千種区の頼れる歯医者 阿部歯科院長の阿部丈洋です。
今回の記事は少し専門的な歯科医療に関するお話「不正咬合」について、分かりやすくお伝えいたします。
記事のリライト日:2017年12月20日(水)17時半
形態的不正咬合
咀嚼システムの痛みや機能障害の病因因子としての咬合因子の重要性が、過去に多くの論文で論じられてきました。
今もまだ異論のあったところで語られています。1980年代中期においても、咬合の障害と顎機能異常との間に密接な関係があると主張するものと、そうした関係はまったくないとするものがあったそうです。
歯列の異常においては、歯の形と個々の歯の形成、萌出、配列に関する正常からの偏位が含まれます。歯の形成に関して一般に見られます異常としましては部分的無歯症である小歯症があります。
1歯または複数歯が先天的に欠如しているということになります。
永久歯列の詳細
永久歯列では、このことは人口の約7%に起こるそうでして、この数に親知らずは含まれてはいません。
1歯あるいは複数の親知らずの欠如においてはもっと頻度が高くなります。それは、人口の約25%に発現するとのことです。先天的な歯の欠如は、そのままにしておきますと歯を抜いたときと同じように、隣の歯の移動や傾斜、対合歯の挺出(歯が通常あるべき位置よりも伸びてしまうこと)が引き起こされてしまうのです。
多数歯が欠如しているような極端な状態では、咬合の安定も危うくなってしまうのです。
配列について
歯の配列異常は、孤立した単独の不正咬合としても生じることがありますが、空隙異常としてもっとも頻度の高い叢生(乱ぐい歯)と関連してよく見られる事実があると思います。
叢生では、歯の空隙の不足によって歯列弓上の正常の位置からほっぺた側あるいは舌側に、あるいは歯列弓上で回転した状態をとるようになっています。
機能的不正咬合
1968年にPosseltが唱えました「正常な運動様式から下顎を偏向させるような咬頭接触」や1983年にRamfjord&Ashが唱えました「円滑な調和のとれた歯の接触滑走運動を阻止し、障害する咬合接触」、1974年にDawsonが唱えました「調和した顎機能の障害となる歯質の一部」と定義されたそうです。
下顎運動
下顎運動は大きく神経筋制御機構によって支配されています。
機能的に最適な咬合では、歯の接触は筋が不必要な活動をしなくてすむようなものでなければならないとのことです。好ましくない筋活動を起こしやすくするような特異な歯の接触形態があるという意見もありまして、1968年にPosselt はもっとも悪い咬合不調和として述べているそうです。
その内容には、
後方歯牙接触位での咬合干渉、非作業側の干渉、作業側の干渉を論じています。しかしながら、1982年のアメリカ歯科医師会における顎機能異常に関する会議では、次のように声明を発表しています。
「文献的には、咬合問題が顎機能異常を引き起こすことは示されていないが、臨床的データではこの2つがしばしば共存することは確かである。しかし、両者の関係がどのようなものであるかは現在のところ明らかではない」とされているそうです。
いかがしたでしょうか?今回は普段お伝えしている内容よりも、少し専門的ではありますが大切な話題です。阿部歯科では「不正咬合」「噛み合わせ」に関するご相談も受け付けています。不正咬合でお悩みの方は是非ご相談ください。
本記事の執筆者:歯科医師 阿部 丈洋 (あべ たけひろ)
【経歴について】
1978年:名古屋市千種区生まれ 1997年:愛知県内の東海高校を卒業 2003年:奥羽大学を卒業
2003年:愛知学院大学歯学部研修医、稲沢市民病院にて勤務
2004年:愛知学院大学第2口腔外科にて勤務
2005年:岐阜県立多治見病院 救命救急、麻酔科レジデント
2006年:愛知県済生会病院の歯科口腔外科 医員
2009年:加藤歯科にて勤務 2016年:オカダ歯科クリニックで勤務
2018年:阿部歯科 院長就任
【治療に対する考え】
人間おひとり、ひとりの性格が異なるのと同様、「お一人お一人が必要とする治療」にも違いがあります。そのため、治療の必要性についてしっかりと説明を行ったうえで、各患者様に適した治療計画を立案します。ただ治療を進めるのではなく、患者に信頼いただき、安心して治療をお任せいただけることを重視しています。