千種区池下の歯医者 阿部歯科 副院長の阿部利晴によるブログで、アメリカの歯科医療についての事情等を載せています。

<電話番号をタップするとお電話できます>
TEL:052-751-0613
<時間外受付はこちら(初診のみ)>
TEL:090-3300-5882

※夜22時までの受付となっております。
メール予約の受付は24時間可能です!ご予約・お問い合わせ
平日の遅めの時間と土日が予約が取りづらくなっていますので、お早めのご予約をおすすめします
東山線「池下駅」徒歩5分 「今池駅」徒歩6分 仲田銀座商店街 広小路通沿い ホカホカ弁当近くの歯医者
診療案内
副院長ブログ

当院副院長からのお知らせ、出来事のご紹介です。

口腔内レジストーム.jpg

細菌の抗菌薬(抗生物質)に対する耐性菌の問題が世界的にも注意されていますが、口腔内の感染に対して抗菌薬は非常に重要な薬と言えます。

虫歯が進行すると歯の神経まで細菌感染を起こし、歯髄や歯根の先端に膿を作る事があります。

膿が大きくなって顔が腫れたり、親知らずが感染したといった場合にも抗菌薬は重要な対処方となりますが、それも抗菌薬が細菌に効くという事が前提になっています。

口腔内の細菌に抗菌薬は効き続けるの?

細菌の持つ抗菌薬耐性の遺伝子の保存にレジストームという概念があります。

レジストームとは抗菌薬に対する多数の耐性遺伝子の総体を示しています。このレジストームの存在が抗菌薬に対する耐性を示す事となります。

様々な抗菌薬に対する多くの遺伝子は細菌の中に保存、受け継がれて、新たな抗菌薬が発見、使用されるたびにあらたな抗菌薬耐性遺伝子が発現していき、その結果耐性菌ができる事があります。

不用意な抗菌薬の使用で耐性菌が生まれる一方で、まだ抗菌薬の存在しなかった時代の口腔内細菌にも様々なレジストームが確認されるため、抗菌薬の使用によってのみこれらの抗菌薬耐性遺伝子が発現したというわけではありません。

抗生物質は元々、真菌などの生物から発見されて自然界に存在したものもあるので、それらに対抗する形で古くから一部の細菌が耐性遺伝子を持ち続けて、保存し続けたという点もあります。

それに加えて、口腔内の細菌に対して抗菌薬耐性遺伝子が新たに増え続けると必然的に口の中の感染性の炎症に対しての効力が下がっていくという事になります。

口腔内の細菌でもβラクタム系、クリンダマイシン、エリスロマイシン抵抗性のある口腔内レンサ球菌が血流に乗って心内膜炎を起こす事も報告されており、口腔内の細菌に対して抗菌薬耐性を持たせないようにする事は体全体から見ても大切な事というのが分かります。

(関連記事:歯医者さんは出す抗生物質をどうやって決めているのか

口腔内細菌のレジストーム

原住民や古代の人々から確認されるレジストームを見ると医療的な抗菌薬の処方に関係なく、歯科医院でよく処方されるβラクタム系、マクロライド系の抗菌薬に加えて、アミノグリコシド系、テトラサイクリン系といった様々な抗菌薬に対する耐性遺伝子が細菌から確認されます。

現代人において、サンプルの遺伝子を包括的に解析するメタゲノム解析を行うと口腔内のプラークや唾液中の細菌からβラクタム系、マクロライド系、テトラサイクリン系、アミノグリコシド系、ニューキノロン計、リンコサミド系、ストレプトグラミン系、プレウロムチリンといった多種多様な抗菌薬耐性遺伝子がレジストームとして確認されます。

ただ、これらの口腔内細菌のレジストームが抗菌薬の処方によってもたらされたかという事を確認すると、処方の量とレジストームの量との間には相関関係が発見できなかったと報告されました。

しかし、これは現段階で相関関係が見つけられなかったというだけであって今後常に関係ないという事を意味していません。そのため、今現在有効に活用できている抗菌薬を今後長く使用し続けられるようにするためにも抗菌薬の処方は必要性をしっかり確認した上で適切に使っていく事が大切となるかもしれません。

千種区の歯医者の阿部歯科では虫歯が痛い、歯周病で歯茎が腫れたなどさまざまな患者さんの悩みに対応しています。

(関連記事:口腔外科でも問題となる多剤耐性菌とは

参考文献:

1) Pathogens and host immunity in the ancient human oral cavity. Warinner C., et al. Nat. Genet. 2014.

2) The microbiome of uncontacted Amerindians. Clemente J. C., et al. Sci. Adv. 2015.

3) Abundance and diversity of resistomes differ between healthy human oral cavities and gut. Carr V. R., et al. Nat. Commun. 2020.

 

ベアリング.jpg

歯医者さんで使うドリルには安全性や痛くないように治療できる様々な工夫が含まれています。

削る際の振動を抑えたり怖い気持ちが少しでもなくなるようにドリルから出る音を工夫したりと様々な技術が取り入れられています。

そういったドリルの進化の中でかつては使われていたのに様々な理由で消えていった技術もあります。

その一つがドリルの種類の一つのエアータービンハンドピースに使われるエアーベアリングの技術です。今ではほとんどがボールベアリングに置き換わってエアーベアリングを採用しているエアータービンハンドピースはほぼなくなっています。

30、40年前はまだまだ使われていたエアーベアリングの歯科用ドリル

ベアリングというのはドリルの刃を回転させるための軸を支える軸受けの事です。

ベアリングには元々空気の圧力によって作られた薄い膜で軸を支えるエアーベアリングと小さな球で軸を支えるボールベアリング用の2種類が採用されていました。

かつてのボールベアリング方式はベアリングの潤滑をよくするために歯科用ドリルであるエアータービンハンドピースを使用する際に潤滑油のオイルをオイルミストとして使用と同時に噴霧していましたがエアーベアリング方式の場合はその必要がなく、それぞれに欠点と利点が混在しており両方のベアリング方式が使われていました。

しかし、今やエアータービンハンドピースのベアリングはボールベアリングがほとんどを占めていますがこれにはボールベアリング方式の進化とエアーベアリング方式の安全性の大きな弱点が関係しています。

(関連記事:昔の歯医者さんはどんなドリルを使っていた?(エアータービン編)

昔はそれぞれに利点と欠点があった

エアーベアリング方式を使ったドリルは歯を削る時はボールベアリング方式よりも高速で回転させる事ができて歯の切削効率も優れていました。

エアーベアリング方式が1分間に50万回転(500,000 rpm)で削れるのに対してボールベアリング方式では1分間に30-40万回転ほど(300,000-400,0000 rpm)とドリルの回転速度に大きな差がありエアーベアリング方式の方がより早く削れて切削効率の良さから治療時間を短縮できる利点がありました。

しかしエアーベアリング方式は圧縮空気でドリルの刃の軸を支えるという特性上、常に高い空気圧を維持する必要があるうえにドリルの刃を強く押し上てるとベアリングとなる空気の膜が乱れてとたんに回転速度と歯を削る力であるトルクが減少するという欠点がありました。

一方でボールベアリング方式では回転速度はエアーベアリング方式にかなわないものの刃を押し当てても回転数の減少は少なく、強いトルクを維持できるという利点がありましたが削る際にオイルミストを使用してベアリングの潤滑を維持する必要性もありました。

エアーベアリングの刃は急には止まれない

今やほとんどがボールベアリング方式に変わったエアータービンハンドピースですが決定的な変化はボールベアリング方式にセラミック球が使用されはじめた事に始まります。

1970年代までオイルミストを必要としたボールベアリング方式のエアータービンハンドピースはベアリングの改良により常にオイルミストを出しながら削るのではなく定期的にオイルを注油する事で対応できるようになり、さらには鋼鉄製のベアリングの球に変わって1991年になるとセラミック球を使用したベアリングが登場しはじめました。

セラミック球を使ったベアリングは鋼鉄製の球を使ったベアリングよりも比重が軽くベアリングの球にかかる遠心力をより減らす事ができたためボールベアリング方式のエアータービンハンドピースの回転数をより上げる事ができるようになり、さらに鋼鉄製の球ほどのオイルの注油も必要なくなりました。

これによってボールベアリング方式でより高速によりトルクが高くより清潔に治療ができるように進化したのです。

一方で、今ではすたれてしまったエアーベアリング方式の歯科用ドリルですが回転数の低下やトルクの低下といった弱点の他に非常に大きな弱点がありました。

それが歯を削ってドリルを止める時にドリルの刃がなかなか止まらないという弱点でした。

歯が回っている間は危ないので口の中からハンドピースを取り出す事ができずにいました。

時間にしてエアーベアリング方式のドリルではおおよそ5秒くらい刃が止まらない一方で、ボールベアリング方式のドリルでは2秒ほどで刃が取り出せるという大きな差がありました。

このような安全面の差と常に回転数を高く保たないと安定しないエアーベアリング方式に対して、回転数が落ちても安定しやすいボールベアリング方式の特徴の差が現在ほとんどのエアータービンハンドピースがボールベアリング方式で採用されているという現在の状況に繋がっているのです。

今池から5分の歯医者の阿部歯科ではどのような歯科治療の器具がより安全性が高いかについても関心を持っているので、このようなドリルの進化についても興味が非常に持てます。

(関連記事:歯医者さんのドリル

参考文献:

1) The development of the dental high-speed air turbine handpiece. Part 2. J. E. Dyson, B. W. Darvell. Aust. Dent. J. 1993.

2) Comparison of rotational speeds and torque properties between air-bearing and ball-bearing air-turbine handpieces. M. Taira, et al. Dent. Mater. J. 1989.

3) The dental handpiece - a history of its development. R. R. Stephens. Aust. Dent. J. 1986.

 

交絡バイアス.jpg

歯科医療も含めて医療研究では様々な研究結果や材料の効果、現象の解析が報告されますが専門的な分野であればあるほど深く内容を理解して分析する事は難しくなってきます。

内容を理解する際に注意しなければいけない事の1つに交絡因子という要素があります。そして、この交絡因子の可能性を考えながら新しい歯科治療の報告や新材料の説明を読む事で報告の理解が深まる事があります。

交絡因子とは

歯科医療の新しい知識を得るために論文を読む際に非常に重要な要素となってくるものに交絡因子があります。

この要素を無視して論文を読み続けると間違った知識を得たり使ってしまったりする恐れがあるので論文から知識を得る際には必ず知っている必要があります。

この交絡因子の存在が「根拠に基づいた医療」にも影響を与えています。交絡因子とは別名で交絡バイアスとも呼ばれ科学的研究において意図せずに誤った結論を導く過誤の要因の一種です。交絡因子の例としては

・日常生活が忙しいので洗濯をする暇がない

・日常生活が忙しいので歯を磨く暇がない

・歯を磨かないから虫歯ができる

というある人々の状況があったとした場合に

「歯を磨かないから虫歯ができる」という結論に達しても「洗濯をしないと虫歯ができる」という結論にはならないという点に注意しないといけません。

当然洗濯をしないと虫歯ができるという様な事実はありませんがこの例にあげた人々は忙しくて洗濯をする暇がないのも事実で、忙しくて歯を磨く暇がないから虫歯ができるのも事実です。

そのため見た目上では洗濯をしない事と虫歯の発生の間に相関関係が見られていますが、その間に因果関係は存在せず、あくまでも忙しいという要素のために起きた別々の結果となります。この忙しさという要素がこの例における交絡因子となります。

新しい歯科医療の知識を得る上で避けては通れない交絡因子の存在

この様な誤った結論を出す過誤に対して、新しい歯科医療知識の獲得のために論文などの報告を読んだ際に現象の報告だけが行われている場合は交絡因子が絡んでいる可能性を念頭に置いて報告を読まないと過誤が含まれた知識を吸収してしまう恐れがあります。

そのため、研究報告を読んで知識を得る場合は現象の報告だけでなくメカニズムの解明まで至っているか、追試に成功しているか、レビューなどで複数の報告を分析しているかなどの様々な要素を組み合わせて報告を評価していく必要があります。

今回の様な交絡因子を念頭に置かずに報告された論文をそのまま知識として取り入れると過誤を知識として取り入れてしまう可能性があるので注意が必要となってくるのです。

最新の歯科医療知識を得るためには新たに発表された報告を読む事が必要となってくるのですが、内容を自分で評価してどの様な報告を知識として取り入れていくのか取捨選択する事も非常に大切な作業となるのです。池下にある歯医者の阿部歯科では正しい歯科治療を提供するために日々の勉強にも力を入れています。

(関連記事:阿部歯科での根拠に基づく歯科医療

執筆:阿部歯科 副院長 阿部 利晴

執筆論文掲載雑誌一覧

2020年

Proteomics

2019年

Journal of Clinical Medicine

2018年

Science Translational Medicine (サイエンス姉妹誌)

2017年

Journal of Clinical Periodontology

2015年

Science Translational Medicine (サイエンス姉妹誌)

Nature Communications (ネイチャー姉妹誌)

Advances in Experimental Medicine and Biology

The Journal of Immunology

Infection and Immunity

2014年

The Journal of Immunology

Cell Host & Microbe (セル姉妹誌)

The Journal of Immunology

Science Translational Medicine (サイエンス姉妹誌)

2013年

Seminars in Immunology

Journal of Immunological Methods

Cellular Microbiology

2012年

The Journal of Immunology

Nature Immunology (ネイチャー姉妹誌)

2011年

Molecular Oral Microbiology

 

 

虫歯と食生活.jpg

砂糖を取ると虫歯になりやすいという事は良く聞くと思いますが、逆にどういう食べ物なら虫歯になりにくいのかという事は聞いた事があるでしょうか?

単純に甘くない食べ物がいいのか、果物はダメなのか、そういった事に関してご存知でしょうか?

デンプンは虫歯に影響する?しない?

デンプンは炭水化物に多く含まれており、糖であるグルコースが結合してできた高分子でお米や小麦、芋など日常で食べる様々な食べものに含まれています。

デンプンは唾液の中に存在するアミラーゼと呼ばれる酵素によって分解され糖に変わりますが、デンプンは虫歯に影響するのでしょうか?

ご飯やパンなどデンプンを含む食事は口腔内のpHを5.5以下に下げて口の中を酸性環境にしますが、砂糖(ブドウ糖)そのものや砂糖を含む食事と比べると口の中を酸性環境へと変える影響は少ないと言われます。

さらに、生のデンプンでは摂取する事による虫歯への影響はほとんどないとも考えられており、調理されたデンプンにおいても虫歯への影響の程度は砂糖の3分の1から半分ほどと考えられており、砂糖自体に比べるとその影響は小さくとどまります。

さらに、砂糖とは違い、デンプンの摂取量の違いそのものは虫歯への影響はそれほど多くないとも言われます。

そのため、砂糖を多く摂取しデンプンを少なく摂取する人と、砂糖を少なく摂取しデンプンを多く摂取する人では、圧倒的に砂糖を少なく摂取しデンプンを多く摂取する人の方が虫歯のリスクは下がります。

実際に、第二次世界大戦中に砂糖の供給量が減った日本では戦時中は虫歯の数が減ったものの、その後の食糧事情の回復と砂糖の摂取量の増加で急激に虫歯が増えたと言われています。

デンプン単体では虫歯に対する影響が小さいものの、デンプンに砂糖を加えた加工食品の場合は虫歯への影響が大きくなるため、あくまでも自然のデンプン単体を摂取する場合のみに虫歯になるリスクを下げる事ができると言えます。

さらに、全粒粉など生成していないデンプンを含む食品ではさらに虫歯のリスクが下がると言われていますが、これは咀嚼の際に出る唾液が増える事で口の中の食渣(食べ物の残り)を洗い流す効果や酸性環境になった口腔内環境を中性に戻す緩衝能が上がるためと考えられています。

逆に加工されたデンプンを含む食事では虫歯のリスクが未加工の食品よりもあがると考えられています。

つまり

・砂糖を含む食事の変わりにデンプンを含む食事に切り替えた場合は虫歯になるリスクが下がる。

・生のデンプン(お米や小麦など)は調理されたデンプン(ご飯やパンなど)よりも虫歯のリスクが低くなる。

・調理されたデンプンでも虫歯へのリスクは砂糖の3分の1から半分ほどと低くなる。

・加工されたデンプン、さらに砂糖を加えられたデンプンは虫歯のリスクがあがり、未加工のデンプンほど虫歯のリスクが下がる。

という事になります。

お米や小麦、じゃがいもで比較すると

お米、小麦、じゃがいもそのもの

ご飯、パン、ポテト

砂糖をつけたお餅、ケーキ、スイートポテト

の順に虫歯になるリスクが上がっていくという事になります。

(関連記事:1日にどれだけ甘い物を食べると虫歯になるのか

果物は虫歯になる?

甘い物は虫歯になる、という考えから果物は虫歯になるからダメなんじゃないのかと思うかもしれません。

果物を摂取する事で口腔内のpHは酸性に傾きます。さらに果物を高頻度に食べると(例えば1日8から17回以上)虫歯になるリスクが上がるとされますが、日常的な程度の果物の摂取では虫歯へのリスクは比較的低く、砂糖を摂取するよりもずっとそのリスクは下がるとされています。

さらに過度な頻度の果物の摂取でなければ、果物の摂取頻度によって虫歯のリスクが変わる事はそれほどないとも言われます。

しかし、ドライフルーツのような口の中に残りやすく乾燥によって果物の細胞が壊され糖が出ている食べ物に関しては虫歯のリスクが上がるとも言われます。

果物に関しては、砂糖よりもその影響は小さく、日常的な範囲で食べるのであれば砂糖を含む加工食品を摂取する代わりに砂糖を加えない果物を摂取する方が虫歯のリスク低減に効果を示すという事になります。

虫歯を防ぐ食べ物はあるの?

虫歯になりにくい食生活というのが分かる一方で、逆に虫歯を防ぐ食べ物というのはあるのでしょうか?

虫歯をふせぐかもしれない食べ物の一つにチーズがあります。

チーズに含まれるカルシウムが口腔内プラークのカルシウム濃度を上げて歯の再石灰化に寄与するとともに唾液の量を増やすという事でWHOが2003年にチーズは虫歯リスクを下げそうである(probable)と報告しています。

ただ、この表現は(probable)という、(恐らく)という表現にとどまっています。

他にも食物繊維の多い食べ物やナッツ類も虫歯予防に寄与すると言われていますが、これは食物繊維による口腔内の食べ物の食渣(残り)を取り除く効果よりも、噛む頻度(咀嚼量)の増加によって唾液の流出が増え、その結果虫歯予防に寄与しているのではないかと言われています。

(関連記事:キシリトールガムの効果は?

結果として、精製された砂糖を含む加工食品を減らした上でその分の食事を通常の穀物や野菜、果物の食事に置き換える事が虫歯になりにくい食生活になりえるという事が分かります。

千種区の歯医者の阿部歯科では予防歯科に力を入れていますので虫歯や歯周病が心配な方はぜひご相談ください。

参考文献:

1) Diet, Nutrition and the prevention of Chronic Diseases. (Technical Report Sciences 916). WHO. WHO/FAO Expert consultation. 2003.

2) Diet, nutrition and the prevention of dental diseases. Moynihan P. and Petersen P. E. Public Health Nutr. 2004.

3) Diet and Dental Caries: The Pivotal Role of Free Sugars Reemphasized. Sheiham A. and James W. P. J. Dent. Res. 2015.

4) Effects of Starch on Oral Health: Systematic Review to Inform WHO Guideline. Halvorsrud K., et al. J. Dent. Res. 2019.

シーラント.jpg

シーラントは子供の乳歯や永久歯に対しての虫歯予防として行われますが、その効果をごぞんじでしょうか。

シーラントとは

シーラントは小窩裂溝(歯の溝)の深い乳歯や萌出したて(生えたて)の永久歯に対して、虫歯になりにくくする事を目的として行われます。

子供の乳歯は永久歯に比べて小窩裂溝が深く、プラークや食渣がたまりやすく、萌出したての永久歯はう蝕感受性(虫歯のなりやすさ)が高く、虫歯になる前にあらかじめ小窩裂溝をふさぐ事でプラークがたまり虫歯になる事を予防します。

シーラントの考え方が紹介されたのは1960年代の事で非常に歴史が深く、最初の頃は小窩裂溝にレジンを詰めて紫外線を当てて固める方法でシーラントが使われていました。

その後、

第二世代の化学重合型のレジン

第三世代の可視光重合型のレジン

第四世代のフッ素徐放性のレジン

と進化を重ねて今日のシーラントに至ります。

1970年代にはグラスアイオノマーセメント製のシーラントが紹介されました。

グラスアイオノマーセメント製のシーラントはレジン製のシーラントに比べて防湿がシビアではなく、グラスアイオノマーセメントそのものからフッ素が除法されるという特徴がありました。

その他にもレジン強化型グラスアイオノマーセメント製のシーラントなども出て使われています。

どのシーラントにしても最大の目的は同様で、小窩裂溝(歯の溝)に対するプラークの付着をあらかじめ予防し、その部位に対して虫歯を起こす細菌に栄養源が供給されないように封鎖をするという事が最大の目的となります。

シーラントの効果は?

シーラントの効果は昔から頻繁に調べられていますが、様々な予防処置の効果と比べても非常に根拠の強いものだとされています。

つまり、シーラント処置には虫歯予防効果があるという事が強く言える事になります。

シーラントの予防効果は、シーラントをしなかった場合と比べておおよそ30-70%の虫歯予防効果があると言われています。

これは、シーラントの期間や年齢が様々なため、その予防効果の割合に開きが出ているのですが、いずれにせよ高い予防効果を見せている事になります。

シーラントをした後にシーラントが歯に取れずに残っている割合は1年後でおおよそ80%とされており、この事を考えるとシーラントをした後は定期的に再シーラントをする事が大切となる事を示しています。

しかし、シーラントの虫歯予防効果は完璧なものというわけではなく、あくまでも予防処置という事に注意しないといけません。

それを示すものの一つに、かつてシーラントの施された大臼歯に対して虫歯があるか調べるためにレントゲンを撮ると、17歳の時点で50%にむし歯が確認されたという結果もあります。

これは、永久にシーラントの封鎖性が維持するという訳ではない事からも分かる結果となります。

シーラントは子供の歯にするもの?

シーラントは多くが子供に対して行われますが、その理由は

小窩裂溝が深い乳歯にシーラントが施されるから

う蝕感受性の高い幼弱永久歯(生えたての歯)に対してシーラントが施されるから

虫歯に対しては基本的にシーラントは施されないから

という事が主な理由となります。

さらに、シーラントの効果は若年者ほどより効果が高いと言われるため、子供に対して積極的にシーラントが行われる事となるのです。

ただし、子供以外にシーラントをしてはダメというわけではなく、14歳から17歳の年齢の未成年にも行われる事もあります。

シーラントって虫歯になった歯にはしてはダメなの?

シーラントは虫歯予防のために行われるという特性上から基本的に虫歯になる前に予防処置として行われます。

しかし、シーラントの効果として、シーラントをした部位の細菌の数はシーラントをする前と比べておおよそ100分の1から1000分の1になると言われており、そこに存在する菌種も半分ほどまでに減少すると言われています。

これは、シーラントをする事でその部位が好気性環境(酸素の触れる環境)から嫌気性環境(酸素の触れない環境)に変化するという事と、その部位に食べ物などの栄養源が供給されなくなり細菌が飢餓状態になる事でこのような結果をもたらすと言われています。

そのため、理屈的には虫歯に対してシーラントを行い封鎖をすると虫歯の進行が抑えられるという事になりますが、現実としては

・シーラントの保持期間は1年後でおおよそ80%

・象牙質まで脱灰のすすんだ虫歯はハイドロキシアパタイト結晶を失いコラーゲン線維などの軟化象牙質が残るのみで再石灰化する事はない

・好ましい環境と栄養源を絶たれた細菌の一部は死滅するものの、一部は休眠状態となりひとたび環境と栄養が取り戻されたら再び活性化する

という事実を考えると、虫歯に対してはシーラントではなく、基本的には虫歯の除去と修復処置を行うのが原則となります。

ただし、ごく初期の虫歯に対してはシーラントを行い、う蝕感受性を低下させるという意味でシーラントを行う事も選択肢の一つとなりますが、あくまでもごく初期の虫歯が対象となります。

(関連記事:「ミュータンス菌が虫歯の原因に」というのは10年前の話

シーラントはどれくらいの期間でやり直せばいいの?

虫歯になっていない歯に対してシーラントを行ってからは基本的には定期健診でシーラントが脱落したかどうかを確認して、脱落していたらやり直すという事が大切となります。

シーラントは目に見える脱落の他に一部がはがれてその隙間から辺縁漏洩を起こす事もあります。

シーラントは長期で5年もつこともありますが、その際の予防効果は下がり続ける事となります。

シーラントが剥がれていない状態でも効果は50%まで低下する事もあり、単純にシーラントが剥がれていないかどうかという事だけが判断基準になるわけではありません。

この事はシーラントの施された歯が17歳の時点でも50%にむし歯が確認されたという話からも分かります。

シーラントが剥がれかけているか、子供のう蝕感受性はどうか、他の歯にむし歯が確認されないか、と言った事の他に定期的なレントゲン撮影による検診が大切となるのです。

今池から5分の歯医者の阿部歯科では子供だけでなく大人に対しての予防歯科にも力を入れていますのでお気軽にご相談ください。

 

参考文献:

1) Caries-preventive effect of fissure sealants: a systematic review. Mejàre I., et al. Acta Odontol. Scand. 2003.

2) The effectiveness of sealants in managing caries lesions. Griffin S. O., et al. J. Dent. Res. 2008.

3) The effect of dental sealants on bacteria levels in caries lesions: a review of the evidence. Oong E. M., et al. J. Am. Dent. Assoc. 2008..

4) Preventing dental caries through school-based sealant programs: updated recommendations and reviews of evidence. Gooch B. F., et al. J. Am. Dent. Assoc. 2009.

 

口腔内乾燥症.jpg

患者さんの中には口が乾くという症状を訴える方がいますが、口が乾くと感じる症状を口腔内乾燥症と言います。

しかし、この口腔内乾燥症ですが口の中の唾液が減少する唾液腺機能障害とは実は少し違った状態にあります。

口腔内乾燥症だけど唾液は出ている

口腔内乾燥症唾液腺機能障害による唾液分泌の減少ですが、実はこの2つは分けて考えられます。

口腔内乾燥症は口が乾く自覚症状を訴える場合に用いられる症状ですが、この際に唾液の分泌量に問題がなくても主観的な自覚症状があれば口腔内乾燥症となります。

唾液は通常では自然に出る場合は1分間におおよそ0.3から0.4ミリリットル、刺激されて出る場合は1分間におおよそ1.5から2ミリリットルほど分泌されると言われています。

唾液の90%ほどの大部分は大唾液腺の耳下腺、顎下腺、舌下線から分泌され、残りは口の中の粘膜に散在する小唾液腺から分泌されています。

唾液分泌量が正常にも関わらず口腔内乾燥症を訴える場合は唾液の漿液性成分と粘液性成分の割合が変わる事などによる性状の変化などによって自覚症状を訴える可能性があると言われます。

しかし、口腔内乾燥症において唾液の分泌量自体が実際に減少する唾液腺機能障害を伴う場合もあります。

唾液量の減少

唾液量が減少する場合に何かの理由がある場合もあります。

唾液の減少は安静時に1分間に0.1ミリリットル以下、刺激時に1分間に0.5から0.7ミリリットル以下だと唾液腺機能障害だと考えられます。

唾液分泌量の減少は年齢があがればあがるほど起きやすくなりますが、他の要因として

・頭頚部悪性腫瘍に対する放射線治療による影響

・シェーグレン症候群

・長期間にわたる気分の落ち込みやストレス

・栄養失調

・多剤服薬の影響

などがある可能性があります。

しかし、これらに対して処置を試みた場合でも口腔内乾燥症という自覚症状は長期にわたって持続する事が多くあります。

そのため、口腔内乾燥症に関しては実際には対処療法として、普段の生活の注意点の指導という事が基本的に行われる事があります。

(関連記事:唾液が減ったら...

唾液量の減少を伴う場合の生活注意点

唾液量の減少がある場合は実際に口腔内に様々な症状が現れる事があります。

・舌にヒビ割れが入る

・舌が焼けるように痛い

・虫歯が増える

・入れ歯がつけにくくなる

・口腔内カンジダ症を発症する

・食べ物を飲み込みにくい

などの症状が現れて実際の生活に支障をきたすことがありますが、その際にはやはりこまめに口を潤すという事が大切になります。

日常生活において

・少量に分けて水分をこまめに取る

・アルコールやカフェインを含む飲み物や刺激性の飲み物は避ける

・スパイスや刺激のある味の食べ物は避ける

・部屋の湿度を日中と睡眠時に加湿器であげる

・シュガーレスのアメやガムをかむ

などの口の中を湿潤させるよう日常生活で気を付ける事が基本的な対応となってきます。

実際の場合は口腔内乾燥症の症状を完全に消す事は簡単ではないため、このような日常生活の注意によって対処していくことが多くなります。

(関連記事:キシリトールガムの効果は?

 

池下にある歯医者の阿部歯科では歯科に関わる様々な情報をお伝えしています。

参考文献

1) Diagnosis and treatment of xerostomia (dry mouth). Napeñas J.J., et al. Odontology. 2009.

2) Diagnosis and management of xerostomia and hyposalivation. Villa A., et al. Ther. Clin. Risk Manag. 2014.

キシリトール.jpg

虫歯予防にキシリトールが良いという言葉はどこかで聞いたことがあるかもしれませんがこのキシリトールの効果をどれくらいご存知でしょうか?

キシリトールって何?

キシリトールは自然に存在する糖アルコールの一種で砂糖の代替甘味料となる甘さを持っています。

数十倍から数千倍の甘さのある人工甘味料とは別で、その甘さは代表的な糖の一つであるブドウ糖(グルコース)のおおよそ2倍でカロリーはおおよそ75%の1gあたり3カロリーです。

キシリトールの歴史は意外と古く1970年代のフィンランドで虫歯予防の添加物として研究が行われており、40年以上の歴史があります。

実際に食品の添加物として使われるようになったのは、国連の食糧農業機関(FAO)と世界保健機関(WHO)が合同で作るFAO/WHO合同食品添加物専門家会議(JECFA)で1996年に食品添加物としての安全性が確認されて使われるようになりました。

(関連記事:1日にどれだけ甘い物を食べると虫歯になるのか

キシリトールって結局は糖なの?

キシリトールは糖アルコールという性質上ブドウ糖とは色々と違った性質があります。

糖尿病で注意しないといけない血糖値の上昇具合を示すグリセミック指数はブドウ糖が100なのに対してキシリトールが7-13とブドウ糖に対して糖質の吸収が穏やかな事が分かります。

キシリトールは自然界に存在しており、果実や野菜に含まれていいますが、商品に使われるキシリトールはカバノキやブナなどの植物から精製されます。

あまりとりすぎるとおなかを下す事も少し有名ですが、個人差はあるものの子供では1日45g以上、大人では1日100g以上とるとおなかを下すと言われていますが大人なら1日40g以下であれば大体の大人は大丈夫とも言われます。

キシリトールは虫歯予防に効く?

キシリトールの作用はいくつかあり、それらを利用して虫歯予防に寄与します。

キシリトールは、非発酵性で口腔内細菌によって酸を産生させないという特徴があり、虫歯になる菌の中でも有名な細菌の一つであるミュータンス菌はキシリトールによって様々な影響を受けます。

キシリトールはミュータンス菌のエネルギー産生プロセスを阻害し、無意味にエネルギー使わせる事で細菌自身の増殖を防ぎ、さらには酸の産生とプラークの産生も阻害します。

実はキシリトールにはミュータンス菌を殺す作用もあり、ミュータンス菌の持つフルクトース・ホスホトランスフェラーゼ系を使ってキシリトールからホスホエノールピルビン酸を経てxylitol–5–phosphateを作る事でミュータンス菌の細胞内液胞と細胞膜減成によって細胞の死を引き起こす事でミュータンス菌を殺すという作用も持っています。

これらの作用によって、プラーク中のミュータンス菌の増殖を防ぐ事ができるのですが、虫歯の中のミュータンス菌の増殖を止めるわけではありません。

つまりあくまでも予防歯科という観点からキシリトールは有用なのであって、虫歯治療に使えるわけではないのです。

予防歯科という点から見たキシリトールはキシリトールガムの使用で虫歯リスクが50%近くまで下がるとも言われ、3歳以下の子供がいる母親に至っては母親がキシリトールガムを常用する事で母親から子供へのミュータンス菌の感染を防ぎ子供の虫歯が減る事も知られています。

その他にもキシリトールはプラーク中のアンモニアとアミノ酸濃度を上げる事でプラーク中の酸を中和するという作用も持っており予防歯科を考える場合は有用な代替甘味料となるのです。

(関連記事:子供の口腔内細菌はお母さんから受け継いだ?

キシリトールがあれば虫歯をなくせるの?

キシリトールが予防歯科という点から見た時に有用であるのですが、知っておかないといけない点もあります。

ミュータンス菌を殺す作用もあるキシリトールですが、キシリトールは全てのミュータンス菌の細菌株に効くわけではありません。

常習的にキシリトールを使う人の口の中のおおよそ80%のミュータンス菌の細菌株にはキシリトール抵抗性があるとも言われています。

しかし、キシリトール抵抗性のあるミュータンス菌は毒性が弱い事も分かっており虫歯の主要因となるような細菌株はキシリトールによる作用を受けると考えられます。

これはミュータンス菌の持つフルクトース・ホスホトランスフェラーゼ系とxylitol–5–phosphate生成との関係に関連しているのでしょう。

そして、キシリトールはプラーク中のミュータンス菌を減らす作用がありますが、口腔内の細菌構成を変えるわけではありません。そのためキシリトールを使っていれば虫歯を根絶できるというわけでもありません。

さらにキシリトールを使っていても他の糖類があればそれによって酸は産生されるため実際の食生活においてキシリトールを取り入れただけで虫歯がなくなるという事はないのです。

そのためキシリトールは使い方を知った上で予防歯科という点から適切に使う事が大切となるのです。

予防歯科に力を入れている千種区の歯医者の阿部歯科ではどのような事が患者さんの日々の虫歯予防に役立つか定期的にお伝えしています。

(関連記事:「ミュータンス菌が虫歯の原因に」というのは10年前の話

参考文献

1) Artificial sweeteners - a review. Chattopadhyay S., et al. J. Food Sci. Technol. 2014.

2) The effect of xylitol on dental caries and oral flora. Nayak P. A., et al. Clin. Cosmet. Investig. Dent. 2014.

2020年.jpg

あけましておめでとうございます。

今池から歩いてすぐの歯医者の阿部歯科です。

いつもは歯科治療や歯科医学、歯の豆知識に関する事を書いていますが、1年のはじめという事で今回は少し毛色の変わった内容を書こうと思います。

歯科医学にも関連する部分もありますが、どちらかと言うと科学全般に関する内容で、私が時々読む図書や映画で見て良かった物などを紹介しようと思います。

一般向け科学雑誌

時々読む雑誌として、

ニュートンプレスから出版されている科学雑誌ニュートン

日本経済新聞から出版されている日経サイエンス

があります。

科学雑誌ニュートンは、最初に読んだのは高校生の時ですが、写真や図など多くて非常に万人に読みやすい科学雑誌だと思います。

時々、歯科医学の内容が書かれている事もあり、特に歯周病に関して書かれる事が時々あります。

普段は、宇宙や物理、数学、考古学や自然科学、医学などに関する事が多いかなと思いますが、宇宙や考古学に関しても歯科治療や虫歯、歯周病の歴史は興味深いと思うのでいつか特集を組んでくれるといいなと思っています。

難しい内容もかみ砕いて説明してくれている事が多く、科学に興味のあるお子さんにも読みやすいかなと思います。

(関連記事:原始人も恐竜も虫歯に悩んでいた?

 

日経サイエンスは、アメリカで非常に有名な科学雑誌のScientific Americanの日本語版の雑誌とも言えるものです。

日本独自の記事や、論文雑誌Natureの記事から抜粋した記事を出しているNatureダイジェストから引用した記事を載せてもいますが、多くがScientific Americanの記事が翻訳されています。

内容は一般向け科学雑誌ですが、専門用語も比較的多く使われていてニュートンよりも内容が専門的にふられているかなという印象を受けます。

内容はニュートンと近く、幅広く、宇宙、物理、数学、考古学、自然科学や医学などと取り扱っていますが、読み応えが結構あるように感じます。

自然科学関連の記事でも読んでいると歯科医学に関連する事を取り扱っている事もあり、最新に近い情報に触れられる事もあります。

映画

映画で見て良かったなぁと思ったのはインターステラーです。

宇宙やSFを取り扱った映画は多いですが、インターステラーは科学的正確さに関して評判が良いそうです。

宇宙の移民に関する映画ですが、宇宙を移動する間の歯科トラブルに関してNASAで対策が取られているくらいですので、少し宇宙空間での歯科事情を考えてしまいます。

移動する間に遠心力で重力を疑似的に再現したり、ブラックホールの近くにいるのに体がつぶれない、時間のズレ、少し前にテレビでも話題になったブラックホールの写真に写る降着円盤の表現など、高校で習う古典力学から最新の科学まで幅広く触れています。

色々と科学的な現象を考えさせられる映画で個人的には科学に興味のある人にはとても楽しめる映画じゃないかなと思います。

(関連記事:宇宙空間での歯科事情

ドラマ

イギリス制作の名探偵ポワロのドラマです。

テレビで放映されていた事もあり、知っている人も多いのではと思います。

名探偵ホームズもドラマは有名ですが、名探偵ポワロの方が雰囲気が明るく個人的には好きです。

ドラマの中でポワロが歯科治療を受ける場面があり、小臼歯の治療を座った状態(座位)で受けている場面がありますが、昔は体を寝かせずに座った状態で治療を受けるのが一般的だったそうです。

歯を削る道具も現代では使われない滑車式のドリルが置かれてあり、歯科の歴史的に見ても興味深いワンシーンです。

日本でも元々は座位で歯科治療を受けるのが一般的でしたが、今では歯科治療は横に寝る水平位が一般的です。

座位が日本で広まったのも、歯科治療器具の開発販売をしているモリタ製作所が1964年に水平位で診療を行う歯科診療台を開発した事に始まるそうです。

座位で歯科治療を受けていたポワロですが、ポワロもとてもグルメなので虫歯に悩んでいたのかもしれません。

(関連記事:昔の歯医者さんはどんなドリルを使っていた?(モーター編)

 

 

歯科治療シミュレーター.jpg

どんなにうまく仕事や物事をこなせる人にも必ず初めてその事を経験した瞬間があるのと同様に、どんな歯医者さんにも当然初めて患者さんを治療したという瞬間があります。

初めて患者さんに触れる前に歯医者さんは学生の時に模型や人を模したマネキンで治療の訓練を積むのですがその訓練の方法も最近では少しずつ変わりつつあります。

池下の阿部歯科の院長と副院長も学生の時はもちろんこのような訓練を積んでいたのですが当時にはなかった実習方法も今では開発されてきています。

従来からある模型実習

私がまだ歯学部の学生だった頃の治療の訓練は昔からある模型や人を模したマネキンを使った治療の訓練でした。

模型ではプラスチック製の歯を使ってどのように歯を削ればいいか、感染してしまった歯の神経を取ればいいのかといった解剖学的な知識の習得と共に治療技術の訓練を行っていました。

時には学校の実習授業中に教員の先生の指導の基で消毒済みの抜歯された実物の歯を石こうに固定して実際に削って練習する事も行っていました。

人を模したマネキンの実習ではマネキンの口にプラスチック製の歯を付けて実際に患者さんを治療するような姿勢、状況で治療のシミュレーションを行う実習と訓練を行っていました。

これらのプラスチック製の歯やもしくは消毒済みの抜歯された歯を使った従来からある模型実習は古くから治療手技の獲得のために世界中で行われています。

このような実際の削る対象を持った実習方法とは別に最近ではバーチャルの仮想シミュレーション上で治療を行うという手法も出てきています。

仮想空間で削る歯

仮想空間で削る歯はその症例の選択はもちろん歯を削った時の感触や硬さを再現して、使う道具の選択といった事も行えます。

飛行機のコクピットのように機械に向かって歯を削るドリルを模した器具やその他の道具を模した棒を握ってコンピューター上で道具を切り替えながら仮想上の歯を削っていきます。

仮想のシミュレーションを行う場合は最も難しくなるのがやはり歯を削った時の感触や角度となりますが、最新のシミュレーターでは歯の構造による感触の変化、虫歯になった歯を削った時の感触、見る角度の変化など様々な要素が仮想上で再現されています。

このような最新のシミュレーターは普及はまだまだですが、私の働いていたアメリカのペンシルベニア大学歯学部でも取り入れられて教育に用いられていました。

仮想上で歯を削る訓練をする場合のメリットはやはり様々な症例を体験できるという事だと思います。一方で従来からある模型を使った実習にももちろん利点はありますのでそれぞれの良いところを取りながら複数の実習と訓練がこれからはすすんでいくのかなと思っています。

(関連記事:歯医者さんのドリル

 

中世の口腔内細菌叢.jpg

歯科の2大疾患と言われる虫歯と歯周病ですが、虫歯も歯周病も古代からあった事が分かっています。

近代になって虫歯も歯周病もマイクロバイアルシフト(Microbial Shift)による細菌叢の変化によってDysbiosisと呼ばれる悪性度の高い細菌叢の状態に変化する事で発症する事が分かっていますが古代にはまだ細菌という概念がありませんでした。

そのため、今でこそ現代人の口腔内細菌の状態は幅広く調べられていますが、虫歯や歯周病があった古代から現代まで口腔内細菌自体は変化しているのか?という疑問がありました。

しかし、近頃ではメタゲノム解析やメタプロテオミックス解析といった包括的な解析手法を利用する事でサンプルの回収が行えれば古代の人々の口腔内細菌叢を調べる事ができるようになりました。

(関連記事:原始人も恐竜も虫歯に悩んでいた?

約1000年前の人々の歯石から口腔内細菌の痕跡を

おおよそ西暦1100年から1450年頃の中世ヨーロッパの人々の歯石からメタプロテオミックス解析によって当時の口腔内細菌の痕跡を調べようとする試みが行われました。

プロテオミックス解析はタンパク質を回析する手法でそのタンパク質が何かを調べる回析手法ですが、サンプルをまとめて解析する手法がメタプロテオミックスです。この方法によって中世ヨーロッパの人々の口腔内細菌叢を調べる事ができたのです。1000年近く経過しているサンプルに一部とはいえタンパク質が保存されていた事は驚きです。

中世ヨーロッパの人々の口腔内細菌叢はすでに現代人と似ていた?

中世ヨーロッパの人々の歯石のサンプルから220種類もの細菌が同定されました。

現代人の口腔内細菌はおおよそ500から700種類と言われているので少ないように感じられますが、限定されたサンプルから細菌の数を得ているので全てを把握できているわけではないのかもしれません。しかし、当時の人々の口の中の状態から歯周病にかかっている人や虫歯になっている人々がいる事が確認されています。

そして歯周病に至っては全ての成人のサンプルから全員歯周病になっていたという事が分かりました。そして何人かはひどい虫歯にもなっていた事が確認されました。そして中世ヨーロッパの人々の歯石からは特に歯周病を強く増悪する細菌であるポロフィロモナス・ジンジバリス(Porphyromonas gingivalis)、トレポネーマ・デンティコラ(Treponema denticola)、タンネレラ・フォーサイシア(Tannerella forsythia)といったRed complexと呼ばれる細菌群が発見されました。

その他にも歯周病に関連するFretibacterium属、Desulfobulbus属、Methanobrevibacter oralisなどの細菌が見つかりました。これらの数多くの口腔内細菌がマイクロバイアルシフトを起こして中世ヨーロッパの人々の口の中で歯周病を引き起こしていたと考えられます。そして同一人物から採取した複数の歯石でも細菌叢の大きな変化が認められたため、口の中の細菌叢が実際にマイクロバイアルシフトを起こしてダイナミックに変化していたことがうかがえます。

(関連記事:どうして歯周病になるのか

中世ヨーロッパの人々の口にミュータンス菌がいなくても虫歯に

サンプルとなった中世ヨーロッパの人々の口の中を見ると何人かはひどい虫歯になっていたものの全ての人からかつて虫歯の原因菌だと言われていたミュータンス菌(Streptococcus mutans)やStreptococcus sobrinusの痕跡を見つける事ができませんでした。

その変わりにLactobacillus属やStreptococcus sanguinisといった新たにう蝕に関連する事が分かってきた細菌が見つかりました。ここ10年程で歯周病だけではなく虫歯においても様々な口腔内細菌叢がマイクロバイアルシフトをおこして悪性度の高いDysbiosisの状態へと変化する事で虫歯になる事が分かっています。

ミュータンス菌がいなくても虫歯になるという事が判明している現状と照らし合わせると中世ヨーロッパの人々の口の中にミュータンス菌がいなくても虫歯になっていたという事は非常に合点がいきます。

(関連記事:「ミュータンス菌が虫歯の原因に」というのは10年前の話

ようやくできるようになってきた歯周病や虫歯の予防への道筋

中世ヨーロッパの人々の細菌の痕跡を見るとすでに現代へとつながる歯周病や虫歯の罹患の流れが始まっていた事が分かります。

その頃には現代と近い口腔内細菌叢がすでにできあがりつつあった様子もうかがえます。しかし当時はまだ歯周病や虫歯が細菌によって発症する事は分かっておらずもちろんマイクロバイアルシフトという疾患を引き起こす原因の概念も知られておりませんでした。マイクロバイアルシフトという概念自体ここ10年でやっと分かってきた21世紀の新しい歯科医療概念であるのでようやく虫歯や歯周病の予防への道筋が見えてきたとも言えます。

21世紀の歯周病や虫歯の予防はいかにしてこのマイクロバイアルシフトを引き起こさないようにするかという事が大切になってくるのです。千種区にある歯医者の阿部歯科では予防歯科に力を入れているので、いかにして患者さんの口の中の口腔内細菌がマイクロバイアルシフトを起こさないようにするのかという事に注意をして処置を行っています。

参考文献:Quantitative metaproteomics of medieval dental calculus reveals individual oral health status. R. R. Jersie-Christensen, et al. Nat. Commun. 2018.

【お電話でのご予約】TEL:052-751-0613
診療時間
10:00~14:00

16:00~19:30

▲ 土日:9:30~13:00 / 15:00~18:00 休診・・・祝日
親知らずと抜歯・歯周病治療の専門サイト
阿部歯科 特別コラム

医院情報


千種区の歯医者 阿部歯科

〒464-0074
愛知県名古屋市千種区
仲田2-18-17

【お電話でのご予約】
TEL:052-751-0613

ご予約・お問い合わせ 平日の遅めの時間と土日が予約が取りづらくなっていますので、お早めのご予約をおすすめします

駐車場:あり

地下鉄池下駅より徒歩5分、
今池駅から6分

千種区の歯医者さん|Copyright © 阿部歯科. All Right Reserved.
Web Management Exe.
ご予約
ご相談
ページ
最上部へ