理想的な噛み合わせってなんでしょうか?S.P.Ramfjordによる理想咬合の定義によりますと、まず始めにかいてあることに中心位で咬合した際に下顎が安定している事とあります。ここにかいてあることは、理想的なことですので健常者すべての口のなかに当てはまることではないです。
中心位という難しいことを書きましたが、何かともうしますとこれは噛んでいる位置の事ではないのです。それは、歯の位置の事ではなく顎関節からみた位置の事です。えっ、歯の位置は関係ないのですか?そうなのです、噛み合わせを論ずるときに歯医者さんでは歯の事だけではなく顎の位置の事も考えた上で噛み合わせを見ているのです。
では、中心位という顎の位置がどういうときに関係するのかと言いますと、それは歯が無いときに、噛み合わせが無いときに、噛み合わせが不安定なときに基準になる位置なのです。歯医者さんは噛み合わせがないときにでも、歯を作らなければならないときに何かしらの基準をもってして治療を行っているのです。
どういうときにそんな状態であるかと言いますと、すぐに思い付くことが総入れ歯を作るときです。総入れ歯を作るときには基準となる歯が一本もないのです。歯を作るときには自然にできるのではなく、ステップを踏んで少しずつ作っていくのです。型をとったら次にはできてくるというわけではないのです。
咬合
型どりの次に、どこで咬むといいのかを歯医者さんサイドで設定するのです。水平的位置はどこにするのか?垂直的位置はどこにするのか?見た目を損なわない歯の位置はどこにするのか?正中線を設定。歯が歪まないで並ぶ位置はどこなのか?トータルで判断して設定していくのです。
そのためにも顎関節の位置を基準として見極めていきます。時々、型をとった次に歯が出来てこないのですか?といわれる事もありますが、そうではないのです。先程述べたように様々な事を設定して噛み合わせを作っていくのです。人それぞれで噛み合わせは違いますのでここに合わせた咬合を作っていきます。
心ならずも歯をすべて失ってしまったとしても顎の関節はなくなることはありません。ただ、顎関節の変形によって理想的な噛み合わせを構築することが難しい場合もあります。レントゲンで分かることもありますし、ジャリジャリとした音があることによって間接的に変形の可能性を判断できることもできます。
習熟した技術のもと困難な症例にたいして治療を施していきます。どうしても難しい患者さんの治療においては時間が上記の理由によってかかることがあります。しかし、どれも省くことができない大切な過程なのです。どうぞ、ご理解いただけたらと思います。