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歯医者さんのドリルの安全性の工夫

ベアリング.jpg

歯医者さんで使うドリルには安全性や痛くないように治療できる様々な工夫が含まれています。

削る際の振動を抑えたり怖い気持ちが少しでもなくなるようにドリルから出る音を工夫したりと様々な技術が取り入れられています。

そういったドリルの進化の中でかつては使われていたのに様々な理由で消えていった技術もあります。

その一つがドリルの種類の一つのエアータービンハンドピースに使われるエアーベアリングの技術です。今ではほとんどがボールベアリングに置き換わってエアーベアリングを採用しているエアータービンハンドピースはほぼなくなっています。

30、40年前はまだまだ使われていたエアーベアリングの歯科用ドリル

ベアリングというのはドリルの刃を回転させるための軸を支える軸受けの事です。

ベアリングには元々空気の圧力によって作られた薄い膜で軸を支えるエアーベアリングと小さな球で軸を支えるボールベアリング用の2種類が採用されていました。

かつてのボールベアリング方式はベアリングの潤滑をよくするために歯科用ドリルであるエアータービンハンドピースを使用する際に潤滑油のオイルをオイルミストとして使用と同時に噴霧していましたがエアーベアリング方式の場合はその必要がなく、それぞれに欠点と利点が混在しており両方のベアリング方式が使われていました。

しかし、今やエアータービンハンドピースのベアリングはボールベアリングがほとんどを占めていますがこれにはボールベアリング方式の進化とエアーベアリング方式の安全性の大きな弱点が関係しています。

 

昔はそれぞれに利点と欠点があった

エアーベアリング方式を使ったドリルは歯を削る時はボールベアリング方式よりも高速で回転させる事ができて歯の切削効率も優れていました。

エアーベアリング方式が1分間に50万回転(500,000 rpm)で削れるのに対してボールベアリング方式では1分間に30-40万回転ほど(300,000-400,0000 rpm)とドリルの回転速度に大きな差がありエアーベアリング方式の方がより早く削れて切削効率の良さから治療時間を短縮できる利点がありました。

しかしエアーベアリング方式は圧縮空気でドリルの刃の軸を支えるという特性上、常に高い空気圧を維持する必要があるうえにドリルの刃を強く押し上てるとベアリングとなる空気の膜が乱れてとたんに回転速度と歯を削る力であるトルクが減少するという欠点がありました。

一方でボールベアリング方式では回転速度はエアーベアリング方式にかなわないものの刃を押し当てても回転数の減少は少なく、強いトルクを維持できるという利点がありましたが削る際にオイルミストを使用してベアリングの潤滑を維持する必要性もありました。

エアーベアリングの刃は急には止まれない

今やほとんどがボールベアリング方式に変わったエアータービンハンドピースですが決定的な変化はボールベアリング方式にセラミック球が使用されはじめた事に始まります。

1970年代までオイルミストを必要としたボールベアリング方式のエアータービンハンドピースはベアリングの改良により常にオイルミストを出しながら削るのではなく定期的にオイルを注油する事で対応できるようになり、さらには鋼鉄製のベアリングの球に変わって1991年になるとセラミック球を使用したベアリングが登場しはじめました。

セラミック球を使ったベアリングは鋼鉄製の球を使ったベアリングよりも比重が軽くベアリングの球にかかる遠心力をより減らす事ができたためボールベアリング方式のエアータービンハンドピースの回転数をより上げる事ができるようになり、さらに鋼鉄製の球ほどのオイルの注油も必要なくなりました。

これによってボールベアリング方式でより高速によりトルクが高くより清潔に治療ができるように進化したのです。

一方で、今ではすたれてしまったエアーベアリング方式の歯科用ドリルですが回転数の低下やトルクの低下といった弱点の他に非常に大きな弱点がありました。

それが歯を削ってドリルを止める時にドリルの刃がなかなか止まらないという弱点でした。

歯が回っている間は危ないので口の中からハンドピースを取り出す事ができずにいました。

時間にしてエアーベアリング方式のドリルではおおよそ5秒くらい刃が止まらない一方で、ボールベアリング方式のドリルでは2秒ほどで刃が取り出せるという大きな差がありました。

このような安全面の差と常に回転数を高く保たないと安定しないエアーベアリング方式に対して、回転数が落ちても安定しやすいボールベアリング方式の特徴の差が現在ほとんどのエアータービンハンドピースがボールベアリング方式で採用されているという現在の状況に繋がっているのです。

今池から5分の歯医者の阿部歯科ではどのような歯科治療の器具がより安全性が高いかについても関心を持っているので、このようなドリルの進化についても興味が非常に持てます。

参考文献:

1) The development of the dental high-speed air turbine handpiece. Part 2. J. E. Dyson, B. W. Darvell. Aust. Dent. J. 1993.

2) Comparison of rotational speeds and torque properties between air-bearing and ball-bearing air-turbine handpieces. M. Taira, et al. Dent. Mater. J. 1989.

3) The dental handpiece – a history of its development. R. R. Stephens. Aust. Dent. J. 1986.

 

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