千種区池下の歯医者 阿部歯科 副院長の阿部利晴によるブログで、アメリカの歯科医療についての事情等を載せています。

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2020年7月アーカイブ

咬合時痛.jpg

歯を噛んだ時に痛いので虫歯ではないかと心配されて歯医者さんに来院される患者さんがしばしばいらっしゃいます。

池下の阿部歯科にも歯を噛んで痛いので歯医者さんに来たと言って多くの患者さんが来院されています。

噛んだ時の痛みは虫歯歯周病などその他にもさまざまな理由があります。

そして、痛みが出たそれぞれの原因の違いによってその痛みの出方にも特徴があるのです。

虫歯で痛い場合の特徴

虫歯で痛みを感じる場合の特徴として、虫歯の穴に何かが詰まった時の痛みとして出るという特徴があります。

食べ物など何か物が詰まることで、虫歯の穴の中の象牙質が刺激されてその奥の神経に刺激が加わり、痛みが出るということになります。

痛みが出る時は、食べ物などが詰まったということにとどまらず、デンタルフロスなどを歯と歯の間に使った時に痛みが出ることもあります。

 

虫歯で噛んだ場合に痛みが出る場合には、

①何か食べ物などを噛んでいる際に痛みが出る

冷たいもの熱い食べ物で痛みが出る

③時には、食べ物を食べた後に引きずるような痛みが続く

といったような特徴が出る事があります。

これらの特徴の一部は知覚過敏にも共通する部分があるため、虫歯の有無を確認する事が大切となります。

歯周病で痛い場合

歯周病が原因で歯を噛んだ際に痛みが出る場合には、何も食べ物を噛んでなくても歯を噛み合わせるだけで痛いことがしばしばあります。

もちろん食べ物を噛んだ際にも歯の痛みを感じることがあります。

しかし、虫歯の場合に歯を噛んで痛い場合との違いは、虫歯の場合には歯の神経が痛みを感じているのに対して、歯周病の場合は歯の周りの組織である歯周組織が痛みを感じているという点にあります。

 

歯周病の場合に歯を噛んで痛みを感じる際には、歯を「グッ」と噛んで感じる場合と歯を「ギシギシ」と噛んで感じる場合とがあります。

どちらの場合も歯周組織がダメージを受けて痛みを感じていますが、それぞれの場合でも歯周組織にダメージを受けた原因が変わってきます。

 

歯を「グッ」と噛んで痛みを感じる場合は、歯の当たり方と噛み合わせが強すぎる場合があります。

歯を「ギシギシ」と噛んで痛みを感じる場合には、歯ぎしりなどの癖があって、歯を擦り合わせた時に必要以上に歯が擦れ合ってダメージを受けている可能性があります。

いずれの場合も咬合性外傷と呼ばれる状態で歯周組織にダメージを受けています。

 

普段では問題の無い場合でも歯周病が進行することで、通常の歯の噛む力(咬合力)に耐えられなくなり、その結果、歯を支える歯周組織に炎症が起きてくることもあるのです。

それぞれの原因によって歯の噛み合わせ自体に問題があるのか、もしくは歯周組織が歯の咬合力に耐えられなくなっているのか様々な違いがあります。

詰め物が取れている場合

歯の詰め物が取れている、もしくは取れかかっている際に食べ物を噛んで痛みを感じる場合もあります。

この際の歯の痛みの感じ方にも特徴があります。

 

詰め物が取れかかっている際の痛みの感じ方としては、食べ物を噛んだ時よりも、噛んでその後口を開けて噛んだものを離した時に痛みを感じやすいという特徴があります。

これは詰め物の下の象牙質に圧力がかかった後に、口を開けることで圧力が解放されて、その刺激を感じて痛みを感じている可能性があるためです。

そのため歯を噛んだ時よりも、噛んでその後開けた際に痛みを感じる場合には虫歯や歯周病よりも詰め物が取れているという事を疑う場合もあります。

デンタルフロスを入れた際にも、詰め物が取れかかっている場合には痛みを感じる事があります。

この場合には虫歯の可能性もあるため、痛みの原因が虫歯なのか歯の詰め物が取れかかっているのかを細かく調べる必要があります。

 

歯の痛みを感じる原因には様々なものがあります。

それぞれの原因によって特徴が色々とあるので、その特徴を見逃さずに原因を明らかにすることが大切となってくるのです。

(関連記事:朝起きた時に歯が痛いよくある理由

エナメル上皮種.jpg

口の中の腫れには様々な病気があり、中には注意をしないといけないものもあります。

症状のないものから痛みを伴ったり顔が腫れたり、悪性の癌であったりその種類は様々です。

その中でも歯の組織学的な発生に原因を認めるエナメル上皮種という病気があります。

 

エナメル上皮種は良性腫瘍であるにも関わらず浸潤や転移を認める事もあり再発率も高く、時には再発を繰り返す事で悪性化する事もあるというやっかいな病気です。

エナメル上皮種って何?

エナメル上皮種は元々歯を作る細胞であった歯胚の中のエナメル器が腫瘍化した病気です。

歯原生腫瘍の中では最も発生頻度が高く、発育が緩慢で腫瘍発生から腫瘍発見まで数十年かかる事もあります。

平均約40歳で認められ、発生初期には自覚症状がない事が多く、見た目や症状からは発見が困難でレントゲン撮影によって偶然発見される事もしばしばあります。

 

症状が出ると

痛みや顎の骨の膨隆

歯の動揺や傾斜

下唇の知覚麻痺

などが出る事がありますが無症状で経過する事が多く、症状を自覚するまでには腫瘍発生からかなりの時間が経過していると考えられます。

再発しやすい理由

エナメル上皮種は良性腫瘍にも関わらず再発をしやすい病気です。

良性腫瘍ですが癌のように組織への浸潤が多く認められ、単一腔の単房性の病変のみならず多房性の複数の隔壁を持つ状態や石鹸の泡のように顎骨内に病変を作る事もあります。

このような浸潤性の強さが良性腫瘍であるにも関わらず高い再発率を引き起こす原因の一つにもなっており転移する事もあります。

治療法

エナメル上皮種における治療はとにかく腫瘍を摘出するという事に尽きます。

腫瘍の進展に合わせて

①腫瘍の摘出

掻把

③顎の骨ごと腫瘍を摘出する顎骨切除やそれに伴う顎骨再建

凍結療法化学的焼灼法の併用

など治療法は様々です。

 

発生確率は10万人あたり1人以下と言われており、稀ではありますがエナメル上皮種の診断がくだった場合は治療も含めて経過観察も慎重に行う必要があります。

エナメル上皮種の経過

治療法において嚢胞を掻き出す掻把のみを行った場合は再発率が100%近くとなり、単純に摘出をした場合でも70%近くの再発率を認めるため複数の治療法を併用して行う事になる事がしばしばみられます。

適切なエナメル上皮種の治療を行った際の再発率はそれでも17%ほどあり、再発率は高い状況にあります。

最も再発率の低い腫瘍ごと顎の骨を切り取る顎骨切除をした場合でも再発率は10%ほどと言われています。

 

再発が起きた場合は半数が2年以内に起きると言われていますが10年を超えて再発が認められる場合もあり、経過は長期で見る事が大切となります。

そのため、エナメル上皮種の治療後の経過はおおよそ10年目までは慎重に見ることが推奨される事もあります。

エナメル上皮種の鑑別診断

エナメル上皮種との鑑別診断はいくつかありますが、その中でも歯原性角化嚢胞、含歯性嚢胞、歯根嚢胞があります。

これらはレントゲン上でエナメル上皮種と似た像を示す事があり、経過も変わります。

その中でも歯原性角化嚢胞との鑑別が困難になる事がしばしばあります。

 

歯原性角化嚢胞は、かつてはWHOの分類で腫瘍に分類されており角化嚢胞性歯原性腫瘍と呼ばれていましたが2017年からは嚢胞に分類されて名称の変更が行われています。

発生率もエナメル上皮種と比較的近く、エナメル上皮種同様にしばしば埋伏歯を含む事もあり画像診断で見分けがつきにくい事もあります。

治療で大切な事

細胞学的、組織学的な性質から再発する事がしばしば認められるという特徴から診断が下り治療が完了した後は主治医に従って予後の経過をしっかり見るという事が大切となります。

引っ越しなどで受診できなくなる場合は主治医にしっかり相談してその後の対応を決めていく事が大切になると思います。

 

阿部歯科でも長く千種区で歯医者をしていますが、やはりエナメル上皮種に遭遇する事は稀です。実際にエナメル上皮種の診断がくだり治療後の経過観察をしている患者さんは数年から十数年の長期にわたってレントゲン撮影を定期的に行い確認をしています。

エナメル上皮種の治療後にはこのようにレントゲン撮影による経過観察を定期的に行う事がとても大切となってきます。

歯の捻挫.jpg

朝起きた時に歯が痛いという理由で歯医者さんを受診される患者さんがしばしばいます。

千種区の阿部歯科でもそのような理由で受診される患者さんが多くいます。

歯が痛くなる理由は様々ですが、その痛みが出る時間帯によって虫歯や歯周病以外の他の原因によって痛みが出ている事が予想できる事もあります。

歯が捻挫を起こす

歯が捻挫を起こす、と書きましたが、捻挫といえば関節で運動をしすぎて関節を痛めてしまう事ですね。

歯にはもちろん関節はありませんが、関節のように歯も噛み合わせや特定の癖などの条件が重なると関節の捻挫のように痛める事があります。

 

ただし、歯の場合に痛めるのは関節ではなく、歯を支える歯と骨の間にある「歯根膜」です。

この歯根膜ですが、歯で物を咬んだ時や歯を噛み合わせた時に衝撃を和らげるためのクッションの役割をしています。

このクッションである「歯根膜」が強いダメージを受けると、炎症を起こして痛みを感じるのです。

歯を痛めないために自然と備わっている機能

ところでみなさんは、通常は上下左右合わせて歯が何本あるからご存知ですか?

親知らずを含めて32本です。

親知らずがなかったり生えてない人は全部で28本です。

そしてこの、28本の歯ですが、それぞれの部位の歯で役割が違います。

 

この28本の内

①笑った時に見える上下左右の前歯8本は、顎を前に出している時にお互いに当たり、その他の歯が当たらないように役目をしています。

②前から3番目の犬歯(もしくは糸切り歯)は、歯を咬んでギリギリ横に動かした時に当たって顎をスライドさせて、他の歯が当たらないようにしています。

③残りの上下左右奥歯16本は上と下の歯を咬み合わせた時に、カチっと安定した位置に保つ役割を果たしています。

 

基本的にはそれぞれの歯にはこのような役割があるのですが、人によっては、前から4番目の歯や5番目の歯も、歯をギリギリした時に当たる場合があります。

この4番目と5番目の歯の形ですが、見てみると少しだけ犬歯(糸切り歯)に似ています。

ちょうどこれらの歯は、奥歯の大きな2本の歯と犬歯の中間のような形をしているので、これらの2つの機能の中間の性質を持っています。

八重歯などで、犬歯が噛み合ってない場合は、この犬歯の奥にある4番目の歯が、歯をギリギリした時に犬歯の代わりの機能を果たしたりします。

歯の当たり方によって痛みが左右される

さて、このそれぞれの役割ですが、それぞれの歯がその歯の得意な役割以外の役割を与えられた時に、不具合が生じる事があります。

つまり、歯根膜がダメージを受けて歯が捻挫を起こしたように痛みを感じる事があるわけです。

 

例えば、歯をギリギリした時に前から6番目の大きな歯が上下で当たっているとします。

すると、ギリギリした時に歯に痛みを感じる事があります。食事の時にも普通に咬んだ時にも感じる事があります。

これは正に、歯根膜がダメージを受けて炎症を起こしている状態です。

 

①では、なぜ犬歯は大丈夫なのでしょうか?

この、犬歯ですが、実は他の歯よりも骨に植わっている歯の根の長さが長いのです。

つまり、電柱が地面の奥に深く刺さっているようなもので、横揺れに強いわけです。

そのためにギリギリやった時にもしっかり歯の支えが得られるのです。

前から4番目と5番目の歯は奥歯よりは犬歯に近いものの、犬歯ほどはこのギリギリした時の横揺れの強さには強くはありません。

 

②前歯の場合はどうでしょうか?

前歯は犬歯ほど歯の根は深くがありませんが、全部で8本で顎を前に出した時に当たるようになっています。

ギリギリして犬歯が当たっている場合は、下顎を右に動かした時は右の上下の犬歯の2本が、下顎を左に動かした時は左の上下の犬歯の2本がそれぞれ当たっています。

前歯と犬歯の当たっている時の数を単純に数えると8本と2本で4倍違うわけです。

そのために、前歯の歯の根が犬歯ほどは深くなくても支えとしての役割を果たす事ができます。

どうして寝ている間に歯を痛めるのか

しかし、例えば、夜に歯ぎしりの癖がある人だと、毎晩得てる時に日常的に歯をギリギリするので、歯ぎしりをしない人に比べて犬歯がすり減ってきます。

犬歯がすり減ってくると、それまでギリギリした時に当たっていなかった4番目の歯が当たり出し、次に5番目の歯、そして6番目、7番目の歯へと当たるようになってきます。

4番目の歯が当たる場合は症状がない人が比較的多いですが、5番目、6番目と当たりが強くなってくると、痛みが出てくる人がチラホラと出てきます。

 

特に6番目と7番目の歯がギリギリした時に当たっている場合は、強い痛みが出る事もしばしばあります。

6番目と7番目の歯はギリギリした時の動きに本当に弱く、これが歯が捻挫を起こしたような状態になるのです。

 

このような場合は、夜につけるナイトガードを製作するなどして、そのナイトガードが奥歯を守るようにする事ができます。

そのためには、寝ている時にナイトガードはつける必要があります。

歯ぎしりの自覚がなくても、朝起きると歯の奥が痛かったり、顎の関節がなんだか痛い、というような人は、寝ている間に歯ぎしりをしている可能性がある事に注意しないといけません。

虫歯を削らないためには.jpg

虫歯と言えば削るものという認識があると思います。

しかし、場合によっては削らずにそのままにしておく場合もあります。

今回はそのような虫歯になっても削ったり埋めたりしない虫歯についてお話をしようと思います。

削らなくてもいい虫歯の条件

削らなくてもいい虫歯とはは一言で言ってしまえばそれ以上悪くならない虫歯の事です。

つまり、虫歯が進まない、そして痛みやうずくなどの症状のない虫歯に相当します。

一言で言うと非常にシンプルに聞こえますが、このハードルをクリアするのはかなり多くの条件が必要となります。

 

その条件の一部のをあげますと

①虫歯がまだ初期の段階である事

②虫歯になり始めてから時間が経っているものの虫歯が進行していない

歯磨きがほぼ完璧にできている事

④歯ブラシ、歯間ブラシ、糸ようじ、洗口液などを使って磨き残しがないようにしている事

⑤食後に欠かさず歯磨きをしている事

⑥少なくとも3ヶ月ごとに歯医者さんで定期検診を受けている事

などの条件を達成している場合に限ります。

 

つまり、

①まだ小さい状態の虫歯で、虫歯が進まない事が確認されている(またはかなり虫歯の進行が遅い)

②歯磨きもよくできていて歯科検診で歯医者さんが確認しても汚れが確認できないくらいの状態で磨けている

③食後に欠かさず歯磨きを続けている

④定期的に歯医者さんで虫歯の進行具合を確認している

などの状態がクリアされている事が必要となってきます。

 

虫歯を進行させないためには

今池からすぐの歯医者の阿部歯科の患者さんでもむやみに歯を削らずに現状を維持していただいている患者さんもいます。

そういった患者さんは定期検診時に確認すると歯磨きの具合は限りなく100点に近いです。

その上で定期検診時には普段ではどうしても磨くのが難しくなる歯周ポケットの中の掃除や細かい隙間に入り込んでいる細菌の消毒を行います。

しかしながら、虫歯予防の基本は家での歯磨きです。

いかにしてこの歯磨きをこまめに、かつ完璧に近くできるかが虫歯の再発生や進行に大きく影響をしていきます。

 

そのため、虫歯が小さく100点に近いくらい歯磨きができている場合は条件が合えばむやみに歯を削らないようにします。

この条件をクリアするのは本当に極限られたケースの場合と患者さんの歯磨きの具合定期検診の頻度によってしまいます。

逆にこれらの条件が達成されていない場合に虫歯を放置してしまいますとさらに虫歯が進行していってしまう事になるので、この虫歯の経過観察というのは注意して決定する必要があります。

虫歯といっても多くの条件を乗り越えた極一部のケースに関しては中には定期検診をしてそれ以上虫歯が進行しないように経過観察をする場合もあるのです。

 

(関連記事:虫歯や歯周病の始まりとなるプラークの蓄積

歯周病での破骨細胞.jpg

歯周病になると歯肉が下がるだけではなく、歯を支える歯槽骨自体も吸収されて溶けていきます。

そして、骨が溶ける事が結果的に歯が抜けるといった症状へとつながっていきます。

なぜ歯周病で骨が溶けるのかという事には体の機能が関係しています。

歯周病が骨を溶かす

歯周病は、通常では悪さをしていない悪性度の低い細菌の状態では骨は溶けません。

口腔内清掃の悪化などの理由で、悪性度の高いDysbiosisと呼ばれる細菌の状態へと変化する事(マイクロバイアルシフト)で骨が溶かされていきます。

しかし、歯周病による症状、腫れや出血、歯槽骨が溶けるといった症状は悪性度の増した細菌そのものが直接起こしているわけではありません。

それらは、細菌に反応した体の様々な細胞によって起きている反応です。

 

歯肉の腫れといった炎症も、悪性度の増した細菌に反応した免疫細胞が種々のサイトカインなど様々な物質を放出する事で起きます。

それに伴って血管の拡張や透過性の亢進などを引き起こし歯の周りが腫れるといった状態を引き起こしています。

それと同様に、歯を支える歯槽骨が溶けるのも悪性度の増した細菌からなんらかの物質が出て骨を溶かしているわけではありません。

別の細胞によって骨が溶かされています。

歯槽骨を溶かしている原因となる細胞は、通常でも体の骨の代謝(骨改造)を行っている破骨細胞によって行われています。

骨は溶けては作られているが歯周病では一方的に溶ける

体の中の骨は常に新しく作りかえられており、溶けては作ってを繰り返してどんどん新しい骨へと置き換わっていきます。

成人では1年間での骨の置き換わり(骨改造)は全体のおおよそ2%ほどと言われています。

そのため、通常では骨には骨を溶かす破骨細胞はまばらに見えるのみにとどまります。

しかし歯周病の起きている部位では破骨細胞が非常に多く見られます。

この組織学的な状態が歯を支える骨である歯槽骨を過剰に溶かすという症状を作り出しています。

 

正常な骨では骨を溶かす破骨細胞と骨を作る骨芽細胞がタッグとなるユニットを組んで行動します。

このユニットは行動を開始するとおおよそ4か月間共に骨の改造を行います。

このユニットは

・活性化

・破骨細胞による骨吸収

・骨吸収から骨添加への変化

・骨芽細胞による骨形成

といった手順を踏みます。

このようにして破骨細胞と骨芽細胞によって骨は溶かされては作られてといった恒常性が維持されています。

歯周病で溶かされる骨

通常では破骨細胞と骨芽細胞によるユニットの共同作業で骨は新しくどんどん置き換えられていきます。

歯周病ではこのような共同作業とは全く違った事が骨で行われています。

 

破骨細胞は重要な免疫細胞で単球やマクロファージの前駆細胞から分化をしており、それらの細胞と共通の起源を持ちます。

破骨細胞はM-CSF(マクロファージコロニー刺激因子)やRANKL(破骨細胞分化誘導因子)といったサイトカインによって分化され活動を開始します。

炎症の際には、悪性度の増した歯周病細菌によって活発化した免疫細胞によってこのようなサイトカインが数多く放出されます。

その結果破骨細胞が急激に作り出され、そして骨を急激に溶かしていくのです。

 

つまり、通常の歯周病では

口腔内清掃状態が悪くなる

・悪性度の低い状態から悪性度の高い細菌状態へと変化する

・細菌に対して免疫細胞が集まりだす

・免疫細胞が様々なサイトカインなどを放出する

・腫れや易出血性などの炎症が起きると共に、破骨細胞が活性化される

・歯肉が腫れて歯槽骨が溶ける

・歯周病となる

・歯肉からの出血や細菌による代謝物が栄養となり、さらに細菌が増殖する

さらに歯周病が悪化する

といった悪循環が起きるのです。

 

千種区の歯医者の阿部歯科ではこのような歯周病の悪循環を断ち切るために、位相差顕微鏡を導入して細菌の密集具合を直接確認しています。

さらに消毒薬を使っての清掃をする事でいかに悪性化した細菌の状態を改善させていくかという事に力を入れています。

 

細菌感染によって歯肉に炎症が起きるのは免疫細胞が細菌と戦おうとした結果ともいえます。

その結果自分自身の組織も自ら痛めてしまう事となります。

一方で炎症によって大量に作り出された破骨細胞は歯を支える骨を溶かし結果として歯の脱落(歯が抜ける)といった結末へと向かっていくのです。

しかし、この理由は細菌感染を引き起こした感染源である歯そのものを脱落させる事でその感染源を取り除こうとする体の反応の進化ではないかという考察も報告されています。

実際に重度の歯周病でも、歯を失う事で感染源そのものがなくなると急激に状態が回復するのでこのような歯周病に対する破骨細胞の反応も体を守ろうとする防御機能の一つなのかもしれません。

(関連記事:どうして歯周病になるのか

 

参考文献)

1) Recent advances in osteoclast biology and pathological bone resorption. Blair H. C. and Athanasou. N. A. Histol. Histopathol. 2004

2) Osteoporosis and inflammation. Mundy G. R. Nutr. Rev. 2007

3) Mechanisms of Bone Resorption in Periodontitis. Hienz S. A., et al. J. Immunol. Res. 2015.

4) Host defense against oral microbiota by bone-damaging T cells. Tsukasaki M., et al. Nat. Commun. 2018.

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