歯科の世界には、う窩という言葉があります。簡単に言いますと虫歯でできた穴のことになります。虫歯はカリエスとも言われます。口の中にある細菌が、酸を出すことによりまして、無機質である歯の表面にあります、エナメル質を溶かしていくことにより、う窩が形成されるのです。
脱灰
歯が溶かされていく過程では、自然にはが溶けてしまうわけではありません。歯が溶けてう窩を作るまでにはそれなりに原因があるのです。そのなかに、発酵性炭水化物を含みます食事をとるたびに、酸が作られるということがあります。その酸が原因であって、食事が直接の原因となっているわけではないのです。
pH
酸が作られますと、約30分から1時間の間、プラークのpH が低くなることがわかっております。その、低いpH は歯の無機質にたいしまして過飽和の状態を作ることになります。その結果としまして、様々な無機イオンが歯面から離れることとなります。この事を、歯面の脱灰と呼ぶことになります。
再石灰化
しかしながら、酸性の状態の期間が短くて、頻回でなければ酸産生が減少しましてpH が上昇することとなります。そして、無機イオンが歯面の中へ再び戻ることとなります。つまりは、今度は唾液中の無機イオンの方が、過飽和状態になりまして無機イオンが再び歯に戻ることになります。このことを、歯面の再石灰化と呼ぶことになります。
ステファンカーブ
砂糖の摂取後に酸の攻撃によりまして、プラーク中のpH がどのように下降するかを示す図をステファンカーブといいます。砂糖の摂取後に約10分後にpH は5くらいまで下がります。それから、約30-40分間でもとの状態に戻ってきます。根面の無機質はpH がや6.3未満くらいで溶けだします。エナメル質の無機質は約5.5未満くらいで溶けだします。また、酸の攻撃にさらされます回数が多いとそのリスクは上昇することになります。
頻回な酸の攻撃にさらされるということは、歯面の脱灰が再石灰化を上回るということになります。そして、溶けた無機質のほとんどがその場から失われることとなります。その結果、歯面に欠損が生じることとなります。つまりは、う窩の始まりとなることとなるのです。
う窩の始まりは慢性的なカリエス病変の始まりでして、慢性的で局所的な生態学的な破壊となるのです。う窩の成り立ちからそのリスクを理解してこそ、虫歯の予防になるのです。漠然と削って治すだけでは、本当の意味で虫歯の予防とはなり得ない、ひとつの根拠なのです。
名古屋市千種区池下の歯医者さんの虫歯についてのブログ