千種区池下の歯医者 阿部歯科 副院長の阿部利晴によるブログで、アメリカの歯科医療についての事情等を載せています。

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歯医者さんは出す抗生物質をどうやって決めているのか

抗生物質の効き目.jpg

親知らずが腫れたり歯が痛くなった際に細菌感染を抑える目的で歯医者で抗生物質が出る事がありますが(過去の記事:細菌感染について抗菌薬の種類)、どのような抗生物質を出すのかどのように決めているか疑問に思った事はないでしょうか?引っ越しなどで別の場所に引っ越すなどで何件かの歯医者さんにかかって抗生物質をもらった事がある方は歯科医院によって違った抗生物質をもらって不思議に思った方もいるかもしれませんね。

歯医者はどのように出す抗生物質を決めているのか

患者さんが特定の種類の抗生物質にアレルギーを持っている事が問診から分かる場合はその種類の抗生物質を避けて別の種類の抗生物質を出すのはもちろんなのですが、では最終的に出す抗生物質をどのように決めているかとなると、一般的に口の中の細菌感染に対応する広く使われている抗生物質を出すという慣習的な部分が多くあります(過去の記事:歯医者で使う抗菌薬(抗生物質))。もちろん口の中の細菌に効き目の高いものが選択されて慣習的に使われているのですが、口の細菌は数百種類にもおよびますので特定の細菌をさしてよく効く抗生物質が選ばれているというわけではありません。あくまでも口の中の細菌感染を起こすであろう数多くの細菌に広く効果が期待できるものを選んで処方されているのです。

細菌感染を起こした原因菌に抗生物質は必ず効く?

口の中の細菌感染を起こす可能性のある数多くの細菌に広範囲に効く事を抗菌スペクトルが広いと表現しますが、抗菌スペクトルが広くても実際に細菌感染を起こした原因菌に必ず抗生物質が良く効くとは限りません。抗菌スペクトはあくまでも効く細菌の種類の多さを表しているのでその範囲からはずれた細菌に対しては効果が薄れる事になります。そして出した抗生物質の抗菌スペクトルの範囲からはずれた細菌が口の中で感染を起こした原因となっていた場合は抗生物質が効かなかったり効きが悪くなってしまいます。そのため、抗生物質を飲めば必ず細菌感染が抑えられるとは限らないのです。

細菌への抗生物質の効き目は細菌の最小発育阻止濃度で決定される

実際には抗生物質が細菌に効くかどうかを調べるためには抗生物質をまぜた培地で細菌が増殖するかどうかを調べる事が必要となります。その際に抗生物質の濃度を変えて、より低い濃度でも細菌の増殖を抑えられる場合はその抗生物質が強く細菌の増殖を抑える事ができると分かります。しかし、培地上で細菌を発育させるためには数日かかる事もあり実際に歯医者さんで抗生物質が細菌に効くか培地で確認して調べてから処方するという事は非現実的になってしまいます。感染が強くてすぐにでも抗生物質を処方して感染を抑えないといけないのに数日待って検査を確認するという方法は非現実的だからです。そのため、実際の歯医者さんでは抗菌スペクトルの広い抗生物質を処方して感染を抑えようとするのです。

30分ほどでどの抗生物質が効くか調べる試みが始まっている

培地上で細菌を増殖させる場合は実際に目で見て細菌が増えているか確認するのですが、これは一個の細菌が時間の経過とともに増殖して肉眼でも見えるくらい増えたのを確認して増殖しているという事を調べるのですが、1個の細菌が肉眼で見えるくらい増殖するのには長い時間がかかります。細菌の増殖速度はそれぞれの菌によって異なるのですが1個の細菌が2個に分裂するのにかかる時間を倍加時間(Doubling time)と言います。この倍加時間が早い細菌ほど早く増殖するのですが、口の中の細菌が目に見えるほど増殖するためにはやはり数日はかかってしまいます。そしてこの倍加時間は重い感染症ほど早いというわけでもないところが培地による増殖の確認の難しさをさらに増しています。例えば歯周病を増悪させる細菌で有名なポロフィロモナス・ジンジバリスでは培養に3日もかかってしまいます。このように培地を使った抗生物質の効き目の判定は時間がかかるため実際に歯医者さんで行うには非現実的となってしまうのです。

培地で確認.jpg

ところがここ最近になって素早く細菌の増殖を確認しようという試みが始まっています。その方法は抗生物質に対して細菌が増殖するかどうかを確認する事には変わりないのですが、肉眼ではなく顕微鏡を使って実際に1個の細菌が2個、4個と分裂していく様子を確認して細菌の増殖が抗生物質によって抑えられるかどうかを直接見ていくという方法です。この方法では細い道のような場所に細菌を1個入れて増殖する場合はその道に細菌が一列になって増えているかどうかを見ています。そして抗生物質が細菌に効く場合はその列が長くならないという事になります。

顕微鏡で確認.jpg

口の中の細菌は複数の細菌が感染した混合感染がほとんどんなのですが(過去の記事:微生物とは(歯科に関わる病原菌))、この方法で試みられている抗生物質の感受性試験では細菌の種類をいくつかに分離して調べる事が試みられています。その方法は細菌の大きさによって細菌を選別してそれぞれの細菌に対して抗生物質の効き目を調べるという方法なのですが細菌の大きさだけでは数多くの細菌を分けきる事ができずにまだ数種類にとどまっており、この方法を口腔内の感染に応用するにはまだまだ研究が必要になりそうです。しかしこのような方法がさらに発展すれば歯医者さんで30分ほどでどの抗生物質が良く効くか判定できるようになる日が来るようになるかもしれません。そうすれば親知らずの腫れや歯の根の先に膿ができて痛いなのどの症状を素早く効果的に抑えられるようになるかもしれません。そして、さらには今後も問題視される多剤耐性菌を増やしてしまう可能性を下げる事もできるようになるかもしれません(過去の記事:口腔外科でも問題となる多剤耐性菌とは)。今池から5分の歯医者の阿部歯科では院長、副院長ともに口腔外科出身なので腫れてしまった親知らずの処置をする事も多いため腫れを抑える目的のために抗生物質を処方する事もあり、今後抗生物質がよりよく効く手法が実用化されるようになるのか目が離せません。

参考文献

1) Antibiotic susceptibility testing in less than 30 min using direct single-cell imaging. Baltekin O. et al. PNAS. 2017.

2) Adaptable microfluidic system for single-cell pathogen classification and antimicrobial susceptibility testing. Li H, et al. PNAS. 2019.

 

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