千種区池下の歯医者 阿部歯科 副院長の阿部利晴によるブログで、アメリカの歯科医療についての事情等を載せています。

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当院副院長からのお知らせ、出来事のご紹介です。

2020年2月アーカイブ

口腔内レジストーム.jpg

細菌の抗菌薬(抗生物質)に対する耐性菌の問題が世界的にも注意されていますが、口腔内の感染に対して抗菌薬は非常に重要な薬と言えます。

虫歯が進行すると歯の神経まで細菌感染を起こし、歯髄や歯根の先端に膿を作る事があります。

膿が大きくなって顔が腫れたり、親知らずが感染したといった場合にも抗菌薬は重要な対処方となりますが、それも抗菌薬が細菌に効くという事が前提になっています。

口腔内の細菌に抗菌薬は効き続けるの?

細菌の持つ抗菌薬耐性の遺伝子の保存にレジストームという概念があります。

レジストームとは抗菌薬に対する多数の耐性遺伝子の総体を示しています。このレジストームの存在が抗菌薬に対する耐性を示す事となります。

様々な抗菌薬に対する多くの遺伝子は細菌の中に保存、受け継がれて、新たな抗菌薬が発見、使用されるたびにあらたな抗菌薬耐性遺伝子が発現していき、その結果耐性菌ができる事があります。

不用意な抗菌薬の使用で耐性菌が生まれる一方で、まだ抗菌薬の存在しなかった時代の口腔内細菌にも様々なレジストームが確認されるため、抗菌薬の使用によってのみこれらの抗菌薬耐性遺伝子が発現したというわけではありません。

抗生物質は元々、真菌などの生物から発見されて自然界に存在したものもあるので、それらに対抗する形で古くから一部の細菌が耐性遺伝子を持ち続けて、保存し続けたという点もあります。

それに加えて、口腔内の細菌に対して抗菌薬耐性遺伝子が新たに増え続けると必然的に口の中の感染性の炎症に対しての効力が下がっていくという事になります。

口腔内の細菌でもβラクタム系、クリンダマイシン、エリスロマイシン抵抗性のある口腔内レンサ球菌が血流に乗って心内膜炎を起こす事も報告されており、口腔内の細菌に対して抗菌薬耐性を持たせないようにする事は体全体から見ても大切な事というのが分かります。

(関連記事:歯医者さんは出す抗生物質をどうやって決めているのか

口腔内細菌のレジストーム

原住民や古代の人々から確認されるレジストームを見ると医療的な抗菌薬の処方に関係なく、歯科医院でよく処方されるβラクタム系、マクロライド系の抗菌薬に加えて、アミノグリコシド系、テトラサイクリン系といった様々な抗菌薬に対する耐性遺伝子が細菌から確認されます。

現代人において、サンプルの遺伝子を包括的に解析するメタゲノム解析を行うと口腔内のプラークや唾液中の細菌からβラクタム系、マクロライド系、テトラサイクリン系、アミノグリコシド系、ニューキノロン計、リンコサミド系、ストレプトグラミン系、プレウロムチリンといった多種多様な抗菌薬耐性遺伝子がレジストームとして確認されます。

ただ、これらの口腔内細菌のレジストームが抗菌薬の処方によってもたらされたかという事を確認すると、処方の量とレジストームの量との間には相関関係が発見できなかったと報告されました。

しかし、これは現段階で相関関係が見つけられなかったというだけであって今後常に関係ないという事を意味していません。そのため、今現在有効に活用できている抗菌薬を今後長く使用し続けられるようにするためにも抗菌薬の処方は必要性をしっかり確認した上で適切に使っていく事が大切となるかもしれません。

千種区の歯医者の阿部歯科では虫歯が痛い、歯周病で歯茎が腫れたなどさまざまな患者さんの悩みに対応しています。

(関連記事:口腔外科でも問題となる多剤耐性菌とは

参考文献:

1) Pathogens and host immunity in the ancient human oral cavity. Warinner C., et al. Nat. Genet. 2014.

2) The microbiome of uncontacted Amerindians. Clemente J. C., et al. Sci. Adv. 2015.

3) Abundance and diversity of resistomes differ between healthy human oral cavities and gut. Carr V. R., et al. Nat. Commun. 2020.

 

ベアリング.jpg

歯医者さんで使うドリルには安全性や痛くないように治療できる様々な工夫が含まれています。

削る際の振動を抑えたり怖い気持ちが少しでもなくなるようにドリルから出る音を工夫したりと様々な技術が取り入れられています。

そういったドリルの進化の中でかつては使われていたのに様々な理由で消えていった技術もあります。

その一つがドリルの種類の一つのエアータービンハンドピースに使われるエアーベアリングの技術です。今ではほとんどがボールベアリングに置き換わってエアーベアリングを採用しているエアータービンハンドピースはほぼなくなっています。

30、40年前はまだまだ使われていたエアーベアリングの歯科用ドリル

ベアリングというのはドリルの刃を回転させるための軸を支える軸受けの事です。

ベアリングには元々空気の圧力によって作られた薄い膜で軸を支えるエアーベアリングと小さな球で軸を支えるボールベアリング用の2種類が採用されていました。

かつてのボールベアリング方式はベアリングの潤滑をよくするために歯科用ドリルであるエアータービンハンドピースを使用する際に潤滑油のオイルをオイルミストとして使用と同時に噴霧していましたがエアーベアリング方式の場合はその必要がなく、それぞれに欠点と利点が混在しており両方のベアリング方式が使われていました。

しかし、今やエアータービンハンドピースのベアリングはボールベアリングがほとんどを占めていますがこれにはボールベアリング方式の進化とエアーベアリング方式の安全性の大きな弱点が関係しています。

 

昔はそれぞれに利点と欠点があった

エアーベアリング方式を使ったドリルは歯を削る時はボールベアリング方式よりも高速で回転させる事ができて歯の切削効率も優れていました。

エアーベアリング方式が1分間に50万回転(500,000 rpm)で削れるのに対してボールベアリング方式では1分間に30-40万回転ほど(300,000-400,0000 rpm)とドリルの回転速度に大きな差がありエアーベアリング方式の方がより早く削れて切削効率の良さから治療時間を短縮できる利点がありました。

しかしエアーベアリング方式は圧縮空気でドリルの刃の軸を支えるという特性上、常に高い空気圧を維持する必要があるうえにドリルの刃を強く押し上てるとベアリングとなる空気の膜が乱れてとたんに回転速度と歯を削る力であるトルクが減少するという欠点がありました。

一方でボールベアリング方式では回転速度はエアーベアリング方式にかなわないものの刃を押し当てても回転数の減少は少なく、強いトルクを維持できるという利点がありましたが削る際にオイルミストを使用してベアリングの潤滑を維持する必要性もありました。

エアーベアリングの刃は急には止まれない

今やほとんどがボールベアリング方式に変わったエアータービンハンドピースですが決定的な変化はボールベアリング方式にセラミック球が使用されはじめた事に始まります。

1970年代までオイルミストを必要としたボールベアリング方式のエアータービンハンドピースはベアリングの改良により常にオイルミストを出しながら削るのではなく定期的にオイルを注油する事で対応できるようになり、さらには鋼鉄製のベアリングの球に変わって1991年になるとセラミック球を使用したベアリングが登場しはじめました。

セラミック球を使ったベアリングは鋼鉄製の球を使ったベアリングよりも比重が軽くベアリングの球にかかる遠心力をより減らす事ができたためボールベアリング方式のエアータービンハンドピースの回転数をより上げる事ができるようになり、さらに鋼鉄製の球ほどのオイルの注油も必要なくなりました。

これによってボールベアリング方式でより高速によりトルクが高くより清潔に治療ができるように進化したのです。

一方で、今ではすたれてしまったエアーベアリング方式の歯科用ドリルですが回転数の低下やトルクの低下といった弱点の他に非常に大きな弱点がありました。

それが歯を削ってドリルを止める時にドリルの刃がなかなか止まらないという弱点でした。

歯が回っている間は危ないので口の中からハンドピースを取り出す事ができずにいました。

時間にしてエアーベアリング方式のドリルではおおよそ5秒くらい刃が止まらない一方で、ボールベアリング方式のドリルでは2秒ほどで刃が取り出せるという大きな差がありました。

このような安全面の差と常に回転数を高く保たないと安定しないエアーベアリング方式に対して、回転数が落ちても安定しやすいボールベアリング方式の特徴の差が現在ほとんどのエアータービンハンドピースがボールベアリング方式で採用されているという現在の状況に繋がっているのです。

今池から5分の歯医者の阿部歯科ではどのような歯科治療の器具がより安全性が高いかについても関心を持っているので、このようなドリルの進化についても興味が非常に持てます。

(関連記事:歯医者さんのドリル

参考文献:

1) The development of the dental high-speed air turbine handpiece. Part 2. J. E. Dyson, B. W. Darvell. Aust. Dent. J. 1993.

2) Comparison of rotational speeds and torque properties between air-bearing and ball-bearing air-turbine handpieces. M. Taira, et al. Dent. Mater. J. 1989.

3) The dental handpiece - a history of its development. R. R. Stephens. Aust. Dent. J. 1986.

 

交絡バイアス.jpg

歯科医療も含めて医療研究では様々な研究結果や材料の効果、現象の解析が報告されますが専門的な分野であればあるほど深く内容を理解して分析する事は難しくなってきます。

内容を理解する際に注意しなければいけない事の1つに交絡因子という要素があります。そして、この交絡因子の可能性を考えながら新しい歯科治療の報告や新材料の説明を読む事で報告の理解が深まる事があります。

交絡因子とは

歯科医療の新しい知識を得るために論文を読む際に非常に重要な要素となってくるものに交絡因子があります。

この要素を無視して論文を読み続けると間違った知識を得たり使ってしまったりする恐れがあるので論文から知識を得る際には必ず知っている必要があります。

この交絡因子の存在が「根拠に基づいた医療」にも影響を与えています。交絡因子とは別名で交絡バイアスとも呼ばれ科学的研究において意図せずに誤った結論を導く過誤の要因の一種です。交絡因子の例としては

・日常生活が忙しいので洗濯をする暇がない

・日常生活が忙しいので歯を磨く暇がない

・歯を磨かないから虫歯ができる

というある人々の状況があったとした場合に

「歯を磨かないから虫歯ができる」という結論に達しても「洗濯をしないと虫歯ができる」という結論にはならないという点に注意しないといけません。

当然洗濯をしないと虫歯ができるという様な事実はありませんがこの例にあげた人々は忙しくて洗濯をする暇がないのも事実で、忙しくて歯を磨く暇がないから虫歯ができるのも事実です。

そのため見た目上では洗濯をしない事と虫歯の発生の間に相関関係が見られていますが、その間に因果関係は存在せず、あくまでも忙しいという要素のために起きた別々の結果となります。この忙しさという要素がこの例における交絡因子となります。

新しい歯科医療の知識を得る上で避けては通れない交絡因子の存在

この様な誤った結論を出す過誤に対して、新しい歯科医療知識の獲得のために論文などの報告を読んだ際に現象の報告だけが行われている場合は交絡因子が絡んでいる可能性を念頭に置いて報告を読まないと過誤が含まれた知識を吸収してしまう恐れがあります。

そのため、研究報告を読んで知識を得る場合は現象の報告だけでなくメカニズムの解明まで至っているか、追試に成功しているか、レビューなどで複数の報告を分析しているかなどの様々な要素を組み合わせて報告を評価していく必要があります。

今回の様な交絡因子を念頭に置かずに報告された論文をそのまま知識として取り入れると過誤を知識として取り入れてしまう可能性があるので注意が必要となってくるのです。

最新の歯科医療知識を得るためには新たに発表された報告を読む事が必要となってくるのですが、内容を自分で評価してどの様な報告を知識として取り入れていくのか取捨選択する事も非常に大切な作業となるのです。池下にある歯医者の阿部歯科では正しい歯科治療を提供するために日々の勉強にも力を入れています。

(関連記事:阿部歯科での根拠に基づく歯科医療

執筆:阿部歯科 副院長 阿部 利晴

執筆論文掲載雑誌一覧

2020年

Proteomics

2019年

Journal of Clinical Medicine

2018年

Science Translational Medicine (サイエンス姉妹誌)

2017年

Journal of Clinical Periodontology

2015年

Science Translational Medicine (サイエンス姉妹誌)

Nature Communications (ネイチャー姉妹誌)

Advances in Experimental Medicine and Biology

The Journal of Immunology

Infection and Immunity

2014年

The Journal of Immunology

Cell Host & Microbe (セル姉妹誌)

The Journal of Immunology

Science Translational Medicine (サイエンス姉妹誌)

2013年

Seminars in Immunology

Journal of Immunological Methods

Cellular Microbiology

2012年

The Journal of Immunology

Nature Immunology (ネイチャー姉妹誌)

2011年

Molecular Oral Microbiology

 

 

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