こんにちは!千種区池下の歯医者 阿部歯科の副院長/歯科医師の阿部利晴です。
皆さんも聞いたことがある「CTとMRI」という体の画像を見る方法ですが、歯科治療でもCTやMRIによる画像診断が行われる事があります。
そこで今回はCTとMRIの違いについて詳しくお話をしようと思います。
【ブログ内容の再執筆日】2017年12月8日(金)18時30分
CTとMRIの違い
CTは日本語でコンピュータ断層撮影法と言い、MRIは磁気共鳴画像と言います。
どちらも体を3次元的にコンピュータに画像として作り出す事ができる技術なのですが、その原理が全く違います。CTはレントゲン撮影に使われるX線を利用してMRIは磁力を利用して画像を作り出しています。画像を作り出す原理自体が違っているのです。
CTの原理について
これはコンピュータの性能を最大限に活かしたレントゲン撮影と言うと多少分かりやすいかもしれません。
X線は発生源から光の様に扇状に広がって進むのですが、この広がりを限りなく直線に近ずけてまっすぐ進む細いX線の束を作り上げる所から始まります。
そしてこの限りなく直線に近く進むX線をセンサー側で受け取ります。
この動作を体の周りグルリと撮影する事で色々な方向からの情報が手に入ります。その情報を元に解析してコンピュータ上に立体的な画像を作り出しています。
通常のレントゲン撮影と基本原理は同じですが、コンピュータの性能を最大限に活かした方法で画像はボクセルと呼ばれる四角い箱の様な空間データごとに管理されて、ドット絵の様に細かく画像を作り上げて行くので「細かい所も描写されるために空間分解能が高い」と表現されます。
MRIの原理
一方でMRIは全く別の原理で画像を作り上げています。CTの様にX線を使うことはなく強力な電気的に作り上げた電磁力を利用しています。
最近流行りの電気モーターを使った車がありますが、あれと同様に電気を利用して磁力を発生させているのです。MRIと電気モーターの違いは磁力を受ける位置に人がいるか車輪を回すための動力部があるかという違いがあります(この場合はブラシレスモーターに当たるのですが、歯科とはあまり関係ない分野の話になってしまいますので説明は控えます)。
電気モーターが磁力を発生させてクルクルと動力部の磁石を回転させるのと同様に、実はMRIでも発生させた磁力を利用して体の分子に影響を及ぼします。
その分子とは体の中にある水素分子なのですがこの水素分子は全ての軟組織に存在します。
水素原子は原子核の周りを1つの電子がクルクルと回っていますがこの回転方向によって水素分子にも磁石と同じようにS極とN極が出来上がります。
この水素原子にできたS極とN極に対してMRIで発生させた強力な磁力を当てることで体に存在する水素分子のS極とN極の方向を整列させる事ができます(これを水素原子(プロトン)のスピンを揃えると言います)。
そしてその後MRIから発生させた磁力を止めると水素原子のスピンはまたバラバラの方向に向いていきます。このバラバラに戻って行く過程を観察して画像にしているのがMRIなのです。
MRIは軟組織ごとのコントラストがつきやすいため軟組織の違いを見分けやすく組織分解能が高いと表現されます。
歯医者でのCTとMRIの利用方法
歯科領域ではMRIと比べると圧倒的にCTを使うことの方が多いです。
その理由はMRIは骨や歯が映らないからです。理由は骨や歯には水素原子が軟組織に比べて極めて少なくMRIで測定した時に信号なしとなってしまうからです。
歯科領域だともちろん歯や顎の骨が対象となってくるのでみたい部分が見えてないと言うことになってしまうのですね。
そのため歯科では骨や歯が映るCTがMRIに比べて圧倒的に多く用いられるのです。ただ歯科領域においても顎関節症などに対して軟組織を細かく見る目的でMRIを利用する事もあります。
本記事の執筆:歯科医師 阿部 利晴 (あべ としはる) / 千種区内の歯医者 阿部歯科副院長
【歯科医師としてのプロフィール】
1980年:名古屋市千種区生まれで、歯科医師の祖父と父親を持ち地元で育つ
【一言】国内だけでなく、アメリカでも歯科治療に関し、様々な知識/経験を得てきました。
日本とアメリカで長年培ってきた技術をリニューアル開業後、存分に活かし、それぞれの患者さんに適した治療をいたします。
阿部歯科のある池下近隣の患者さんはもちろん、千種区内にお住いの多くの方に頼っていただけるような歯科医院を作り上げたいと思います。
どうぞよろしくお願いいたします。