以前に複数のレセプトコンピュータのメーカーから数社を選びお話を聞いた話を書きましたが前回のレセプトコンピュータの選定に引き続き今回は2日かけて2社からレセプトコンピュータの細かい運用方法や説明を受けてきました。そこで今回はこれから開業を目指している歯科医師の先生方に向けて少しでも役に立てばと思い少し内容をお話しようと思います。2社のレセプトコンピュータ共に非常に完成度とクォリティーの高い印象を受けました。
レセコンメーカーは勤務先で使っていたものを選ぶ?
一般的には勤務先で使っていたレセコンをそのまま自分の開業先でも運用される方が多いという話を聞きますが、個人的にはレセコンメーカーは複数社からある程度の時間と労力を割いて自分で決めていった方がいいと思っています。ユニットや器材は色々と時間を割いて労力をかけられる先生が多いですがレセコンに関しては使い慣れたメーカーを選ぶ傾向が強いと良く聞きます。慣れたレセコンであれば入力にも手馴れており勝手も分かると思い同じメーカーを使おうと決めて、メーカーとの話し合いはレセコンメーカー決定後の運用面の内容が主になると思いますが個人的にはレセコンメーカーの決定の前になるべく労力と時間を割いた方がいいのではないかなと感じています。
レセコン打ちは慣れるが到達点は同じではない
レセコンは使い慣れれば当然打ち込みが早くなっていくのですが、A社とB社とC社のレセコンを同じように使い慣れたとして最終的な運用は同じようにいくかと言ったらもちろん違いますし、歯科医師個人の好みや歯科医院の方針によってもどこのメーカーがいいのかというのは当然変わってくると思います。しかしながら乗り物に例えると、A社が自転車でB社がバイクでC社が車だとして、100m離れた場所に買い物に行くのにC社の車を使うでしょうか?前の勤務先でA社の自転車を使い慣れているのでB社のバイクもC社の車も使い慣れていないので選ばなかったが、買い物は3km先のスーパーに行かないといけないという場合、A社の自転車を漕ぎ慣れてるが自転車で行く事がベストな選択であったのか?という問題が出てきます。A社の自転車が好きだしそれが好みの差だという答えもあると思いますが、B社のバイクとC社の車で運転した場合の結果を確認した上での結論であるかも大切となってくると思っています。
勤務先で使っていた「A社が自転車、B社がバイク、C社が車」がレセコンメーカーだとすると、目的地の場所が「自分の歯科医院での運用方法」であり、天候などの要素が「費用」だったりするかもしれません。ただ、B社がバイクでC社が車かどうかは使っていなければ分かりません。そのため、当然自分でもレセコンの説明を聞きつつ使ってみて、メーカーの人が使ってもらってるところも見て、メーカーの担当者にその製品のコンセプトを聞く事が大切となってくると思います。車で言えば、自分で試乗して、担当者に運転してもらって自分は助手席に乗り、車の開発のコンセプトを聞くという感じです。
開業前になるとやる事も多いのでレセコンメーカー選びになると使い慣れたものを選んで、複数社選んでも費用だけに目が行ってしまうかもしれませんが、レセコンメーカー選びは後から変更がなかなか効かない事柄なので開業前の歯科医院のコンセプトという目的地をはっきりさせてある程度の時間と労力を使って選ばれるのに損はないと思っています。A社の自転車、B社のバイク、C社の車のどれが優れているという点よりも、晴れていて近所の買い物に行くのならA社の自転車を、晴れていて離れた場所の買い物ならB社のバイクを、雨で離れた場所の買い物ならC社の車を、諸事情によりC社の車が使えなくても雨でも雨合羽を着てバイクを使うなどと、歯科医院のコンセプトという目的地をはっきりさせてメーカーを選ばれるといいのではないかと思います。
個人的には使い慣れているという理由や時間がないという理由で例えば、晴れた日に遠くの買い物に行くのに(歯科医院のコンセプトに対して)、自転車を選んで(使い慣れているメーカーを選び)、自転車でどのように行くか(後で運用の仕方)を決めるよりも、晴れた日に遠くの買い物に行くのに(歯科医院のコンセプトに対して)、どのようにしてそこに行くのか決めて(運用の仕方を決めて)、乗り物を決定する(メーカーを決める)方がいいのではないかと思っています。乗り物もメーカーも使ってみてからしかなかなか分からない事が多いので、それがどういう乗り物(レセコンメーカーのコンセプト)なのかを知るためにあらかじめ時間と労力を割くことはかなり有効だと感じています。
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