顎機能異常の理学療法にはさまざまなものがあります。そのなかには、機能訓練、補助的な麻酔薬投与、鎮痛療法、温熱療法、徒手療法、針治療などがあげられます。顎機能異常における理学療法の役割としましては、患者さんが治療を求めてくる際の主な症状としましては、一般的に痛みがあると思いますので、それに対する治療が必要となってきます。
顎関節やその他の咀嚼システムの痛みにおきましては、筋の活動亢進や下顎運動の制限と関連していることが多いのではないかと思われます。慢性的で、長期間にわたっての筋の痛みがありますと、しばしば筋の収縮が起こることがあります。つまりは、筋が短くなってしまい、機械的には柔軟性を失ってしまい、その結果としまして正常な機能が営めない状態となってしまうのです。
咀嚼筋
咀嚼筋や関節の疾患に関連した症状や徴候としましては、開口障害、咬合力の低下や頭頸部の関連痛があげられます。歴史的におきましては、この痛みと筋の活動亢進あるいはスパズムとの相互関係によりまして、自己永続的な、痛みースパズムー痛みのサイクルが作られると考えられてきました。
理学療法
理学療法を用いる場合におきましては、治療方法と病気そのものの本態、両者の性質と程度をよく知ることが重要になります。これらの治療方法につきましては、多くの病気にとって効果的に十分な鎮静効果を与えたりしますが、必ずしもその主要な原因を治療しているわけではないのです。
筋訓練療法
訓練という体のある部分を治療のために反復して動かすことにつきましては、筋の病気の治療においてはよく用いられていると考えられます。筋訓練療法では体の主要な筋群の治療に用いられまして、咀嚼筋もその一つになっております。咀嚼システムでの訓練には三つのタイプが推奨されています。
① 協調性のあるリズミカルな筋機能を取り戻す訓練
② 運動範囲を拡大させる訓練ー等張性訓練
③ 筋力を増加させる訓練ー等尺性訓練
下顎回転運動再学習訓練
損傷、あるいは筋筋膜痛機能障害に関します徴候や症状がある場合におきましては、その根本的な問題は機能時の筋群の不協調な等尺性収縮にあると考えている人たちがおりました。しかし、この不協調となった下顎運動につきましては、下顎の偏位や雑音によってはっきりすると考えられております。
再学習訓練
再学習訓練を行うには、まずは患者さんに鏡の前にたつか座るかしまして、リラックスした閉口位をとるようにしてもらいまして、両手の指先をそれぞれの側の下顎頭付近におきまして、舌尖を口蓋のできるだけ奥の方に位置させることになります。このようにして下顎頭の正しいリズミカルな運動を訓練していくことになります。
名古屋市千種区池下 阿部歯科院長 阿部丈洋