こんにちは、阿部歯科の副院長の阿部利晴です。
今回は口内炎についてお話をしようと思います。口内炎といえば、口の中を咬んでしまったり、食生活が傾いて体が栄養不足になったり、暑さや忙しさで体力が落ちたりした時に口の中や口の横にできたりする傷ですね。傷を触ったり食事や会話の時に口を動かすと痛いので大変ですよね。治りかけても口内炎をまた咬んでしまったり、口を開けた拍子にまた傷が広がってしまったりなど、私にも苦い経験があります。
記事の追記:2019年10月12日
口内炎ができた時の対処法
この口内炎(口の横にできる場合は口角炎と言いますが)ができると皆さんはどうされていますか?口内炎が痛いので食事がうまく取れずに体力が落ちてしまうという人もいるかと思いましすし、何かの塗り薬を塗る、という人もいるかと思います。
この塗り薬ですが、口内炎ができたら塗ればいいのかどうなのか?というのが今回お話する内容です。結論から言いますと、口内炎のできた原因と塗り薬の種類によっては塗り薬を塗る事で症状が悪化してしまう事もあります。
口内炎といえば、体力の低下と栄養不足によって口の粘膜の新陳代謝が落ちて口内炎を作る場合と、単純ヘルペスウイルスなどのウイルスによって口内炎を作る場合(※口唇ヘルペスウイルス(口角炎・口内炎))があります。
体力の低下や栄養不足で細胞の代謝が悪くなる事が原因で口内炎ができた場合は炎症や痛みを抑えるような成分が入った塗り薬を塗る事で症状を抑える事ができる場合もありますが、ヘルペスウイルスなどのウイルスによって口内炎ができている場合は、ステロイド成分が入った塗り薬を塗ってしまうとかえって症状が悪化してしまう事がしばしばあります。
口内炎を起こすウイルスや真菌
口内炎を起こすウイルスは単純ヘルペスウイルスが有名ですが、帯状疱疹ウイルスや、他にはカンジダなどの真菌によっても口内炎ができる事があります。口内炎や口角炎を作る単純ヘルペスウイルスは非常にありふれたウイルスで日本人の7割から8割は感染していると言われています。口内炎や口角炎を作る単純ヘルペスウイルスは単純ヘルペスのI型と言われ、別には口唇ヘルペスウイルスとも呼ばれます。単純ヘルペスウイルスは、普段は神経に潜伏して身を潜めていますが、体力の低下に伴う免疫力の低下で再び活動と増殖を開始して口内炎や口角炎を引き起こします。
免疫力の低下によるウイルスの増殖で口内炎が出来た時に傷口にステロイドを含む塗り薬を塗ってしまうとステロイドの強い免疫抑制作用でかえってウイルスの活動や増殖が助けられて口内炎がひどくなる事があります。
ステロイドの含まれた軟膏は強力に炎症や免疫抑制作用を抑制するので、免疫作用による痛みや腫れを伴う炎症自体を抑えたい時には有効な場合もあるのですが、ウイルスや真性細菌、真菌が感染している場合には免疫作用を抑制する事でそれらの活動や増殖を手助けしてしまう場合もあるのです使用には注意が必要です。
口内炎の治り方
口内炎自体は通常であれば2週間ほどで細胞の新陳代謝により落ち着いてくる事が多いですが、軟膏を塗るとしたら消毒作用や抗菌薬が含まれているものを使うこともあります。抗菌薬自体は真性細胞には効きやすいものの、ウイルスには効かないのですが、できてしまった傷口に細菌が感染してしまわないように予防のため使ったり、傷口を刺激から守ってカバーするといった目的のために使われる事があります。
このように、ステロイドや抗菌薬や消毒成分など軟膏の中に入っている成分によっては口内炎への使用は注意しないといけません。こういった原因による口内炎のでは通常2週間ほどで治ってくる事が多いのですが、口内炎が1ヶ月など長期にわたっていつまでも治らずに続く場合にはさらに注意が必要な事があります。
口の中を咬んでできてしまう口内炎も、ウイルスによってできる口内炎も2週間ほど経てば、細胞の回復と新しい細胞への置き換わりが起きるので、治りが遅れてもすこしづつでも治る事が多いのですが、悪い出来物によってできた口内炎のような傷の場合はいつまでも傷が残ったりします(※口の中の傷(治らない口内炎))。
悪い出来物、いわゆる「癌」が代表されますが、このような悪い出来物によってできた口内炎のような傷は治癒が遅れる事も特徴の一つです。傷ができているのに痛みを感じない事もあります。
このような症状の口内炎に見える傷が確認されたらすぐに大学病院や市民病院に紹介をして精密検査をする必要があります。こういった症状の他にも、見た目や形、組織の下の感触など通常の口内炎とは違った性質をもっており、このような口内炎のような傷の場合は、安易にステロイド入りの塗り薬をるのは免疫作用を抑制するのでよくありません。
口内炎ができてしまったら、抗菌薬やステロイドなど、いろいろな成分が入った軟膏がありますが、それぞれの症状や体の状態、治り方や自分の体質に合うか合わないかなど総合的に見て慎重に使っていく必要があります。さらに、歯の神経が細菌感染を起こし根尖病巣によってできた膿の袋が口の中に出てくるとなかなか治らない口内炎と心配して来院される患者さんもいます。
口内炎ができると、どうしても「痛くて食事ができない!」となったりしますがまずは口内炎の状態や経過をよく観察する事が大切となってきます。
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