こんにちは、千種区池下の歯医者の阿部歯科です。
家で急に歯が痛み出した時にどうすればいいのかわからない時がありますよね。歯が痛い時に痛み止めでなんとか抑えようとする患者さんもいますがなかなか痛み止めだけで痛みがおさまらない時もあります。そこで今回は「歯が痛み出した時に痛み止めを飲めばいいのか?」という話題でお話をしようと思います。
歯の痛み
歯の痛みにはう蝕(虫歯)による外部からの刺激や知覚過敏、咬合性外相、歯髄炎、根尖性歯周炎、歯周病など様々な痛みがありますが大きく分けると外部からの刺激によって神経が刺激される疼痛と炎症による疼痛の2種類に分けられます。外部刺激による疼痛はう蝕(虫歯)の部位が刺激されたり知覚過敏による刺激であったり、外部からの刺激による痛みなので一過性である事が多く歯髄炎に移行しなければ一過性の痛みである事が多いです。この場合は外部からの刺激を遮断しないと痛みが取れることは基本的には なく、痛み止めとはあまり関係ない刺激なります。ただし刺激を受けた後の疼痛が一過性ではなく後に引くような場合は歯髄炎に移行している場合があります。咬合性外傷とは歯をかみ合わせた時の干渉が強く歯根膜に炎症が起きる歯根膜炎が起きている状態です。この場合も咬頭干渉などの原因を取り除かないと基本的に咬合性外傷の状態は解消されませんが一時的に歯根膜炎を解消するという意味で痛み止めは有効となる場合もあります。
急性の歯髄炎、根尖性歯周炎の状態では何もしてなくても激しい疼痛を感じる事が多いのですが患者さん自身は特にこの場合に痛み止めを飲もうとする事が多いと思います。この状態では炎症によって血管拡張、透過性の行進、組織の腫脹、発赤などが起こり炎症部位で内部圧力が高まり激しい痛みを感じます。この状態の発端は細菌感染と炎症によるものなのですが痛みの最大の原因は炎症部位での内部圧力の上昇によるものなので歯科治療的に圧力を抜かないと痛みがなかなか引きません。そのため痛み止めでこの状態をコントロールする事は難しい事が多いです。
歯周病の場合は急性もしくは慢性の炎症による痛みを感じている状態なのですが、痛み自体は痛み止めを飲むことで和らぐ可能性があります。しかしながら、歯周病は細菌感染による感染症なので痛み止めで痛みを抑えているだけでは最終的に痛みが引くことはほとんどありません。
歯以外の痛み
歯原性であるものの顎骨や上顎洞に炎症を起こして疼痛を感じる場合もあります。この場合は炎症部位の圧力が瘻孔などによって抜けているかどうかでも変わりますが鋭く拍動性の疼痛がなく鈍い痛みがある場合は痛み止めで多少は痛みが和らぐ可能性もあります。
いずれの場合にしても痛み止めの効力頼みで、根本的な治療ではないためあくまでも一時的な対処となってしまいます。そのため歯科医院で確実に診断を受けた上で適切な処置を早めに受ける必要がいずれにせよ必須となってきます。