緊張すると口が渇く事がありますよね。口の渇きは唾液腺から分泌される唾液の影響によるものですが、今回は口の中の渇きに影響する唾液腺についてお話をしようと思います。
大唾液腺
唾液を分泌する唾液腺には大唾液腺と小唾液腺があります。大唾液腺には、耳下腺、顎下腺、舌下腺という3種類の唾液腺があります。名前の通り位置的には耳の下、顎の下、舌の下にありこれらの大唾液腺から多くの唾液が分泌されています。唾液腺にも唾石という石ができる事があり唾石が唾液腺の腺体内もしくは導管内にできると唾液がうまく出なくなったり感染を起こして激しく痛む場合があります。この場合に唾液腺を指で押してみる事で唾液がうまく出てくるかどうかを確認して唾石の有無を確認することもあります。これらの唾液腺の分泌する唾液の出口は決まっており、それぞれの場所からうまく唾液が出てくるかを確認する事で唾液の分泌状態を確認する事もできます。口の中の唾液でもサラサラのものと粘り気があるものがありますが、耳下腺からはサラサラの唾液である漿液性の唾液が、耳下腺からは粘り気がある粘液性の唾液が、顎下腺からは漿液性と粘液性の唾液の両方が分泌されてこれらの唾液の割合で口の中の唾液のサラサラ感や粘り気が決定してきます。これらの唾液腺の一部分は顔の外から触る事で触診する事も可能で、唾液腺に炎症が起きてるかを触診で確認する事もあります。
小唾液腺
小唾液腺はその場の通り大唾液腺とは違い小さな唾液腺の集団です。小唾液腺は口腔内の様々な部位に存在しており唇や舌の下部、頬や口蓋といった様々な部位に分布しています。唇を噛んだりなどして小唾液腺の導管部が損傷するとその損傷部位から唾液が漏れ出して唾液の溜まりを作ってしまう粘液嚢胞という偽嚢胞を作る場合があります。下唇にできる場合を下唇粘液嚢胞と呼び下唇を噛む癖のあるお子さんに見られる事があります。舌の先の舌尖下面に粘液嚢胞ができる事もありこの場合は特別にブランディンヌーン嚢胞と呼びます。舌の下面に円形のできものができるので舌に何かができたと心配されて受診される患者さんもいます。これらの粘液嚢胞は破れて中の唾液が排出されると潰れてしまうのが特徴ですが潰れてもまた唾液が貯留をして再び腫れてくる事がほとんどです。
これらの普段あまり意識しない唾液にもそれぞれに分泌する場所があり、その分泌される唾液にもサラサラな漿液性の唾液と粘り気のある粘液性の唾液にわかれているのです。
執筆者:名古屋市千種区の歯医者 阿部歯科