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阿部歯科での根拠に基づく歯科医療

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歯科治療には一般的に行われている治療法から滅多に行われない特殊な治療法まで様々な治療法がありますが、特殊な治療法の中にはやや科学的根拠の乏しいものもあります。

その判断の難しい点が、あまり行われない治療法だからといって必ずしも科学的根拠に乏しいというわけでもなく、逆に一般的に行われているから必ず科学的根拠に基づいているというわけでもないという点です。

滅多にやらない治療法だから間違っているというわけではないというわけでもなく、珍しい治療法でも治療成績の正しさが認識されているというものも実際多くあります。

そこで今回は、では何をもってして正しい治療法なのか?という事に関してお話しようと思います。

(記事の追記:2020年4月2日)

正しいと思えば正しい治療法なの?

科学的根拠に基づいて言えばもちろんそんな事はありません。

治療方法を説明できて痛みもなくなったから正しいという判断でもありません。「根拠に基づく医療:EBM(evidence-based medicine)」という言葉をどこかで聞いた事があるかもしれませんが、これは疫学や統計手法によってどれくらい「根拠」が正しいかと判断する事によって科学的妥当性の高さを決定しようというものです。

しかし、このEBMですが言葉は普及しているものの「科学的正しさの判断」という点において意外と認識されていない部分も多くあるかもしれません。

論文、教科書、みんなが知っていれば正しい?

論文、教科書は研究や過去の論文をもとにして執筆されていますが、実は論文に出ていたり教科書に載っていれば必ず正しいというわけでもない点が難しい点です。

それを説明するものの一つにネイチャーで発表された有名な報告があります。その報告では過去行われた重要な癌の論文の研究結果の70%以上に再現性がなかったと報告されました(NIH mulls rules for validating key results. M. Wadman, Nature. 2013. Raise standards for preclinical cancer research. C. G. Begley. Nature. 2012.)。

再現性がないとはつまり、同じ手法で同じ実験をしたにも関わらず研究の報告通りの結果が出なかったという事を意味します。もちろん、再度実験をした人の手法や使った試料に問題点がある場合もあるため再現できなければ必ず間違った論文というわけではないのですが、実はこの再現性の確認、「追試の成功」といいますが、これは科学的根拠を示す重要な事柄の一つとなります。

逆に追試に成功しないと科学的妥当性を疑われる事もあります。そのため、論文に出ていれば必ず正しいというわけでもなく、その論文をもとにした教科書も必ずしも正しいというわけではないのです。

では、みんながよく知っているよく普及した知識であれば正しいのでしょうか?

みんながどれくらいよく知っているのかというのは判断がしづらいところですが、論文には被引用数というものがあります。

被引用数はその論文が発表されてからどれくらいの科学的な研究に根拠として採用されたかを示す数なのですが、この被引用数は非常に様々で誰もが知る有名な論文雑誌に出たものの被引用数が1桁のものから、あまり有名でない論文雑誌に出た論文が3桁の被引用数を超える事もあります。

そのため、どういう論文雑誌に出たかという事自体がこの被引用数に必ずしも影響するとも限りません。

そしてこの被引用数が多ければ多いほどよく普及しているとも言い換えられます。この、被引用数が多くてみんながよく知っていれば正しいのかというとこれが困った事に被引用数が非常に多くても再現性がない場合さえあります。

実際に被引用数1000を超える非常に有名な論文の執筆者本人が実験に再現性がないから今後論文を引用しないでくれと発表した事さえあります。被引用数1000というのは論文でいえばかなり有名な論文と言えます。

そのため、論文やその治療法がよく広まっているため科学的に正しいという事も言い切れなくなってしまうのです。

正しい治療法の根拠とは確定的ではなく確率的に決まってしまう

このように、確実にこれがあれば100%正しいと言える基準(確定的な基準)が実ははっきりとないため、EBMでは科学的根拠の強さを統計手法によって確率的に求めるようになっています。

そのため、発表された論文や治療法の正しさも関連論文を複数統計手法にかけて比較して判断したり、治療方法の成績を疫学的に判断して根拠の強さを判断しています。

あくまでも根拠的に強いか弱いかという判断基準になるため、絶対正しいという言い方はできないのです。

実際の臨床では発表されたオリジナルの論文、新たに発表された論文、治療手法、再現性の有無、被引用数、統計手法による解析、レビューなど様々なものを総合判断する事になります。そのため科学的根拠に基づく歯科医療を実践するために、千種区の歯医者の阿部歯科では日々発表される新しい論文を確認しつづけて勉強しつづける事を大切にしています。

執筆:阿部歯科 副院長 阿部 利晴

執筆論文掲載雑誌一覧

2020年

Proteomics

2019年

Journal of Clinical Medicine

2018年

Science Translational Medicine (サイエンス姉妹誌)

2017年

Journal of Clinical Periodontology

2015年

Science Translational Medicine (サイエンス姉妹誌)

Nature Communications (ネイチャー姉妹誌)

Advances in Experimental Medicine and Biology

The Journal of Immunology

Infection and Immunity

2014年

The Journal of Immunology

Cell Host & Microbe (セル姉妹誌)

The Journal of Immunology

Science Translational Medicine (サイエンス姉妹誌)

2013年

Seminars in Immunology

Journal of Immunological Methods

Cellular Microbiology

2012年

The Journal of Immunology

Nature Immunology (ネイチャー姉妹誌)

2011年

Molecular Oral Microbiology

カテゴリー

  • 千種区の歯医者 阿部歯科の取り組み