こんにちは、千種区の歯医者、阿部歯科の阿部利晴です。
顎関節症という名前を聞いた事がありますか?意外と多い顎関節症の患者さんですが、今日は顎関節症の時に聞こえる「音」に関してお話をします。
顎関節症になると聞こえてくる音
毎日の食事で食べてると顎を動かす時に音がしたり顎の関節に痛みを感じる方がいます。いわゆる顎関節症なのですが、顎を開けたり閉めたりする時に「コキッ」とか「ポキッ」という音がする方は実はそんなに珍しくはありません。顎を動かすと音がするなぁと思って来院される患者さんもいますが、痛みがなかったり、腫れがなかったり、顎が開かなくなるといったような症状がなければ基本的には積極的な治療は行いません。
顎を動かす時の音には、「コキッ」や「ポキッ」といった音の他に「ジャリジャリ」といったような音がする場合もあります。顎の関節である顎関節は関節の部分に骨と骨が直接当たらないようにするための座布団のような役割をする結合組織があります。これは顎の関節が動く時に一緒に動いているのですが、何かしらの理由で顎関節の部分から位置がずれてしまう事があります。この座布団のような役割をしている部分が顎関節に乗っかったり外れたりした時に「コキッ」とか「ポキッ」とかいう音がするのですね。
この状態が顎関節の周りに炎症を起こす原因になって痛みが出てきた時や顎が開かなくなってしまった場合などを除いて、音だけがするといった場合は経過観察のみの場合が比較的多いです。
顎関節症では骨同士が擦れている場合もある
他の「ジャリジャリ」という音ですが、これは骨が擦れている音の可能性があります。何かしらの理由で座布団の役割をしている結合組織に穴が開いてしまったりした場合に顎関節が骨と擦れて「ジャリジャリ」という音がする事があります。骨同士が擦れてしまっている場合は炎症が起きやすくなり可能性があるあるため、あまり大きな口を開けないようにしたり顎の使い方の指導をする事がありますが、音がするというだけの場合はこの場合も基本的には積極的な治療を行わない事があります。
その他の顎関節症
顎関節症には筋肉の痛みからくるもの、顎関節の周りが捻挫のような状態を起こしたもの、顎関節にある座布団のようなものがずれてしまったりもの、顎関節の骨が変形してしまったものなどがありますが、基本的には日常生活に支障をきたしているか、つまり顎の関節が痛かったり、口が開きづらくなったり、口が閉じなくなってしまったりといったような症状が出るかどうかが積極的な治療をするかどうかの分かれ目になってきます。
顎関節症の治療法
顎関節症に対してはマウスピースのようなものを入れて使ってもらったり、炎症を抑える薬を処方したり、顎が開きづらくなった人には開口訓練をしたり、顎関節にたまってしまった炎症性の物質を洗い流したりの処置をする事がありますが、ごくごく稀に手術をする事もあります。しかしながら基本的には手術のような大きな負担がかかるものは行われる事は少ないです。
顎は食事のためにほぼ毎日使うものなので、顎の関節に何かしら感じたらあまり固すぎるものは咬まず口もあまり大きく開けすぎずに安静にするという事も大切になってくる場合があります。