咬合による外傷で、咬合性外傷というものがあります。この咬合性外傷は一次性のものと二次性のものに分類されます。一次性の咬合性外傷とは、正常歯周組織に異常な力が作用したときにみられる影響であります。二次性の咬合性外傷とは、正常な歯周組織にとっては過度になるかならないかといったような程度の咬合力が、すでに弱ってしまっている歯周組織に作用した場合の影響のことであります。
歯周組織は咬合力から受ける圧にたいしては適応性の変化という形で反応しています。もしも、この圧が、量、頻度、期間の点で増えて、そのためにこの適応変化が過大になりますと、歯の支持組織に外傷性の損傷が起きてしまいます。その事は、かなり特異な顕微鏡的な、臨床的所見をもった咬合性外傷が現れてきます。
臨床所見
咬合性外傷の臨床所見としましては、傷害をうけた支持組織からの痛みや不快感、歯の動揺、細かな振動、それに歯の移動があります。Ramfjord &Ash (1981年)によると、咬合性外傷の臨床診断には活動的な傷害所見があることが必要とされているそうです。
レントゲン
咬合性外傷の結果としまして起こる臨床的、エックス線写真的変化について1975年にBurchは以下のようにまとめています。1:歯槽骨頂付近の歯根膜腔の漏斗状変化2:根分岐部の不鮮明3:垂直性骨喪失4:セメント質過形成5:象牙質粒6:歯根吸収7:骨粱の凝縮8:歯肉退縮、などの変化があげられます。ただ、咬合性外傷と関係性が必ずあるわけではないそうです。
歯周炎
歯周炎がある場合の咬合性外傷についてもよく研究されています。正常な歯周組織に外傷がくわえられても、上皮付着の喪失をともなう歯周炎は起こらないとされています。歯周疾患にかかってしまった歯に多大な量、持続時間、頻度で咬合圧が加わった場合には、骨の破壊が生じてしまい、骨縁下ポケットの形成が起こると考えられています。
Lindhe
1974年の研究においてLindhe &Svenbergのビーグル犬を用いた実験があります。その、実験は歯周組織と咬合性外傷との関連性を調べた実験でありました。この実験から、プラークの存在と咬合圧との関連性が強調され、臨床医の理解の向上に大きな影響を与えた論文となりました。
治療上問題
その咬合性外傷が歯周組織について現在のものか過去のものかを判定することは不可能であります。因果関係についても、下顎の機能、および異常機能時の歯の接触運動を慎重に検査してみなければわからないのであります。動揺度、または振動の増大にたいしてはスプリント療法などの臨床的処置が必要となる場合が多いと思われます。
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