【記事のリライト日】2017年12月7日(木)11時30分
千種区池下駅近くの歯医者、阿部歯科 院長阿部丈洋です。当院では数多くある歯科治療の中でも特に「歯周病治療」へ力をいれています。
今回は、私がこれまでに学んだ歯科医療に関する専門知識を元に、歯周病について詳しくお話ししたいと思います。
歯周疾患を細菌感染として認識され始めたのは、今から100年以上も前の1881年頃です。
1890年~1930年頃では歯肉アメーバやスピロヘータが歯周病の原因と考えられていた時期がありました。その当時は特異細菌説が唱えられておりまして、その後の研究によって少しずつ考え方が変わってきたのです。
コッホの法則について
「コッホの法則」というのを高校生のときに習ったかもしれません。
コッホの法則とは、①ある一定の病気には一定の微生物が見出だされること②その微生物を分離できること③分離した微生物を感受性のある動物に感染させて同じ病気を起こせること④そしてその病巣部から同じ微生物が分離されることがあります。
歯周病において、コッホの法則を当てはめてみると当てはまらないことがわかったことから、次第に特異細菌説は廃れていったのです。
その後の考えで特異な細菌が原因となっているのではなく、口腔細菌の量的な問題や混合感染ではないかという非特異細菌説に移り変わっていったのです。
1965年にルーという人が歯学部生にたいして歯肉炎の研究を行ったところプラークの蓄積が歯肉炎を引き起こしているというエビデンスが明らかにされてきました。
1970年代になってくると嫌気培養という手法が確立されてきました。嫌気というのは空気を嫌うという意味で、反対の言葉に好気つまり空気を好むという言葉もあります。嫌気性菌というのは空気があるところでは育たない菌のことなのです。
プラークコントロール
1970年代の中頃まではプラークの時代でありました。つまりプラークの全体量を押さえることに非常に注意が払われたそんな時代でした。
その時代にはプラークの効率的な除去を目的とするために、いろんな歯ブラシ法が考案されました。
歯周病原性細菌の排除
その後、1980年の初めにかけて嫌気培養療法がより発達してきまして歯周病患者さんの歯肉縁下プラークに歯周病に関連します「特異細菌の存在」が明らかになってきました。
そんな事実から特異細菌を口腔内から駆除することに翻弄した特異細菌の時代がやって来ました。
ソクランスキー「歯周病原性細菌の基準」
1994年にソクランスキーさんと言う方が歯周病は内因性感染症であるという立場から、歯周病原性細菌の基準を作成しました。
①その細菌が活動部位において、非活動部位より多く検出されること
②その細菌を排除することにより歯周炎の進行が停止すること
③発症と進行を引き起こすに足る病原因子を保有していること
④その細菌に対する細胞性および体液性免疫応答がその患者に誘導されており、疾患の進行に果たすその細菌の役割を示唆し得るものであること
⑤実験動物において示される病原性が、ヒト歯周炎の進行に果たす役割を推測し得るものであること、という基準を作成しました。
歯周病の歯周病原性細菌のリスク
歯周病の
歯周病原性細菌のリスクとの関係が作成されています。そこには、レッドコンプレックス、オレンジコンプレックス、ブルーコンプレックス、パープルコンプレックス、グリーンコンプレックス、イエローコンプレックスがあげられます。
なかでも危険なゾーンがレッドコンプレックスになります。レッドコンプレックスにはポルフィロモナスジンジバーリス、トレポネーマデンティコーラなどの細菌があるのです。
今回の記事は歯科医療に関する少し専門的なお話でした。
今後も患者様に役立つ、歯科治療等に関する話題を載せていきたいと思います。
本記事の執筆者紹介:歯科医師 阿部 丈洋 (あべ たけひろ) / 千種区の歯医者 阿部歯科院長
【主な経歴について】
1978年:名古屋市千種区生まれ 1997年:愛知県内の東海高校を卒業 2003年:奥羽大学を卒業
2003年:愛知学院大学歯学部研修医、稲沢市民病院にて勤務
2004年:愛知学院大学第2口腔外科にて勤務
2005年:岐阜県立多治見病院 救命救急、麻酔科レジデント
2006年:愛知県済生会病院の歯科口腔外科 医員
2009年:加藤歯科にて勤務 2016年:オカダ歯科クリニックで勤務
2018年:阿部歯科 院長就任
【歯科治療に対する考え】
人間おひとり、ひとりの性格が異なるのと同様、「お一人お一人が必要とする治療」にも違いがあります。そのため、治療の必要性についてしっかりと説明を行ったうえで、各患者様に適した治療計画を立案します。ただ治療を進めるのではなく、患者に信頼いただき、安心して治療をお任せいただけることを重視しています。