池下の歯医者の阿部歯科ではこの時期になるとお子さんが幼稚園に入ったり小学校に入ったり学年が上がって乳歯や永久歯の生え変わりが気になる方が相談に来られる事が増えてきます。
乳歯と永久歯の関係を考えると永久歯が虫歯や歯周病で歯を治療しないといけなくなったり、症状がすすんで歯が抜けてしまったりした場合に歯が乳歯から永久歯に生え変わるように新しく生えればいいのにと思う患者さんもいるかもしれませんが、そもそもどうして乳歯から永久歯に生え変わる必要があるのでしょうか?
子供の時に最初から永久歯が生えてきてそれを使い続けてはだめなのか?というお話をしようと思います。
記事の追記:2020年3月5日
乳歯が抜けて生え変わる必要があるの?
実は人だけでなく猫も犬も乳歯があり永久歯に生え変わりますが乳歯が抜けて永久歯に生え変わるのならば乳歯って本当に必要なの?
という事になりますが、乳歯は永久歯よりも骨の中に埋まっている歯の根の長さが短く「長持ち」という点では永久歯よりも大分劣ります。
そういった事情もあって乳歯は生えた時から生え変わる事を前提としていますが、それならばどうして最初から永久歯が生えてこないのでしょうか。もちろん乳歯から永久歯に生え変わる事で虫歯になってしまった歯をリセットできるという点では良いのですが、もちろん虫歯をリセットするという理由で永久歯に生え変わるように進化したというわけではありません。
永久歯は子供の顎の大きさに比べて大きすぎる
子供の顎の大きさを見てみると分かるのですが、大人と比べると子供の顎はかなり小さい事が分かります。
歯の生えはじめた小さな子供の顎の大きさは大人の半分以下の子供もいます。そしてその小さな顎に対して永久歯は大きすぎるという問題が乳歯から永久歯に生え変わる大きな理由となります。
では、大きすぎる歯が小さな顎に生えてしまうとどうなるのでしょうか?例え歯が大きくても少しずつ顎の大きさに合わせて歯が順番に生えていけばいいのでは?という疑問もわいてきます。
歯の並びは石橋のようなアーチを作って安定している
歯の並びを見ると奇麗に並んでいる状態では歯は石橋や石造りのアーチのように弓なりの状態で並びます。
人の歯は前歯、犬歯、臼歯(小臼歯、大臼歯)によって噛むときの役割があり、その中でも犬歯が適正な位置にある事が噛むという機能において大切となっています。
その際に歯の並びが奇麗なアーチ状を作る事で前歯と犬歯そして臼歯が噛むという機能において十分能力を発揮させる位置に収まるようになっているのですが小さな子供の顎に永久歯が生えてしまうとそれぞれの歯の種類が適切な機能を果たすための奇麗なアーチ状に並ばないという問題が出てきてしまいます。
そのため、小さな顎の子供の頃には小さい歯の乳歯が生えて適切なアーチ状の歯並びを作り、顎が大きくなってきた頃に乳歯が大きな永久歯へと生え変わってその顎の大きさに合わせて奇麗なアーチを作るというようになっています。
そして、乳歯の役割は子供の小さな顎の中で歯並びの奇麗なアーチを作るだけでなく、大人の歯が生えてくるための道しるべのようなガイドとしての役割も果たしています。
ひとたび顎の成長が完了して永久歯が生えて奇麗なアーチを作ればそれ以降歯のアーチが崩れる事もないので永久歯がその後に生え変わる必要はないという事になってきます。
ただ、どうして人の歯がこのような進化をしたのかという理由はよく分かっておらず顎の大きさに合わせて歯の大きさが合わせられていると考えると進化は本当にうまくできているなと思います。