抜歯をした後などに傷口の消毒を行いますが、この消毒事態の洗浄に用いる液体が目的によって変わる事をご存知でしょうか?
記事の追記:2020年5月25日
抜歯後の洗浄の目的
抜歯などをしたあとの傷口に対して消毒薬などで洗浄を行いますが、この洗浄の際の1番の目的は今後の経過の予測という事が最も大切な目的となります。
そのため洗浄の際に用いる液体は傷口の確認の際に決定していきます。
抜歯後の消毒で確認される主な事は、傷口の感染の有無とドライソケットの有無の確認です。これらは腫れ具合や痛み具合、痛む場所から判断をしていきます。
抜歯後の感染がない場合とある場合
抜歯後の傷口に感染が見られず、痛みもわずかな場合はあえて強力な洗浄用の消毒液は使いません。
傷口にたまった食べ物や汚れの塊である食渣などを洗い流すために生理食塩水やわずかな消毒作用を持つ消毒液で洗浄するのみにとどまります。
例えば経過が良好な傷口に対して強力な消毒薬であるイソジンで消毒をすると逆に傷口の治りが遅延してしまいます。しかしながら、傷口に細菌感染が見られる場合は感染を抑えるためにイソジンで強力に消毒を行う場合もあります。
このような抜歯後の傷口に細菌感染が見られるような場合はしっかりと消毒をして、必要であればさらに抗菌薬を処方するなどの対処が取られますが、傷口に痛みも感染も見られないような場合はいたずらに傷口に刺激を加えるような事はしません。
ドライソケット
ドライソケットは強い痛みの伴う状態なのですが、傷口の細菌感染による痛みとは別物となっています。
ドライソケットの本態は抜歯をした後の傷口にうまく血餅ができずに抜歯をした後の骨の一部がむき出しになってしまっている状態です。
外側から見ても分かりづらいのですが、ゾンデと呼ばれる器具で抜歯窩を触るとゴリゴリっとした骨の感触を感じられるのと同時に痛みを感じるのが特徴です。
痛みの種類としては骨の奥でジンジンするような鈍い痛みが継続して起こるという特徴があり、これは抜歯窩の中の露出した骨が痛みを引き起こしています。このような場合は傷口にうまく血の塊である血餅が作られておらず治癒が遅れている事を意味します。
そのため、洗浄によって過剰に傷口を洗いすぎるとさらに血餅の出来を遅くして治癒を送らせてしまうので洗浄自体は過剰に行わず、傷口に抗菌薬の含まれた軟膏などを入れて処置を終わる場合があります。
ドライソケットはレントゲンで骨密度を確認する事であらかじめある程度予測する事もできますが、抜歯後に口をすすぎすぎる事でなる場合もあるので必ずしも骨密度の確認のみから予測ができるわけではありません。
このように抜歯後の洗浄、消毒といっても傷口の経過によって洗浄の方法や使う薬液がガラリと変わるのです。
(関連記事:親知らずなどの抜歯が難しくなる要素)
本記事と合わせて「阿部歯科 親知らずと抜歯専門サイト」の特別ホームページにて抜歯に関わる様々な情報を掲載していますので是非ご覧ください。
※※※ 審美歯科・口腔外科・歯周病治療は千種区にある歯医者の阿部歯科 ※※※