部歯科です。

注射針は歯科治療の局所麻酔の際の口腔粘膜への注射や、点滴の際の静脈への循環へのルート確保の際、時には全身麻酔下でのリアルタイムでの血圧モニタリングのために動脈に留置針を刺入する際などに使われますがそれらの針の太さは目的に合わせて様々なものが用意されています。針の太さは直径が大きければ大きいほど刺入時の刺激が強く痛みが強いのですが、この注射針の太さはG(ゲージ)と呼ばれる規格が決められておりその規格を見てどの太さの注射針を使うかを決定します。そこで今回は普段あまり気にすることのない注射針に焦点を合わせてお話をしようと思います。

注射針の太さ

注射針の太さはその目的によって太さが変わってきます。細ければ細いほど刺入時の痛みを感じにくいのですがその反面、細いほど液体の流入速度も遅くなります。歯科治療の際の口腔粘膜へに局所麻酔ではかなり細いものが使われており、これは敏感な口腔粘膜に対して可能な限り刺入時の痛みを感じにくくする目的のために細いものが使われています。針の太さは「G(ゲージ)」という単位で太さが決められており、数字が小さければ小さいほど太く、大きければ大きいほど注射針の直径が小さくなっていきます。歯科治療の際の局所麻酔では通常はおおよそ30Gから33Gの太さの注射針のものが使われる事が多くなっています。数字だけ30Gから33Gと聞いてもイメージがつきにくいと思いますが、インフルエンザワクチンの予防注射目的の皮下注射ではおおよそ26G付近の太さの注射針が、点滴などの目的の静脈内注射では22G付近の太さの注射針が、全身麻酔中の術中管理目的の輸液では目的に合わせて18Gから22G付近、全身麻酔中の失血に対する輸液や輸血ではかなり太いものだと16Gに太さの注射針が使われる事もあります。33Gの太さと16Gの太さを比べるとそれぞれおおよそ直径1.6mmと0.2mmと、直径で8倍もの太さの差があります。この注射針の太さの比較から見ても歯科治療の際の局所麻酔の注射針にはかなり細いものが使われている事がわかりますね。

どうしてG(ゲージ)が大きいほど注射針の直径が小さくなるのか

なんとなくのイメージだとゲージの数字が大きくなれば太く、小さくなれば細くなりそうですが注射針の太さの場合は逆になります。ゲージの数字が大きくなれば細く、小さくなれば太くなります。そしてゲージの数字が半分になったから注射針の太さが2倍になるといったような規則性もなくゲージの数字から注射針の太さをイメージするのは非常に困難です。実際の臨床現場ではゲージの数字から大体の太さのイメージを記憶していても、それぞれの注射針のゲージ数の比較からそれぞれの太さの差を計算で出す事はできません。実はこのゲージという規格は19世紀のイギリスで鉄線や鋼鉄線の金属線(ワイヤー)の規格として決められたBirmingham Wire Gauge(バーミンガムワイヤーゲージ)からきており、このゲージの部分をGauge(ゲージ)という規格で注射針に利用したのです。このバーミンガムワイヤーゲージという針金類などに使われる規格が注射針に応用されたのは少し不思議ですね(尚、このバーミンガムワイヤーゲージという金属線の規格は今では大分古いもののようですが、一部では使われているようです)。そしてこのゲージと太さの関係ですが数式では計算不可能でバーミンガムワイヤーゲージで規定された太さに金属線の伸線(金属線を円錐状の筒に通して太さを変える工程)を行い決められているようです。一時期この金属線の太さの定義を数式的に再定義し直すようにするという試みもあったようですが、数式に当てはめてしまうと現在ある規格との太さの間に誤差が生まれてしまうという理由で結局は見送られたようです。これらの金属線の太さについても19世紀のイギリスの時代から色々な人が色々な規格を提案しており、当時のイギリスでも規格が乱立して大変だったようです。

今回は注射針の太さ「G(ゲージ)」についてお話をしましたが元々は19世紀のイギリスの金属線規格のバーミンガム ワイヤー ゲージからきており、太さは計算式ではなく決められた伸線工程での太さで定義されているというお話をしました。歯科治療でも局所麻酔のための注射に使われる注射針ではかなり細いものが採用されていますが、その注射針の太さの規格の成り立ちにはこのようなお話が隠されていたのです。

参考文献:The story of the gauge. J. S. Poll. 1999. Anesthesia

 

☆☆☆ 名古屋市千種区の歯医者なら審美歯科・口腔外科・歯周病治療の阿部歯科 ☆☆☆

歯科治療において局所麻酔薬や飲み薬などを使う際に注意する事の一つにアレルギーという問題がありますが、アレルギーといってもいくつか種類があるのはご存知でしょうか?そこで今回はアレルギーに関してはお話をしようと思います。

そもそもアレルギーとは

アレルギーの正体は体の免疫機構が対象となる抗原に対して過剰に反応する事です。アレルギーは免疫機構が抗原のエピトープと呼ばれるタンパク質の特定の部位に対して反応を示す事で起きますが、同時に体を細菌などの外敵から守る働きをしています。金属アレルギーという言葉もありますが免疫機構の抗体はタンパク質上にあるエピトープの立体構造に対して反応をするため金属が直接免疫機構を刺激してるわけではなく、溶出した金属イオンによる影響でタンパク質の立体構造に影響を及ぼしアレルギーを引き起こすと考えられています。このように、体の防御機構である免疫機構の反応が特定のタンパク質に過剰に反応している状態がアレルギーという事ができます。

抗原抗体反応という言葉

抗原となるタンパク質のエピトープの部位に特異的に接続するのが抗体という事になるのですが、この反応を抗原抗体反応と言います。抗体は非常に特異的な反応を示しそれぞれの抗体に対してそれぞれにあったエピトープしか接続しません。これが遺伝子的に個人個人に割り当てられた抗体の特異性へと繋がり、人によってアレルギーが出る人と出ない人という差を生み出す事になります。人類の進化上でより多くの人々に共通して割り当てられた抗体の遺伝子もあれば極々僅かの限られた人たちだけが持っている抗体というのもあります。リウマチなどの自己に対する抗体やアレルギーといった本来の目的と違った抗原抗体反応は多くの人々の多様性の中で生まれて来たものでもあります。

アレルギーの原因は個人の持つ抗体の特異性にある

例えば花粉症もアレルギーの中に含まれますが、それぞれの作用機序によってアレルギーの起こる免疫機構の経路が変わってきます。花粉症やアレルギーの中でも注意の必要が出てくるアナフィラキシーショックは共にIgEと呼ばれるY型の形をした2箇所のエピトープ認識部位を持つ抗体が原因となって起きますが、この抗体によって引き起こされるアレルギーは抗原に晒されてからすぐに起きる事から即時型アレルギーと呼ばれます。花粉症の方が花粉を吸ってすぐにアレルギー症状が出るのと同様に歯科治療で使われる薬剤などによるアナフィラキシーショックでもすぐに症状が現れます。アナフィラキシーショックはアレルギーの結果の一つなのですがくしゃみが出る花粉症でとの大きな違いは血圧の低下による循環不全を伴う全身的な機能不全という点にあります。そのため、アナフィラキシーショックはショック状態を伴った症状であり全身的な循環不全も含めて非常に注意しないといけない状態と言えます。

これらのアレルギーの他にもIgGと呼ばれる抗体や補体と呼ばれる免疫機構に関するタンパク質などが関連する様々なアレルギーがあり、一言でアレルギーと言っても抗原に晒されてからアレルギーの起きる速度や起きる機序など様々なものがあるのです。

抗原抗体反応.jpg

執筆者

名古屋市千種区池下の歯医者

阿部歯科 副院長

阿部利晴

虫歯はミュータンス菌(S. mutans)によって引き起こされますが、虫歯の発生を増悪させる因子の一つにカンジダ菌(C. albicans)があるとも言われる事があります。この虫歯とカンジダ菌の関わりは比較的昔から言われているのですが、その関連性がはっきりと伝えられる事はあまりありません。一説にはミュータンス菌の含まれるプラークの発生がカンジダ菌によって補強されていると言われる事もあります。そのような状況の中で子供の虫歯の発生に関する新しい情報として2017年12月21日に「Caries Research」誌より発表された「Candida albicans and Early Childhood Caries: A Systematic Review and Meta-Analysis. Xiao J. et al.」のレビュー論文の一部を引用してご紹介します。この報告では今までに発表された様々な論文を取りまとめ信憑性と科学的な妥当性を審査して幼児期のお子さんに対するう蝕とカンジダ菌(C. albicans)との関わりを報告しております。この報告の中では「虫歯のある幼児の口腔内のプラークの中には虫歯のない幼児よりもより多くのカンジダ菌(C. albicans)が認められる」と紹介されており、幼いお子さんの虫歯の発生とカンジダ菌の関わりが指摘されています。そして「母親の口腔内のカンジダ菌が子供に感染している可能性がある」と説明しています。

レビュー論文とは

この虫歯とカンジダ菌の関わりを説明する報告はレビュー論文と呼ばれるものです。レビューとは過去の様々な研究者が発表した研究論文を取りまとめて発表するものでその中でも今回のレビューはう蝕とカンジダ菌の関わりに関して数多くの情報から科学的妥当性、論文としての資質、研究デザインの精度をふるい分けして分析しています。そのため通常の研究論文とは性質の異なった情報源となります。

昔からう蝕とカンジダ菌との関わりが指摘されていましたが報告者によってはう蝕とカンジダ菌は関わりがないという指摘もされていました。科学的な研究にはこのようにかなり高い確率で相反する報告が出てきます。ちょうどガリレオ・ガリレイの地動説と天動説が相反したように真逆の報告というものが出てきます。その際の科学的な妥当性は別機関での追試の成功や今回のようなメタアナライシスによるレビューなどで評価されます。このこのレビューでは「高い割合で幼児におけるう蝕の発生とカンジダ菌の存在に関わりが認められた」という結論に達しており、「そのカンジダ菌は母親の口腔内から感染したものかもしれない」と議論されています。う蝕とカンジダ菌の関わりはかなり昔から報告されていましたがそのう蝕発生にまで至るメカニズムまではまだ踏み込まれておらず、疫学的な研究が主となっていました。ただ、中世ヨーロッパでペストが流行した際にペスト菌の存在が知られる前にも関わらずペストとネズミとの関連が指摘されたりといったような臨床分野においては疫学的手法が疾病発症のメカニズム解明に先行することは稀ではありません。

う蝕とカンジダ菌の関わり

レビュー内では「う蝕のある幼児の口腔内のプラークには44-80%の高い確率でカンジダ菌が発見されている」のに対して「う蝕のない幼児のプラークには7-19%の確率でしかカンジダ菌が発見されていない」と報告しています。このプラーク内で発見されるカンジダ菌に関して、う蝕の発生に関わるミュータンス菌(S. mutans)がプラーク内でカンジダ菌と共生状態にありそれが幼児のう蝕に影響を及ぼしているのではないかと言われる事があります。

以上の事からはお子さんの虫歯予防にはお母さんの口腔内の管理も大切だという事が見えてきます。そのため小さなお子さんを持つ方は是非歯科の定期検診を欠かさないようにすると良いと思います。

虫歯とカンジダ菌.jpg

今回の記事の執筆者 千種区の歯医者 阿部歯科  :副院長 阿部 利晴 (あべ としはる)


【歯科医師としてのプロフィール】
1980年:名古屋市の千種区池下で生まれ歯科医師の祖父と父親を持ち地元で育つ

2005年:愛知学院大学歯学部を卒業
2005年:豊川市民病院の歯科口腔外科で臨床研修医を経験
2006年:愛知学院大学歯学部の顎顔面外科学講座へ入局
2010年:愛知学院大学大学院の歯学研究科を修了 総代
2010年:愛知学院大学歯学部の顎顔面外科学講座にて非常勤助教に任命
2010年:名古屋大学医学部附属病院の麻酔科 医員となる
2011年:アメリカ ペンシルベニア大学歯学部で勤務
2014年:アメリカ ペンシルベニア大学歯学部にて講師となる
2014年:アメリカ 国立衛生研究所 国立歯科・頭蓋顔面研究所の非常勤連邦職員となる
2015年:名古屋市千種区の阿部歯科 副院長に就任
趣味:ハイキング、英会話
 

【一言】国内の歯学部や病院だけでなく、アメリカでも歯科医療に関して様々な知識や経験を得てきました。
日本とアメリカで長年培ってきた知識や技術をリニューアル開業後の阿部歯科で存分に活かして、患者さんそれぞれに適した治療をいたしたいと思います。

池下の周りの患者さんだけでなく千種区内や千種区外にいらっしゃる多くの患者さんに頼っていただけるような歯医者として阿部歯科をつくりあげていこうと思います。
どうぞよろしくお願い致します。

歯科治療をしていると治療とは別に時々思いもしないような状況に出くわす事があります。歯科治療とは直接関係ないものの患者さんの心理状態や緊張、体調など様々な要因で起きる偶発的な事があります。その中でも今回は過換気症候群というものに関してお話をしようと思います。

過換気症候群とは

極度の精神的な緊張により通常よりも過剰に呼吸回数が増えそれによって様々な症状が現れる一過性の症候群です。歯科治療前の極度の緊張や治療に対する不安から無意識の内に呼吸回数が増えて過換気症候群を起こす、もしくは起こし掛ける方もいます。通常よりも呼吸回数が増える事で肺での酸素と二酸化炭素の交換が多く行われる事で血液がアルカリ性に傾むくことで様々な症状が現れだします。

過換気症候群の兆候を見逃さない

歯科治療において患者さんが治療に対して緊張する事は珍しいことではありません。しかしながら患者さんの中にはその緊張を無理に隠して過呼吸に知らない間になる人もいます。特に麻酔の際の注射の際に緊張が最大限に達して過換気症候群の症状がで始める方もいます。特に注射の際のトラブルでは、I型アレルギー反応のアナフィラキシーショック(※歯科治療とアナフィラキシーショック)なのか迷走神経反射なのか過換気症候群なのかもしくは癲癇などの他の原因なのか素早く判断する必要があり、判断違いでは全く無意味な処置をしたりさらに状態を悪化させてしまう事もあります。今回の過換気症候群の場合は、その発生の機序から浅く早い呼吸が確認されます。そのため、呼吸をする際の胸郭の上下運動を確認する事で過呼吸があるかどうかが確認されます。過換気症候群で初期に現れてくる症状の中に目眩や指先の痺れというものがありますが、目眩がしてクラっとしたという理由で迷走神経反射と判断して安静にするという処置を取ると過呼吸が継続されたままさらに血液がアルカリ性に傾く事で呼吸性アルカローシスが進み、症状がどんどん悪くなってしまう事さえあります。そのため、鑑別診断を行うために素早く胸郭の動きを確認して呼吸回数の増加があるかを見ます。胸郭の動きは服の上からでも目で見て確認できるので難しい事ではありません。それと同時にショックの症状が出てないといった事など他の症状の併発の可能性を同時に確認していきます。

過呼吸が確認されたら

過呼吸を素早く確認したら最初にする事は患者さんに意識的に呼吸回数を減らすように指示する事です。胸郭の上下運動を確認しながら過呼吸が改善されるまで患者さんに呼吸回数を意識的に減らすように指示し続けます。過呼吸があるのにそれを見逃して迷走神経反射だと診断して安静にするという処置をとった場合は過呼吸が自然と解消されないとさらに過換気症候群の行進を引き起こす可能性があります。過呼吸による過換気症候群の行進を放置するとアルカローシスによって筋肉の硬直や意識障害といった状況に陥る事もあります。こうなってしまうとショックや痙攣ではないかと誤った診断をおかしてしまったり酸素を吸わせるといった全く逆の処置をしてしまうなどといったさらなる悪循環へと陥ってしまう事さえあります。ここまで症状が進んでしまうと歯科医師側で酸素と二酸化炭素の交換の調整を行う必要があるのですが、しかしながら過換気症候群への対処の鉄則は初期の過呼吸の状態を見逃さないという事が基本中の基本となっており、筋肉の硬直や意識障害になるまでアルカローシスを放置するという事は問題となってしまいます。

歯科治療の最中は時々このような治療とは別の問題も起きる事があるのでそれぞれの症状の特徴と発生機序と発現頻度を理解して素早く正しく対処する能力が必須となってくるのです。指の痺れなど特徴的な症状も患者さんから自発的に訴えない場合もありますので、疑われる診断に対して積極的に問診する事も大切となります。

過換気.jpg

ーーーーー 患者さんだけでなく歯科医療関係者の方々にも向けて歯科医療の向上のために情報を共有できればいいなと思っています。名古屋市千種区にある歯医者の阿部歯科からのお知らせでした。 -----

「何故虫歯菌はなくならないのか」というこの疑問は皆さんも一度は思ったかもしれませんね。虫歯菌はいわゆる酸を産生して歯を溶かすストレプトコッカス ミュータンス菌の事なのですがこの細菌は何故根絶できていないのでしょうか?

ワクチンでミュータンス菌を根絶できない訳

この、ミュータンス菌に対するワクチンを作って根絶すればいいのではないか?という疑問を思われた方もいるかもしれませんが、実はこのワクチンを使って菌を倒すという方法は歯の表面に取り付くミュータンス菌には無効なのです。この理由を説明する前にワクチンとは何か、という事からお話しないといけません。

ワクチンという物を簡単に説明すると、細菌を構成するするタンパク質の一部、もしくはそれに類似した物などを使って体に免疫力を持たせる方法です。この方法で細菌に対する免疫力を持った場合はそのターゲットとなった細菌のタンパク質にうまく合わさる抗体が出来上がり、この抗体が細菌の表面に付着するようになります。この抗体の付着によってマクロファージなどの細菌を食べてしまう細胞が活性化されるのです。しかしながら、この免疫細胞は血中であったり、組織の中であったり、または歯茎の付近にはいるのですが、歯の表面に這い出してくる事はありません。ワクチンに必須の反応である抗原抗体反応に関しては「アレルギーとは」「歯科治療とアナフィラキシーショック」の項目でも触れています。抗原抗体反応を利用する限りではミュータンス菌の細胞表面に存在するタンパク質をターゲットとしてワクチンとしての抗原抗体反応により体に抗体を作らせる事は可能なのですが、抗体がミュータンス菌に付着した後の貪食細胞によるオプソニン作用は期待が難しいという事になってしまいます。

では、抗体の中の粘膜免疫系に機能する抗体である分泌型IgAではどうかと言うと、IgAにおいても粘膜上での免疫系細胞の遊走に作用するものの歯の表面での免疫細胞によるオプソニン効果は難しいと言えてしまいます。ワクチンで作ったIgAに中和作用としての分子標的薬のような役割を期待した場合は有効な可能性もありますが常にミュータンス菌に対する抗体価を上げ続けるために定期的にワクチンを摂取し続けないといけないという別の問題が出てきます。

これが、例えワクチンでミュータンス菌に対する抗体を作ったとしてもなかなか効かない理由になってしまうのです。抗体が作られて例え抗体がミュータンス菌の表面に付着したとしても、歯の表面で酸を出して虫歯を作っているミュータンス菌の元まで免疫細胞がやって来られないという事といかにしてミュータンス菌に対する抗体価を維持し続けるのかというところに大きな課題が出てしまうのですね。

歯周病菌はワクチンで根絶できるのか?

虫歯に続いて、では歯周病ではどうかというと歯周病の場合は虫歯の場合と大きく異なることがあります。それは歯周病に影響する菌の種類です。虫歯の場合はミュータンス菌が虫歯に影響してきますが、歯周病の場合は複数の菌種が入り乱れるようにして歯周病を引き起こしています。そのため、この細菌だけをやっつければいいとはならず、ワクチンで対応する事ができなくなってしまいます。歯茎の部分では免疫細胞が大きな役割を果たしているのですが、歯周病では1種類の細菌だけをやっつければいいというわけではない事に問題がでてきてしまうのです。生ワクチンや不活化ワクチンなどの複数の抗体産生を期待するようなワクチンは少し別ですが、ワクチンでは特定の細菌の特定のタンパク質の特定の部位をターゲットとするという非常に特異性の高い手法がとられるため、不特定多数を目標とするにはあまり向いていないのですね。

このように、虫歯でも歯周病でもなかなかそれに関連する細菌を取り除ききる事が難しいので、やはり基本は歯をよく磨いて汚れを取って全体的に色々な細菌が歯や歯茎にたまらないようにする事が大切となるのです。

ミュータンス菌.jpg

----- 千種区の池下の歯医者、阿部歯科からのお知らせでした -----

週末に歯科医院内の衛生管理関係のセミナーに参加してきました。阿部歯科では歯科医院内の衛生管理と感染対策、すなわち消毒や滅菌と器具の扱い方に関してマニュアルをしっかり作成していきます。

感染とは

器具の消毒や滅菌といった衛生管理と感染対策はやり方を間違えるとせっかくの対策も効果が大きく下がります。それには感染とは何かと言うところから考えないと答えが出ません。感染とは感染性の真菌や真性細菌、ウイルスが人の細胞に対して侵入、もしくは付着を起こして体内もしくは体外で増殖を確立させる事ですがそのためには病原性の微生物が感染を成立させると大前提として細胞への侵入もしくは付着を成立させないといけません。

感染成立には

病原性の微生物の感染成立には上に書いたように人の細胞への接着が必要になります。血管内で循環系に流れ込み増殖を成立させると敗血症とは別に多くは臓器や組織への感染を成立させます。この感染の際には人の細胞に接続するための鍵が必要となります。それが病原性微生物の持つある種のタンパク質であり、病原性の微生物の細胞表面に存在するタンパク質が人の細胞の表面に存在するタンパク質と接続する事で人の細胞への侵入や付着を成立させていきます。つまりこの微生物側の鍵となるタンパク質の3次構造や4次構造の立体的な形が人の細胞側の鍵穴へと接続されて感染が成立していきます。

感染対策にはこのタンパク質機能を不活化させて感染が起きないようにするものと微生物そのものを直接死滅させる方法が大きく分けてあります。タンパク質機能を失活させる場合は微生物の持つ多くのタンパク質が不活化されるため結果的に微生物が死滅する事が多くなります。微生物のタンパク質の失活を目的とするものはつまりはタンパク質の立体構造を崩す事が目標となります。その方法には熱でタンパク質変性を起こす方法、タンパク質の構造の間に架橋を作るなど様々な方法がありますが共通する目的は微生物の細胞表面もしくは内部に存在するタンパク質の分子の機能を失わせる事にあります。

やり方を間違えれば感染対策は効果が下がる

感染対策にはこのようにタンパク質そのものをターゲットにした方法が非常に多くあるため器具の感染対策で順番を間違えると効果が大きく下がってしまいます。タンパク質に架橋を加えたりしてタンパク質を変性させるという行為はそれと同時に器具に対して強固にタンパク質本体の固着を招くため器具へのタンパク質の固着を起こさせないように洗浄処理であったりの流れを確立させていく必要があります

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千種区の阿部歯科では根拠のはっきりした理由を持って確実な衛生管理と感染対策に力を入れていきます。

こんにちは、千種区の歯医者、阿部歯科の阿部利晴です。虫歯や歯周病、口の中の細菌感染や口唇ヘルペスなどの病気は微生物によって起きる疾患ですが、微生物とは何かという事を今回はお話しようと思います。

微生物とは

肉眼で見えない生物や非生物を総称したものです。これには原生生物や真菌、真正細菌、ウイルスなどが含まれています。微生物という言葉は非常に広い意味で使われており実際に歯科医学的に使われる場合は真菌や真正細菌、ウイルスなどに分類されて細かく使われます。

真菌

歯科医療において出てくる真菌で有名なものにはカンジダ・アルビカンスがあります。カンジダ・アルビカンスは長期の抗生物質服用や義歯などの清掃が不十分な場合に口腔内に発生するカビの事です。真菌は細胞の中に核膜を持つ真核生物で大きさ的には真正細菌よりも大きく真正細菌に効く抗菌薬の多くが無効になるため抗菌薬の長期投与で真菌が口腔内に過剰に増殖してしまう場合があります。

真正細菌

虫歯や歯周病、多くの感染がこの真正細菌によって引き起こされています。真正細菌は真菌とは全く別の生物で生物学的には遺伝子情報であるDNAの周りに核膜を持たず特殊な環状のDNAを持つ原核生物でその構造もペプチドグリカンで構成される細胞壁などの真正細菌にはない特殊な構造があり、これらの真正細菌特有の構造などを狙って抗菌薬は開発がされています。真正細菌には非常に多くの種類が存在し、それぞれの特性によって様々な病原性を発揮して虫歯や歯周病などといった疾患を引き起こします。

ウイルス

歯科領域において問題となる多くのウイルスが口唇ヘルペスや帯状疱疹ウイルスなどのヘルペス属と呼ばれるウイルスや乳頭腫ウイルスなどといったものです。ただ、多くの人に関連があるウイルスは口唇ヘルペスウイルスがほとんどで、口内炎や口角炎の原因になります。歯科領域においては他にも様々なウイルスが関連してきますが比較的稀なものが多くあります。ウイルスが真菌や真正細菌と違う1番の点はウイルスは生物ではないという点です。ウイルスは断片状になったDNAもしくはRNAの断片がカプシドと呼ばれるタンパク質の殻に包まれた非生物で自律増殖ができません。生物であるためには自ら増殖できる自立増殖の能力が必要不可欠ですがウイルスには自立増殖する能力はなく他の細胞に感染する事で宿主の増殖機構を利用して増えるという特徴があります。

 

これら真菌、真正細菌、ウイルスのように生物学的には全く別の生物でその生物学的な特性を利用して薬による治療も行われるのです。

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