千種区池下の歯医者 阿部歯科 副院長の阿部利晴によるブログで、アメリカの歯科医療についての事情等を載せています。

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歯科医学の最近のブログ記事

歯医者さんの歴史.jpg

虫歯で歯が痛くなったり歯周病や親知らずで口の中が腫れてしまった時に歯医者さんに行く事になるのですが、昔の人々はそういった時にどうしていたのでしょうか。虫歯は恐竜や原始人でさえあったのですが、それほど昔からあった虫歯に対して昔の人々はどのように対処していたのでしょうか?(関連記事:原始人も恐竜も虫歯に悩んでいた?

世界最古の歯科医師は古代エジプト人だった?

現在確認されている世界最古の歯科医師と考えられている人物は紀元前2600年頃のエジプト第3王朝時代の古代エジプト人の高官のHesy Reだと言われています。Hesy Reは様々な役を持っていたようで王の腹心の友とも伝えられているそうです。歯科医師と伝えられているもののその治療の内容は分かってはおらず役職として最古の歯科医師であると考えられているにとどまります。

紀元前1550年頃に書かれたエジプト医学の書物であるエーベルスパピルスには口の中の膿瘍や歯肉の腫れ、歯の痛みを含む口腔内の様々な病気やその治療法が書かれており古代のエジプトでは歯が抜けてなくなってしまった状態に対して金のワイヤーを使って歯を束ねて処置した事も分かっています。

世界最古の口腔外科医は古代ギリシア人?

紀元前12世紀のギリシアではEsculapiusと呼ばれる人物が抜歯を行っていたと書物に書かれています。そのため、書物に書かれて確認されている最も古い口腔外科手術はEsculapiusによって行われた抜歯だと言われています。

紀元前500年から300年頃には医学を呪術から切り離して科学へと昇華させた事で有名な医学の父であるヒポクラテスや哲学者として有名なアリストテレスによって歯の生え変わりのパターンや歯周病、抜歯やグラグラした歯の固定などの方法が書かれるようになりました。

専門的な歯科治療の始まり

虫歯になってしまった歯を治そうという試みとしては、アラビアで虫歯になった歯を抜くのではなく木の樹脂やミョウバンを混ぜたセメントを齲窩に詰める事で対処しようという専門的な治療として行われました。8世紀には歯の神経の感染によってできた根尖病巣に対しての処置が始まり、歯の痛みに対して化学物質を使って対処する事が試みられました。

ヨーロッパでは16世紀になると歯科医学はさらに発展し、歯の萌出や歯のもととなる顎骨の中の歯胚などの存在が認識されるようになり、18世紀には現代歯科医学の父とも言われるフランスの歯科医師ピエール・フォシャールによって口腔内の解剖や機能、虫歯になった歯の保存修復方法や入れ歯の作り方が書かれた専門書が出版されるようになりました。

1839年には世界で最初の歯科専門論文雑誌のAmerican Journal of Dental Scienceがアメリカで出版され翌年の1840年には世界で最初の歯学部がアメリカ国内にでき、「Doctor of Dental Surgery (DDS)」という歯科医師の専門的なタイトルができる事となりました(関連記事:日本とアメリカの歯医者さんって何か違うの?)。そして専門的な歯学部ができて以降さらに歯科医学は発展していき今日の歯科医学へと繋がっていく事となるのです。今池から5分の阿部歯科では日々新しくなる歯科医学知識と技術の研鑽のために歯科医学専門の論文を読み続ける事を大切としているため(関連記事:阿部歯科での根拠に基づく歯科医療)、専門的な歯科医学がどのように発展したのか非常に興味があります。

参考文献:History of dentistry. A. Hussain, F. A. Khan. Archives of Medicine and Health Sciences. 2014.

 

 

歯茎が腫れた、歯が痛い、口の中に出来物ができたなどの理由で歯医者に行った際に薬が処方される事があります。歯医者で出る薬の多くは飲み薬で時々塗り薬が出る事もありますがそれらの薬はどのような時に出るのかをお話ししようと思います。

処方せん.jpg

細菌感染には抗菌薬(抗生物質)を

抗菌薬は口腔内の細菌(真正細菌)の感染が起きた時に処方されます(※抗菌薬の種類)(※歯医者で使う抗菌薬(抗生物質))。よく起きる口腔内の感染は親知らず(智歯)が腫れたり、虫歯によって歯の神経が感染を起こし歯の根の先が化膿したり、歯周病が急激に炎症を起こしたりといった事があります。ほとんどの抗菌薬は真正細菌(※微生物とは(歯科に関わる病原菌))に有効なため口腔内の細菌が何らかの原因で歯の神経や歯周組織などに感染を起こしてそのために強い炎症と痛みを起こした時に感染を制御するために使われる事があります。

その他にも抜歯後の傷口への感染予防のために抗菌薬が処方されたり、時には抜歯前に感染の可能性を下げるために抗菌薬の前投与を行う事がありますが、最近では耐性菌の問題から耐性菌の発生の可能性を下げるために前投与が行われる事は少なくなっており、抜歯後の抗菌薬の処方も不必要に出すという事も避けられるようになってきました。

しかしながら、抗菌薬は歯科領域の感染に関してなくてはならない薬なので適応と効果を的確に理解して効果的に使う事がとても大切となっています(※抗菌薬(抗生物質など)の薬の効き目)。

痛みのコントロールには鎮痛薬を

痛い時には鎮痛薬が出ますが、鎮痛薬には感染を抑える役割はなく、あくまでも痛みのコントロールを目的として処方されます。歯科医院で出る鎮痛薬は多くは解熱鎮痛薬のアセトアミノフェンや非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)が処方されます。小さな子供や非ステロイド性抗炎症薬にアレルギー(※アレルギーとは)のある患者さんにはアセトアミノフェンが処方される事が多いですが、歯科医院での痛みのコントロールでは非ステロイド性抗炎症薬がよく出ます。歯科医院での痛みのコントロールにステロイド性抗炎症薬や癌の疼痛コントロールに用いられる麻薬性鎮痛薬が出る事はほぼなく、比較的一般な痛みのコントロールとして非ステロイド性抗炎症薬やアセトアミノフェンが出ます。

口内炎には塗り薬が出る事も

口内炎の処方で塗り薬が出る事もありますが、歯医者で出る塗り薬にはステロイド性の塗り薬と粘膜治癒を早めるための塗り薬が出る事があります。ステロイド性の塗り薬を使う場合には口内炎がウイルス性ではないという事を確実に診断する事が必要となる他、口内炎の原因が癌性潰瘍であった場合は塗り薬は無効となるためこの際にも診断を確実にして処方する必要があります(※ステロイド軟膏を使うのに注意しないといけない口の中の病気)。

経口薬以外の処方

経口薬以外の処方として点滴から薬を入れる場合がありますが、歯科医院内ではあまり行う事はありません。静脈から注射を刺して点滴をする必要がありますが静脈のルートを確保するために22から24Gほどの太さの針(※注射針の太さの謎(バーミンガムワイヤーゲージ))でルート確保する必要があります。歯科領域で静脈から点滴をする可能性として比較的可能性があるのが、蜂窩織炎などの激しい炎症に対しての抗菌薬による感染コントロールや、帯状疱疹ウイルスによる顔面の三叉神経領域での帯状疱疹などのウイルス感染に対して抗ウイルス薬を投与する場合などがあります。しかしこれらの対応も多くは全身管理の必要性の可能性を考えて大学病院や市民病院などへの紹介を行う事が多くなります。

歯科医院で処方される薬にも色々なものがありますが、感染や痛みの原因の判断を適切にしてそれにあった薬を処方する事が大切なこととなっています。

☆☆☆ 今池から徒歩6分の阿部歯科では患者さんの様々な口の悩みの相談に乗っています ☆☆☆

歯周病が糖尿病や循環器系の疾患などに広く影響するという事は広く知られていますが最近の研究では歯周病が認知症の大部分を占めるアルツハイマー型認知症の増悪にも関わっている可能性があるという研究結果も出てきています。歯周病は口腔内細菌と体の免疫機構の関わりから始まり、免疫機構が破綻する事で発症しますが、その中でもPorphyromonas gingivalis (以下、P.g.菌)が歯周病増悪に関わっているという事が分かっています。

歯周病の患者さんの口腔内の細菌を調べるとP.g.菌の数はそれほどでもないのに重度の歯周病を患っているという方もいます。これはP.g.菌が少ない数でも歯周病発症のメカニズムに中心的な役割を果たすという考え方からkeystone pathogen(キーストーン病原体)と呼ばれます。今では広く話題になっているこの考え方は私の関わった論文から出てきた考え方であり、石積みのアーチの真ん中の一個の石がアーチ全てのバランスを取るキーストーンとなる事から着想を得て、アーチ(歯周病)のキーストーン(P.g.菌)という仮説で命名されました。千種区の阿部歯科でも歯周病予防と予防歯科はメインの診療項目のひとつとなっており、このような論文で発表される最新情報も取り入れながら新しい歯科医学情報が診療に反映されるように日々勉強を続けています。

このように歯周病に関して中心的な役割を果たす口腔内のP.g.菌ですが、アルツハイマー型認知症においても影響を与えているという論文が話題となっています。

歯周病菌がアルツハイマー型認知症に関わっている?

アルツハイマー型認知症では脳にアミロイドベータという物質が蓄積して発症すると言われています。アミロイドベータはアルツハイマー病発症の数十年前から蓄積が始まると言われており、このアミロイドベータの蓄積にP.g.菌が関わってるかもしれないというのが報告された論文の要旨となっています。歯周病になると歯肉から出血する事でその部位の血流に口腔内の細菌が乗って慢性的な菌血症を起こしているとも言われます。

その際にP.g.菌が血流に乗って脳内に到達する可能性があります。口腔内細菌が慢性的な菌血症で循環器系で発見される事があり脳内にもその考え方でP.g.菌の侵入が起きた場合に、P.g.菌の持つジンジパインといった毒素が脳内でアルツハイマー病の原因となると言われているアミロイドベータの蓄積を引き起こすと説明されています。

仮説のひとつ

現在ではアルツハイマー病の発症の仮説がいくつかあり、今回のP.g.菌との関わりも仮説のひとつという事になります。ただ、上で書きましたようにP.g.菌は数が少なくてもキーストーン病原体として病気の発症に大きな役割を果たしていたりしますので循環器の血流に乗って脳に到達した場合は何かしらの影響を与えるかもしれないという事も不思議ではありません。特に近年では歯周病と全身疾患の関わりが大きく取り上げられているため今回の仮説も今後注目していきたい内容となっています。

参考文献: Porphyromonas gingivalis in Alzheimer's disease brains: Evidence for disease causation and treatment with small-molecule inhibitors. Stephen S. Dominy et al. Science Advances. 2019.

阿部歯科副院長の歯周病関連の論文掲載誌

2011年-2018年
1) Science Translational Medicine  (サイエンス姉妹誌):『掲載論文について』で歯周病最新情報として内容を詳しく掲載しております
2) Journal of Clinical Periodontology
3) Science Translational Medicine  (サイエンス姉妹誌)
4) Nature Communications  (ネイチャー姉妹誌)
5) Advances in Experimental Medicine and Biology
6) The Journal of Immunology
7) Infection and Immunity
8) The Journal of Immunology
9) Cell Host & Microbe  (セル姉妹誌)
10) The Journal of Immunology
11) Science Translational Medicine  (サイエンス姉妹誌)
12) Seminars in Immunology
13) Journal of Immunological Methods
14) Cellular Microbiology
15) The Journal of Immunology
16) Nature Immunology  (ネイチャー姉妹誌)
17) Molecular Oral Microbiology
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口の中の悩みで多くの患者さんが悩まれている事に歯周病がありますが、歯周病では歯を支える顎の骨(歯槽骨)が溶けてしまいます。歯槽骨が溶けてなくなった部位に対しては骨を増やす手術を行う事があり、歯周病による歯槽骨の欠損やインプラント埋入前の骨の補填に骨の再生を促す薬剤や骨補填材、時には自分自信から皮質骨や骨髄を採取して骨補填をする事があります。そして通常では、骨の補填をする際には実際の手術時に目標とする骨の形に補填材の形などを合わせますが、将来的には歯科領域の特に歯周病による骨欠損への補填、インプラント埋入前の骨補填などに関して3Dプリンターを用いてあらかじめ補填部位の形状が形作られた骨補填材を手術前に用意して、その補填材を用いて手術を行う事が可能になるかもしれません。

3Dプリンターによる骨欠修復は実はすでに始まっている

3Dプリンターで骨の形をあらかじめ形作って骨の形を回復させるという治療は実はすでに始まっています。特に、顎顔面領域で顎の骨が大きく欠損している患者さんに対してあらかじめどのような形に骨の形状を回復させるかといったように計画を立てて、その計画に沿って形作られた骨を3Dプリンターで骨の人工材料で立体的に形を作り上げるのです。顎顔面領域のような審美的に重要な領域にとってはあらかじめ形の目標となる骨補填材料を立体的に作り上げられる事はとても大きな事だと思います。

3Dプリンターによる骨修復の応用範囲が広がれば歯周病治療の可能性が広がるかも

歯科領域において骨の欠損というと多くの患者さんが直面するのが歯周病による骨欠損です。歯槽骨の欠損によって歯の支持を失い、歯が脱落してしまうのが歯周病ですが、失われた歯槽骨を回復させるために現在では歯周組織再生誘導材のエムドゲインや骨補填材のバイオスなどが使われますが、3Dプリンターであらかじめ立体的に形作られた骨補填材を歯槽骨の回復のために使えるようになれば歯周治療の可能性が大きく広がるかもしれません。

今現在は顎顔面領域の顎骨欠損などオペ室での手術の適応となる分野で行われはじめていますが、従来では顎骨の大きな欠損に対しては自家骨の移植や金属プレートを用いた修復、メッシュに自分の骨髄を充填して再生させるといった方法などを用いていますが3Dプリンターを用いた骨補填により治療の可能性が大きく飛躍しているようです。

立体的に形作られた骨補填材が歯周病治療に使えるようになれば

3Dプリンターであらかじめ形作られた骨補填材料を歯周病治療に使えるようになれば治療部位への骨補填材料のフィット、目標とする歯槽骨の形態といった点で多くの良い点があります。さらに歯周病治療にとどまらず、インプラント埋入部位への骨補填時の量と形態といった点でも治療の幅が広がる事が考えられます。今現在は一部の領域に限定された3Dプリンターを用いた骨補填の技術ですが、技術が広がり歯科領域で広く使われるようになる時代が来れば歯周病によって失われた歯槽骨の回復といった点に関しても新たな可能性が広がるかもしれません。

参考文献:Bone Regenerative Medicine in Oral and Maxillofacial Region Using a Three-Dimensional Printe. A. Hikita et al. Tissue Engineering Part A. 2017.

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☆☆☆ 今池から徒歩6分の歯医者の阿部歯科では歯周病治療・予防歯科・審美歯科・口腔外科など幅広い分野に力を入れています。口の中でお困りの事があればお気兼ねなくおこしください。 ☆☆☆

こんにちは、今回は歯医者に行くとほぼ間違いなく行うレントゲン撮影のお話を少ししようと思います。

歯医者に行くとまずはレントゲン撮影をしますよね。患者さんの中には、レントゲン撮影ってする必要があるの?と思う方もいるかもしれませんね。では、レントゲン撮影をしないとどうなるのかと言うと、一言で言うと「口の中で何が起きているのか分からない」という事になります。目で見えないものを見るために使うのがレントゲンなのですが、レントゲンの画像がないと直接見えない病気は分からない、という事になります。

レントゲン写真では何を見ているのか

例えば、歯周病、歯と歯の間にある虫歯、虫歯の深さ、骨の中に埋まった親知らずの位置、骨の中にできてしまった出来物、鼻の奥にある空洞に貯まった膿(いわゆる、蓄膿症の膿)、歯の神経の病気とそれによってできてしまった膿など、これら全部はレントゲン撮影をしてレントゲンの画像を見ないと分かりません。つまり、見ても分からない病気を見つけるために行うのがレントゲン撮影という事になります。「レントゲン」というと、被爆を気にされる方もいますが、そもそも被爆って何でしょうか?

被爆とは、簡単に言ってしまえば体の細胞に受ける「ダメージ」の事です。では、この「ダメージ」は、レントゲンを取らなければ避けられるのでしょうか?答えは「いいえ」です。普段の日常生活を送っているだけで常に被爆はしています。これは日本で生活していても海外で生活していても同じです。それは、なぜかと言うと被爆の原因となる放射線は常に宇宙から地球に降り注いでるからなんですね。太陽の光と同じように地球に降り注いでいるわけです。こういった日常生活で自然界から受ける放射線を自然放射線と言います。

普段生活していても自然放射線の影響を受けている

実は太陽の目に見える光も、レントゲン撮影のX線も、肌を黒くする紫外線も、体を温める遠赤外線も全部同じ電磁波と呼ばれる種類のものなのです。大きな違いは、それぞれの持つエネルギーです。エネルギーが高ければ体の細胞はよりダメージを受けやすいですし、エネルギーが低ければダメージを受けにくい、という違いが出てきます。この、「電磁波」ですが、先ほど書いたように宇宙の全方向から常にある程度降り注いでいます。では、それは、どの程度なのか?というと非常に大まかですが、年間で普通に生活していて自然から受ける放射線の影響は歯医者で取るレントゲンに換算して50から150回分ほどと言われています。

この、自然に受ける放射線ですが、空の空気の粒子によって薄められているため飛行機で高い所を飛べば飛ぶほどたくさん受けるという事実があります。そのため、名古屋からアメリカまで行けば歯医者で受けるレントゲン撮影よりも多く影響を受けると報告されています。そのため歯医者で受けるレントゲン撮影が日常生活に及ぼす影響は非常に少ないと言われています。

歯医者でとるレントゲンの種類

病気を見つけるために歯科医院で行うのがレントゲン撮影ですが、大きなのや小さなのを取ることがありますね。両方とも同じレントゲン撮影ですがその目的は大きく異なります。大きさの違う同じレントゲン撮影のように見えますが、実は撮影の原理から違ってきます。地図に例えると、大きなレントゲン撮影がおおまかな日本地図で小さなレントゲン撮影が自分の住んでいる詳細な地区の地図、という事になります。日本の地図を見れば隣の県の位置や形も分かりますが、自分の家の細かい場所は分かりません。自分の住んでいる地区の地図を見れば自分の家の場所や道路やご近所さんの位置も分かるが隣の県はそこにあるかどうかも分からない。というような感じにすごく似ています。そのため、目的によって使い方が全然変わってくるのですね。

レントゲン写真で分かる事

さて、レントゲンの撮影と言ってもそこには驚くほど多くの情報が秘められています。そこに見えてくるのは虫歯の有る無しだけではありません。歯周病の進行状態、歯の根の治療の経過、骨の密度、骨の硬さ、咬み方の習慣から引き起こされる病気、歯茎にできた出来物の状態、骨の中に貯まった膿や出来物の存在、顎の関節の状態、咬む力、蓄膿症があれば鼻の感染から来てるのか歯の感染から来ているのか、などレントゲンを見る力(読影)に慣れていれば慣れているほどありとあらゆる診断ができます。私の場合は、大きなレントゲンを撮影した場合は画像の外側から中心に向かって円を描くように見ていきます。そうする事で日本地図を海から自分の住んでいる地域をぐるりと取り囲むように段々と自分の住んでいる地域に向かって確認していくようにレントゲンでも見ていく事ができるからです。

レントゲン撮影で見られる画像は濃度の濃淡と形だけで表されるため、その濃度と形を読み取る力が大変重要になってきます。その濃度からそれが骨なのか、それとも炎症によって作られた硬い反応物なのか、形からそれが治療する必要があるものなのかないものなのか、対象とする病気と周りの構造物の形と位置関係から見えてくる臨床診断名。レントゲン一つで数え切れないほどの目に見えない情報が入ってきます。

そのため、歯科医院では患者さんの体のために可能な限り多くの情報を手に入れようとしてレントゲン撮影をするわけですね。

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☆☆☆ 日曜日も診療 千種区池下の歯医者の阿部歯科では予防歯科・口腔外科・審美歯科・歯周病治療など幅広く対応しております ☆☆☆

 

 

 

 

 

歯の治療で詰め物をしていく際に柔らかい練り物で口の中の型を取った経験のある患者さんもいると思いますが将来的に今あるような口の中の型取りの方法が減っていく可能性があるという事をご存知でしょうか

口の中の型取りのこれからの変化

歯や口の中の型をとる事を印象採得と言いますが従来使われている練り物を練って口の形を取っていく方法が今後は光学印象という画像撮影を利用した印象採得の方法に変わっていくと言われています。この方法では画像解析によって得られた歯や口腔内の3次元的なデータを基にしてミリングという削り出しによって詰め物や被せ物を作っていくことになります。

光学印象とは?

光学印象とはその名の通り光学的な映像を元にして対象となる歯や口腔内の状況を再現する方法です。この方法では実際の対象物となる歯に対して自然光もしくはカメラから照射された光で歯を照らし歯の様々な部位の立体的な位置、つまりx軸、y軸、z軸を規定して3次元的な立体を構築して行く方法です。この3次元的な位置の決定方法は様々な方法があり、3角測量やフォーカス、多数の画像からアルゴリズムで解析するなどの方法で測定する点の位置を確定していきます。この光学印象で使われるのは小さなカメラで、このカメラで口腔内を撮影する事で立体画像を構築していくため練り物を使った型取りのような不快感はありませんしかしこのカメラによる画像解析をしていく際にも必要な事があります。それは正しく映像をカメラにおさめるという事です。当然の事のように聞こえますがこれは非常に厳密な意味で画像を分析する必要性が出るため歯の表面の光沢による露出オーバーをなくすために口の中にパウダーをまぶして光沢を拡散させる必要などが出てきます。パウダーを使わない方法として偏光フィルターを使ったものなども開発されていますが、画像を正しく得るために必要なのはこの他にも水分による光の屈折をなくすために乾燥状態で撮影したりする事と複雑な形態による画像解析のミスをなくすために尖った部位は無くして滑らかに歯の形を形成しないといけないといったような制限が出てきます。

正しく画像解析ができたら

それらの方法を使って部位ごとの座標を決定したらそれらの点を結んでポリゴンで作られた口腔内の状況を再現してそのデータに対して詰め物や被せ物を設計するという工程を経て実際の詰め物や被せ物の削り出しであるミリングを行なっていく事となります。光学印象は最近出てきた新しい印象法ですが、露出過剰に弱かったり、複雑な形態に対する解析に弱いなどといった画像解析特有の弱点もありますが、今後はさらにこれらの弱点も改善されていき将来的には光学印象が広く普及するようになると思われています。しかしながら従来通りの印象方にもそれ特有の有利な点があるため必要に応じて両方の印象方を併用する事になっていくのかもしれません。

参考文献: Intraoral Scanner Technologies: A Review to Make a Successful Impression. R. Richert et al. Journal of Healthcare Engineering. 2017.

光学印象.jpg

☆☆☆ 審美歯科・歯周病治療・口腔外科・予防歯科は千種区の歯医者の阿部歯科へ。日曜日も18時まで診療 ☆☆☆

世の中で科学や技術が進化するように歯科医療でもその治療方法や治療薬は日々進化していますがそもそもその治療方法や治療薬はどういった経緯でできたのか?本当にその方法は正しいのか?といった行われている歯科医療の科学的な正しさの確認がどのように行われているのか、といった点についてお話をしようと思います。

本当にその治療方法は正しいのか?

歯科医療の治療の中にも同じ疾患に対して歯科医師によって違ったアプローチをする場合が多々あります。例えば歯の神経の治療をした際にどのような薬を詰めるのか、どのように治療していくのかが歯科医師によっては違う場合があります。これらの治療がどのように決められ、科学的な正しさがどのように確保されているのかという事が今回のお話の本題です。

卒業後に歯科医師が臨床をはじめてその後患者さんを見ていく上で治療のベースとなるのは歯学部で習った事となります。その習った歯科治療の考え方や技術がベースとなり治療が行われていくのですが時間の経過とともに材料も治療技術もどんどん進化していきます。その際にどこで新しい情報を手に入れるかですが、多くは学術的な雑誌を読んだり講習会に出たり学会に参加したりなどして技術を取り入れていきますが、これらの学んできた方法の科学的な正しさがどのように担保されているのかという事はあまりよく知られてないかもしれません。

新しい治療方法や技術や治療薬は論文の発表からはじまる

新しい技術は論文に発表されてそこからはじまるというのはなんとなく感じられるかもしれませんが、論文に発表されたイコール必ず科学的に正しいというわけではないという事を十分に注意する必要があります。実は論文が科学的に正しいと確認されるにはステップがあります。実はこのステップが例えば山中伸弥先生のiPS細胞がすごく革新的だったのに瞬く間に世界に広がった理由になります。実はよくよく考えてみればそうだろうと皆さんが感じる事なのですが、その理由は「関係のない第三者が論文に書かれている方法を試してみて同じ結果を得られた」という事です、これを追試に成功したと言いますが他の人がやっても成功したというステップが科学的に正しい証明となるのです。聞いてみれば当たり前と思うかもしれませんが、この追試成功のステップは極めて重要でこの追試が成功していないと科学的に正しいと認めてもらえません。

論文に書かれていて追試が成功していてはじめてその治療技術や治療方法が科学的に正しいと言えるのですね。そのため新しい治療技術や治療方法を取り入れる際は元々の根拠となった論文がその後の他の第三者の論文でも同じ結果が得られているか確認する事が科学的に正しい歯科医療を提供する上で大切となるのです。

そのため新しい治療技術や治療方法を取り入れる際はしっかりと科学的な正しさを確認する事が大切になってくると考えています。

歯科の論文.jpg

執筆者:千種区の歯医者 阿部歯科 阿部利晴

【略歴】

1980年 名古屋市千種区生まれ
2005年 愛知学院大学歯学部 卒業
2005年 豊川市民病院 歯科口腔外科で臨床研修医を経験
2006年 愛知学院大学歯学部 顎顔面外科学講座入局
2010年 愛知学院大学大学院 歯学研究科修了 総代
2010年 愛知学院大学歯学部 顎顔面外科学講座にて非常勤助教となる
2010年 名古屋大学医学部附属病院 麻酔科 医員となる
2011年 アメリカ ペンシルベニア大学歯学部 勤務
2014年 アメリカ ペンシルベニア大学歯学部 講師となる
2014年 アメリカ 国立衛生研究所 国立歯科・頭蓋顔面研究所 非常勤連邦職員
2015年 阿部歯科 副院長

 

歯周病や口腔内での炎症は免疫反応の結果によって起きる生体反応の結果なのですが、この免疫反応がどのように反応して異物を捉えているのかというお話をしようと思います。

自分は攻撃せずに異物を攻撃する

免疫反応では対象を捉えて攻撃するという反応が起きているのですがそのためには自分自身(自分の細胞)とそれ以外を認識する必要があります。それが免疫寛容と免疫反応と呼ばれる反応です。免疫寛容とはまさに免疫反応が起きなくする機構でこれがあるため免疫細胞が自分の細胞を攻撃する事なく体の中で働く事が出来るのです。この免疫寛容がうまく働かないと自己の細胞を攻撃する自己免疫疾患となり、有名なものでは関節リウマチなどがあります。この自己免疫疾患では外から入ってきた異物がないにもかかわらず自分の細胞を異物として認識し、炎症を引き起こします。逆に異物を認識する機構が免疫反応となりますが、この免疫反応がうまくいかず異物を異物としてうまく捉えられないと免疫疾患となります。

Trained immunity

免疫反応に関連して今最も免疫学で注目されている反応のひとつにTrained immunityという言葉があります。非常に新しい考え方で、免疫反応をうまく起こさせる機構の一つとなっています。ワクチンに代表される2次免疫応答を利用した獲得免疫とは全く違う、自然免疫と呼ばれるマクロファージなどの自然免疫系統の細胞にも獲得免疫の2次免疫応答のような強い免疫反応を起こさせる機構です。

ワクチンによる獲得免疫は古くから知られていますがこの自然免疫にも同様に免疫反応を強くさせる機構があるという事で非常に注目を浴びています。ワクチンでは故意に異物を体に取り込ませる事で異物を認識させて二度目に同じ異物が入ってきた時に素早く免疫応答を起こす機構なっていますが、このような二度目以降の免疫応答の強化を別の機構でも行なっているのがTrained Immunityです。Trained Immunityを日本語に直すと「訓練された免疫」とでも言えるのですが非常に新しい言葉でもあるので元の言葉通りTrained Immunityと使われます。このTrained Immunityと獲得免疫の存在によっても口腔内での免疫反応の強さが変わる可能性があります。

免疫反応というと少しとっつきにくく聞こえますが、歯科の治療においては口腔外科も歯周病治療も、虫歯による神経の痛みにしろ免疫反応とは切っても切り離せない存在となっています。特に歯周病においては骨を溶かす細胞である破骨細胞の活性が免疫反応による炎症と非常に深い関わりを持っているので免疫の研究が進めば歯周病治療にも大きな変化をもたらす可能性があるのです。

免疫細胞.jpg

☆☆☆ 千種区の歯医者の阿部歯科では歯科治療や歯科に関連した様々なお役立ち情報をお届けしています ☆☆☆

執筆者 阿部歯科 副院長 阿部利晴

1980年 名古屋市千種区に生まれる
2005年 愛知学院大学歯学部 卒業
2005年 豊川市民病院 歯科口腔外科で臨床研修医を経験
2006年 愛知学院大学歯学部 顎顔面外科学講座に入局
2010年 愛知学院大学大学院 歯学研究科を修了 総代
2010年 愛知学院大学歯学部 顎顔面外科学講座で非常勤助教となる
2010年 名古屋大学医学部附属病院 麻酔科にて医員を経験
2011年 アメリカ ペンシルベニア大学歯学部にて勤務
2014年 アメリカ ペンシルベニア大学歯学部で講師として勤務
2014年 アメリカ 国立衛生研究所 国立歯科・頭蓋顔面研究所にて非常勤連邦職員となる
2015年 阿部歯科 副院長に就任

病院や歯科医院で飲み薬の抗菌薬が出される事がありますが、この飲み薬の抗菌薬に関して「飲んでどれくらい効いているのか?」と疑問に思った事はありませんか?抗菌薬の効果には真正細菌に対する感受性の範囲である抗菌スペクトルと生物学的利用能であるバイオアベイラビリティが関係しますが今回はこの「生物学的利用能:バイオアベイラビリティ」についてお話をしようと思います。

バイオアベイラビリティ

抗菌薬が機能を発揮するためには抗菌薬が細菌に対して届かないといけません。しかし服薬の場合は抗菌薬が細菌に届くまでに様々な代謝を受けて本来の抗菌薬の構造が変わり本来あった全ての抗菌薬の成分が届くわけではありません。つまり100あった抗菌薬の成分が代謝を受けて一部が失われて50や30になってしまう、これを生物学的利用能:バイオアベイラビリティと呼びます。飲み薬である服薬の際のバイオアベイラビリティは抗菌薬によっておおよそ決まっています。

初回通過効果

抗菌薬が服薬された後に体に吸収されないと抗菌薬の成分は循環に達する事ができません。この吸収されてから循環に達する際に代謝される過程を初回通過交換と呼びます。代謝は主に肝臓で行われてこれらの代謝やその他の分解などの要因によってバイオアベイラビリティが決定し、どれだけ循環へと達するかが決まってきます。このバイオアベイラビリティに加えて体循環の際による薬剤効果の低下である半減期が細菌感染に対して影響をしていきます。この初回通過を受けない、つまり点滴による抗菌薬の静脈内投与の場合は抗菌薬の成分全てが循環に達するという事ができます。そのため強くて急を要する細菌感染の場合は点滴による抗菌薬の静脈内投与が選択される事があるのです。

新しい薬ほどバイオアベイラビリティが高いわけではない

細菌感染に対する抗菌薬の効果はこれらのバイオアベイラビリティ、抗菌スペクトル、半減期などの複数の要因によって決定されるので新しい抗菌薬ほどバイオアベイラビリティが高いというわけではありません。逆に言えば例え服薬の際のバイオアベイラビリティが100%に近くても抗菌スペクトルから外れていれば効果は非常に薄いという言い方もできます。歯科領域で比較的よく使われるβラクタム系の抗菌薬も新しい世代の抗菌薬よりも古い世代の抗菌薬の方がバイオアベイラビリティが数倍高い事も珍しくありませんが、このバイオアベイラビリティはあくまでも循環に達するかどうかという括りで効能は上に書いたように複合的な要素で決定してきます。

飲み薬として服薬した抗菌薬でも必ずしも飲んだ成分全てが循環に達するわけではなく薬によっては飲んだ成分の20%ほどしか血中に移行しないものもあるのです。

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千種区の歯医者の阿部歯科では患者さんに役立つ歯科医学知識も分かりやすくお伝えできるよう心がけています。

口の中には様々な細菌が住み着いていますがその種類は500種類から700種類にも登ると言われています。それらの目には見えない細菌ですが口腔に対して有害なものから普段は無害なものまで様々です。ではこれらの細菌ですがどう区別をしてるのでしょうか?

細菌の形

細菌を区別していく上で最も基本的になるのは形の確認です。細菌は種類によって特徴的な形態をしている細菌が様々にあります。それはスプリングのような螺旋形になったものや球のような球形のもの、その球形が連なったもの、棍棒状や紡錘形のものといったように様々な形をしています。これらは細菌を染色した後に通常の顕微鏡で確認したり染色を必要としない位相差顕微鏡などで確認する事ができます。細菌の形の他にも細菌によってある程度平均的な大きさが決まっているため細菌自体の大きさも判断材料の一つにする事もあります。

運動性

細菌には運動性のある細菌とない細菌がいます。通常の染色行程を経た細菌では固定されていて運動性を確認する事は出来ませんが位相差顕微鏡や蛍光顕微鏡、共焦点レーザー顕微鏡といった特殊な顕微鏡では細菌を生きたまま観察できるのでその運動性を確認する事ができます。運動性のある細菌は菌体自身を回転させたり鞭毛といった構造を使って動き回る事ができます。運動性を持つ場合は比較的ランダムに菌体が動き回るため周りの液体の流れに乗って菌が動くのとは見分ける事ができます。

染色による確認

最も基本となるグラム染色という方法で細菌の種類を大きく2種類に分ける事ができます。これらは細菌の細胞壁の構造のペプチドグリカンの厚みによって違った染まり方をし、それぞれにグラム陽性菌、グラム陰性菌と分けられます。数多くある細菌の種類をこのグラム染色で大きく分けられる事になります。その他にも細菌によってはその細菌に特有な染色方法などもありその染色方法は目的によって使い分けられます。

細菌の種類をこういった見た目上で見分けるのにはある程度制限が加わります。これよりも細かく見分けるには細菌の生育条件やその菌自体が賛成分泌する酵素などを確認したり遺伝子的にその細菌を同定するといった手法が必要となってきます。これらの方法は確認に時間が必要なため迅速な判断の方法としては使い辛いといった側面もあります。そのためどこまで細菌の種類を判別するのかといった目的によってこれらの確認に使われる方法を使い分けるといったような事も行われています。

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