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どうして歯周病になるのか

歯周病は成人の80%もの人が罹患していると言われる世界で最も有病者の多い疾患ですがその原因はかつて考えられていた特定の細菌による感染の結果から口腔内の細菌叢の変化とそれに伴う免疫反応の過剰反応による結果おきるというようにここ10年で考え方が大きく変わってきました。

かつて言われていた歯周病の原因菌

歯周病の原因菌としてはポロフィロモナス・ジンジバリス(Porphyromonas gingivalis)、 トレポネーマ・デンディコラ(Treponema denticola)、 タンネレラ・フォーサイシア(Tannerella forsythia)という Red complexと総称される細菌群が引き起こしていると考えられていましたが現在ではこれらの細菌がいなくても歯周病になりえ、さらにこれらの細菌が口腔内から分離されても歯周病になっていない人もいるという事が分かっています。

元々Red complexとは歯周病患者から細菌を分離してその歯周病の程度と分離頻度の多さにより分類されたもので、その中でもRed complexと呼ばれる赤色でまとめられた菌群が疫学的に最も歯周病に大きな影響を及ぼすという事で歯周病の原因菌として研究がすすめられました。

特定の細菌ではなく細菌集団全体の悪性度の変化により起きる歯周病

ある特定の細菌から歯周病が起きていると考えられていた10年前とは変わり今ではマイクロバイアルシフト(Microbial Shift)と呼ばれる細菌集団全体の悪性度の変化により免疫が過剰反応して歯周病が起きると考えられるように変化してきました。

そして、Red complexの細菌群は歯周病を悪化させる強い要因になりえるもののそれ自体がいなくても歯周病になりえるため、特定の細菌による歯周病の発症という考え方から細菌集団全体の悪性度の変化、Symbiosisと呼ばれる共生状態にある安定した細菌集団の状態からDysbiosisと呼ばれる安定性が失われて悪性度が増した細菌集団の状態へと変化する事でその結果免疫が過剰反応し歯周病になると考えられるようになってきました。

マイクロバイアルシフトという考え方は虫歯の原因論に関しても大きな影響を及ぼしており、虫歯の原因に関してもここ10年ほどで考え方ガラリと変わりました。

細菌集団の悪性度の変化とは

共生状態にある安定した悪性度の低い細菌集団の状態から悪性度の高いDysbiosisの状態へとマイクロバイアルシフトする事で細菌集団内では様々な変化が起きます。

細菌同士の相互作用により強いプラークを作り出すと共にお互いの代謝産物を相互に活用し、混合感染によるお互いの細菌の遺伝子発現の変化とタンパク質発現、それに対する過剰な免疫反応と炎症に伴う出血による細菌への栄養供給、それらの結果起きる歯止めの効かない細菌の増殖と炎症反応という悪循環を引き起こす事となります。現在ではそのような悪循環の結果が歯周病を引き起こす原因だと考えられるように変わってきたのです。

千種区にある歯医者の阿部歯科ではこのような歯周病の悪循環に対応するために顕微鏡や特別な器具を用いた処置によって治療を行っています。

(関連記事:阿部歯科では健康保険内、別途費用なしで特別な歯周病検査・処置を行っています

参考文献:

1) Periodontal microbial ecology. S. S. Socransky, A. D. Haffajee. Periodontol 2000. 2005.

2) Microbial Shift and Periodontitis. A. B. Berezow, R. P. Darveau. Periodontol 2000. 2011.

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