掲載論文についてPAPERS
アメリカのペンシルベニア大学歯学部からGeorge Hajishengallis教授とEvlambia Harokopakis-Hajishengallis教授が阿部歯科に見学に来られました。
George Hajishengallis教授はペンシルベニア大学歯学部で歯周病発症のメカニズムと治療法およびそれに伴う口腔内の免疫反応の研究を行っており、ノーベル賞受賞者候補になりえる研究者を選出するクラリベイト・アナリティクスのクロスフィールドカテゴリー部門において2018年に上位1%以内の高被引用論文著者に選出された先生です。
また、George Hajishengallis教授は歯周病とそれに関わる口腔内細菌と免疫反応の研究分野において多大な貢献をしており、それにより世界中でここ10年で歯周病の発症メカニズムの理解は大きく変化しました。
今現在も最先端の歯周病発症のメカニズムの解明を行っており、それに伴う歯周病の治療方法の確立と歯周病により起こる過剰な免疫反応と炎症、歯槽骨の吸収の制御の確立を目指しています。
Evlambia Harokopakis-Hajishengallis教授はペンシルベニア大学歯学部の小児歯科学講座で最高責任者を務めており、小児歯科学における臨床・教育・研究の責任者を担っています。
臨床研究においては歯科医療現場における患者さんの行動様式や歯科医療への受け止め方といった心理的な側面からのアプローチも行っています。
阿部歯科では患者さんがより安心して通える歯科医院を目指しています
この度の阿部歯科の見学では両教授に阿部歯科で現在行っている患者さんへのカウンセリングや治療の流れ、設置している機材を紹介し説明を行い、現在の阿部歯科での処置の流れを見ていただきました。その上で現在解明されている最先端の歯周病発症のメカニズムとそれに対する今後の処置や治療法の発展について議論の場を設けました。
さらに小児歯科学の観点から子供や大人も含めた患者さんの歯科医院受診に対するためらいに対してどのように対応して、いかに患者さんが安心して阿部歯科を受診できるようになるかの議論も行いました。
今回の議論ではペンシルベニア大学歯学部では患者さんがより安心して来院できるようにどのような取り組みを行っているのか、特に来院時に受ける医療機関への印象という点でお話を聞きました。
ペンシルベニア大学歯学部でも近年大きく建物を改築し、医療機関内により光を多く取り入れて建物の色に暖色を使うなど心理的な側面からの変更を大幅に行っているとの事です。
この点に関して阿部歯科でも同様の取り組みを行い、両教授にもとても安心して過ごしやすい医院とご評価を頂けました。
歯周病の治療や処置に関しても阿部歯科で行っている検査の方法や治療の流れを説明した上で歯周病における発症メカニズムの理解やその予防法と対処法の再確認を行いました。
現在阿部歯科で行っている患者さんの歯周病予防と歯周病治療における考えはHajishengallis教授による歯周病発症メカニズムの解明とここ10年で新しく解明された歯周病の原因論とそれに対する対応を基にしております。
さらに今回の両教授の阿部歯科訪問に先駆けて阿部歯科の副院長がHajishengallis教授と共にノーベル医学生理学賞受賞者の選考を行うスウェーデンのカロリンスカ研究所と共同で歯周病治療に関する論文の発表を行いました。
今回の両教授との議論でさらに新しい歯周病の原因論に対する情報と患者さんがより安心して歯科医院を受診できるようになるための情報が得られましたので、阿部歯科での歯周病予防と歯周病治療への対応を今後さらに強化していくと共に患者さんがより安心して阿部歯科を訪れる事ができるように努めていこうと思います。
どんなささいな悩みでも私たちにお聞かせください。
阿部歯科では皆様のお口の健康をサポートいたします。
皆様からのご相談をお待ちしております。
阿部歯科 副院長の歯周病治療に関する論文が雑誌サイエンスの姉妹誌
『Science Translational Medicine』に掲載をされました!
新しい歯周病治療の可能性にスポットライトが当てられました
千種区池下にある歯医者 阿部歯科の副院長が共同著者として関わった、歯周病治療に関する論文が雑誌サイエンスの姉妹誌「Science Translational Medicine」へ掲載されました。
論文雑誌「Science translational Medicine」は、雑誌サイエンスを出版するアメリカ科学振興協会(American Association for the Advancement of Science)から発刊される論文雑誌で、研究成果を実際の臨床に応用する成果について主に取り扱っています。
今回、阿部歯科 副院長が共同著者として名を連ねるアメリカ国立衛生研究所、ペンシルベニア大学等からなる研究チームより発表された論文で、歯周病の新しい治療法にスポットライトを当てた成果が発表されました。
名古屋市千種区の阿部歯科は「患者さん自身でセルフケアできる歯周病予防」を目指しています
ここ数年、歯周病の病態解明は大きく様変わりしており、口の中の細菌だけではなく口腔内細菌と体の免疫機構という点に焦点が当てられています。
かつては特定の細菌のみをターゲットとしていた歯周病研究や歯周病治療も、現在では「口の中全体の様々な細菌の状態変化」そしてそれに伴う「免疫反応による歯の周りの組織(歯周組織)の破壊」によって、歯周病が起きる事へ注目が集まっています。
通常の普段何も問題ない口の中の細菌状態は、歯の清掃不良など口腔内環境の悪化により、「口の中の細菌の活動度・分布状況」が悪化します。そして、これによって歯周病が引き起こされる事が明らかになっています。
阿部歯科では肉眼では決して目に見えない、このような様々な口腔内細菌の状態を特殊な顕微鏡を用いて確認します。日本の成人の70%~90%がかかっている歯が抜け落ちる原因となる歯周病に対する歯科治療へと役立てています。
阿部歯科では健康保険内、別途費用なしで特別な歯周病検査・処置を行っています
阿部歯科では副院長の指導の元、健康保険内での定期検診および歯周病治療時に歯周病の原因となる口腔内細菌の状態確認、口腔内環境が悪化した事による細菌の悪化状況を歯科医院での特別処置そして患者さんご自身によるセルフケア指導により、改善する試みを続けております。
希望される患者さんには、別途費用のご負担なく副院長の指導に基づき、これらの処置・患者さんへのセルフケア指導を行っております。お気軽にお申し付けください。
歯周病予防には、口腔内細菌を正常な状態に保つことが大変重要です
今回、Science Translational Medicine誌に掲載された内容では以下の事を明らかにしています。
不十分な歯磨き等の要因による口腔内環境の悪化によって、口腔内細菌 状況の悪化が起こります。そして体の中で免疫を司る細胞 T細胞の一種である『Th17細胞』という細胞の過剰増殖と、それによって引き起こされる過剰な炎症により歯周組織が破壊されている。
現在の歯科臨床において、特定の抗菌薬(抗生物質)が歯周病治療に用いられる事があります。ですが過剰な抗菌薬の使用により、正常な口腔内状況に必要となる細菌(共生細菌と言われます)も除去してしまうなどの問題点があります。
一方で今回の論文により「過剰なTh17細胞の増殖をコントロールする」事で、抗菌薬に頼らない歯周病治療の可能性に光が当たりました。
このTh17細胞の増殖に生まれながらにして問題を抱える人は、どれだけ口腔内環境が悪化し、口の中の細菌が増えても歯周病にならない事も分かっています。
ただしこのTh17細胞は体の免疫機構にも大きな役目を果たしています。そのため、完全にその役目を果たせない場合は他の健康上の問題を発生させます。
以上のことから、あくまでも過剰なTh17細胞の増殖と反応を適正にコントロールする事が、歯周病のコントロールに大きな役割を果たせるのではないかと期待されています。
※悪化した口腔内細菌によって、免疫細胞が過剰反応して歯周病になる
歯周病予防と治療方法はどんどん新しくなっています
免疫研究の世界では網羅的に病態に対してアプローチするのではなく、特定のターゲットに絞ってアプローチする事が今後の臨床における主流になってきています。そのため、抗菌薬を用いた不特定の口腔内の細菌をターゲットとする歯周病治療は、将来的には無くなっていくと考えます。
このような特定のターゲットに絞った歯周病の治療手法が実際の臨床現場に出てくるのはまだ先です。今後は口の中の正常な口腔内細菌の状態の破綻とそれに対する過剰な体の免疫反応という悪循環へ焦点が絞られ、歯周病治療が発展していくと思われます。
今回の論文の成果は、アメリカ国立衛生研究所とペンシルベニア大学の速報でも紹介されており非常に注目を集めると思われます。
【阿部歯科副院長とペンシルベニア大学、アメリカ国立衛生研究所研究チーム】
【ペンシルベニア大学の速報ニュース】
【アメリカ国立衛生研究所の速報ニュース】
副院長の紹介
阿部歯科:名古屋市千種区仲田2-18-17
副院長/阿部 利晴
【略歴】
1980年:名古屋市千種区池下生まれ歯医者の祖父と父親を持ち地元で育つ
2005年:愛知学院大学歯学部 卒業
2005年:豊川市民病院 歯科口腔外科 臨床研修医
2006年:愛知学院大学歯学部 顎顔面外科学講座入局
2010年:愛知学院大学大学院 歯学研究科修了 総代
2010年:愛知学院大学歯学部 顎顔面外科学講座 非常勤助教
2010年:名古屋大学医学部附属病院 麻酔科 医員
2011年:アメリカ ペンシルベニア大学歯学部 勤務
2014年:アメリカ ペンシルベニア大学歯学部 講師
2014年:アメリカ 国立衛生研究所 国立歯科・頭蓋顔面研究所 非常勤連邦職員
2015年:阿部歯科 副院長
【論文】
2020年
・Proteomics
2019年
・Journal of Clinical Medicine
2018年
・Science Translational Medicine (サイエンス姉妹誌)
2017年
・Journal of Clinical Periodontology
2015年
・Science Translational Medicine (サイエンス姉妹誌)
・Nature Communications (ネイチャー姉妹誌)
・Advances in Experimental Medicine and Biology
・The Journal of Immunology
・Infection and Immunity
2014年
・The Journal of Immunology
・Cell Host & Microbe (セル姉妹誌)
・The Journal of Immunology
・Science Translational Medicine (サイエンス姉妹誌)
2013年
・Seminars in Immunology
・Journal of Immunological Methods
・Cellular Microbiology
2012年
・The Journal of Immunology
・Nature Immunology (ネイチャー姉妹誌)
2011年
・Molecular Oral Microbiology
【各論文の詳細】
2020年
・Pressure Cycling Technology Assisted Mass Spectrometric Quantification of Gingival Tissue Reveals Proteome Dynamics during the Initiation and Progression of Inflammatory Periodontal Disease. Bao K, Li X, Kajikawa T, Toshiharu Abe, Selevsek N, Grossmann J, Hajishengallis G, Bostanci N.
2019年
・TREM-1 Is Upregulated in Experimental Periodontitis, and Its Blockade Inhibits IL-17A and RANKL Expression and Suppresses Bone loss.
Bostanci N, Abe T, Belibasakis GN, Hajishengallis G.
2018年
・A dysbiotic microbiome triggers TH17 cells to mediate oral mucosal immunopathology in mice and humans. Dutzan N, Kajikawa T, Abusleme L, Greenwell-Wild T, Zuazo CE, Ikeuchi T, Brenchley L, Abe T, Hurabielle C, Martin D, Morell RJ, Freeman AF, Lazarevic V, Trinchieri G, Diaz PI, Holland SM, Belkaid Y, Hajishengallis G, Moutsopoulos NM.
2017年
・Milk fat globule epidermal growth factor 8 inhibits periodontitis in non-human primates and its gingival crevicular fluid levels can differentiate periodontal health from disease in humans. Kajikawa T, Meshikhes F, Maekawa T, Hajishengallis E, Hosur KB, Abe T, Moss K, Chavakis T, Hajishengallis G.
2015年
・DEL-1 restrains osteoclastogenesis and inhibits inflammatory bone loss in nonhuman primates. Shin J, Maekawa T, Abe T, Hajishengallis E, Hosur K, Pyaram K, Mitroulis I, Chavakis T, Hajishengallis G.
・Antagonistic effects of IL-17 and D-resolvins on endothelial Del-1 expression through a GSK-3β-C/EBPβ pathway. Maekawa T, Hosur K, Abe T, Kantarci A, Ziogas A, Wang B, Van Dyke TE, Chavakis T, Hajishengallis G.
・Complement Involvement in Periodontitis: Molecular Mechanisms and Rational Therapeutic Approaches. Hajishengallis G, Maekawa T, Abe T, Hajishengallis E, Lambris JD.
・The B Cell-Stimulatory Cytokines BLyS and APRIL Are Elevated in Human Periodontitis and Are Required for B Cell-Dependent Bone Loss in Experimental Murine Periodontitis. Abe T, AlSarhan M, Benakanakere MR, Maekawa T, Kinane DF, Cancro MP, Korostoff JM, Hajishengallis G.
・Toll-Like Receptor 9-Mediated Inflammation Triggers Alveolar Bone Loss in Experimental Murine Periodontitis. Kim PD, Xia-Juan X, Crump KE, Abe T, Hajishengallis G, Sahingur SE.
2014年
・Regulation of osteoclast homeostasis and inflammatory bone loss by MFG-E8. Abe T, Shin J, Hosur K, Udey MC, Chavakis T, Hajishengallis G.
・Porphyromonas gingivalis manipulates complement and TLR signaling to uncouple bacterial clearance from inflammation and promote dysbiosis. Maekawa T, Krauss JL, Abe T, Jotwani R, Triantafilou M, Triantafilou K, Hashim A, Hoch S, Curtis MA, Nussbaum G, Lambris JD, Hajishengallis G.
・Genetic and intervention studies implicating complement C3 as a major target for the treatment of periodontitis. Maekawa T, Abe T, Hajishengallis E, Hosur KB, DeAngelis RA, Ricklin D, Lambris JD, Hajishengallis G.
・Defective neutrophil recruitment in leukocyte adhesion deficiency type I disease causes local IL-17-driven inflammatory bone loss. Moutsopoulos NM, Konkel J, Sarmadi M, Eskan MA, Wild T, Dutzan N, Abusleme L, Zenobia C, Hosur KB, Abe T, Uzel G, Chen W, Chavakis T, Holland SM, Hajishengallis G.
2013年
・Role of complement in host-microbe homeostasis of the periodontium. Hajishengallis G, Abe T, Maekawa T, Hajishengallis E, Lambris JD.
・Optimization of the ligature-induced periodontitis model in mice. Abe T, Hajishengallis G.
・Commensal bacteria-dependent select expression of CXCL2 contributes to periodontal tissue homeostasis. Zenobia C, Luo XL, Hashim A, Abe T, Jin L, Chang Y, Jin ZC, Sun JX, Hajishengallis G, Curtis MA, Darveau RP.
2012年
・Local complement-targeted intervention in periodontitis: proof-of-concept using a C5a receptor (CD88) antagonist. Abe T, Hosur KB, Hajishengallis E, Reis ES, Ricklin D, Lambris JD, Hajishengallis G.
・The leukocyte integrin antagonist Del-1 inhibits IL-17-mediated inflammatory bone loss. Eskan MA, Jotwani R, Abe T, Chmelar J, Lim JH, Liang S, Ciero PA, Krauss JL, Li F, Rauner M, Hofbauer LC, Choi EY, Chung KJ, Hashim A, Curtis MA, Chavakis T, Hajishengallis G.
2011年
・OmpA-like protein influences cell shape and adhesive activity of Tannerella forsythia. Abe T, Murakami Y, Nagano K, Hasegawa Y, Moriguchi K, Ohno N, Shimozato K, Yoshimura F.