口の中には少なからず悪性腫瘍つまり癌ができる可能性があります。体全体の癌との割合で言いましたら、それほど多いものではありませんが口は咀嚼や呼吸、飲み込みなど様々な機能を営んでいる大切な期間であります。今回は、その中でも上顎癌についてお話ししていきたいと思います。
上顎癌は歯医者さんで発見される場合が多いと考えられます。口の中の違和感で歯医者さんにかかることもあると思われます。訴えの中でも多いものとしましては、癌原発付近での痛みや腫れで来院されることが多いと言われております。その中でも痛みを訴えてくるものとしましては70%前後、腫れを訴えてくるものとしましては20%前後との報告もあります。
転移
上顎癌は所属リンパ節へ転移することが少なくはないと報告されております。その中でも、初診時にリンパ節転移を認める場合は10%-30%くらいの割合とも言われております。比較的高い割合で病気のステージが高くなっている可能性があるということになります。そのような危険性を上顎癌は持っているということがわかります。
触診
リンパ節転移の診断におきましては、触診がまずはよく用いられます。しかしながら、経験の差は否めないものでして熟練者であったとしても深部のリンパ節転移を触診することは困難なこともあります。正確に把握するとなると触診だけにたよっていては診断がぶれてしまう可能性があるということになります。
リンパ節
上顎癌の原発のサイズと所属リンパ節の転移におきましては正の相関があるといわれております。所属の頸部リンパ節転移の頻度としましては、T1症例では4%、T2–T3症例では10-15%、T4症例では25%とも報告されておりまして、原発巣の診断とともに頸部リンパ節の診断も行っていくことが重要となっております。
画像診断
歯科医院で撮影しますパノラマエックス線検査だけでは上顎癌の正確な診断をすることは困難であります。よって、他の画像を使用した画像診断が必要になってきます。それが、CTやMRIになってきます。必要に応じまして、血管内から造影剤を入れて撮影することも大切な診断のための方法になってきます。
遠隔転移
多臓器に癌が転移することを遠隔転移と言います。例えば歯肉癌症例におきましては、5%前後とも報告されております。転移部位として多い順に報告されているものに、病理解剖による研究では、肺が約70%、肝臓が約35%、骨が約15%とされておりまして、臨床的な研究では、肺が約55%、骨が約20%、肝臓が約10%とされております。これらを含めましても、遠隔転移の有無を把握するためにも画像診断が必須になってくと考えられます。
千種区池下の口腔外科に力をいれている歯医者さん 阿部歯科