世の中で科学や技術が進化するように歯科医療でもその治療方法や治療薬は日々進化していますがそもそもその治療方法や治療薬はどういった経緯でできたのか?本当にその方法は正しいのか?といった行われている歯科医療の科学的な正しさの確認がどのように行われているのか、といった点についてお話をしようと思います。
本当にその治療方法は正しいのか?
歯科医療の治療の中にも同じ疾患に対して歯科医師によって違ったアプローチをする場合が多々あります。例えば歯の神経の治療をした際にどのような薬を詰めるのか、どのように治療していくのかが歯科医師によっては違う場合があります。これらの治療がどのように決められ、科学的な正しさがどのように確保されているのかという事が今回のお話の本題です。
卒業後に歯科医師が臨床をはじめてその後患者さんを見ていく上で治療のベースとなるのは歯学部で習った事となります。その習った歯科治療の考え方や技術がベースとなり治療が行われていくのですが時間の経過とともに材料も治療技術もどんどん進化していきます。その際にどこで新しい情報を手に入れるかですが、多くは学術的な雑誌を読んだり講習会に出たり学会に参加したりなどして技術を取り入れていきますが、これらの学んできた方法の科学的な正しさがどのように担保されているのかという事はあまりよく知られてないかもしれません。
新しい治療方法や技術や治療薬は論文の発表からはじまる
新しい技術は論文に発表されてそこからはじまるというのはなんとなく感じられるかもしれませんが、論文に発表されたイコール必ず科学的に正しいというわけではないという事を十分に注意する必要があります。実は論文が科学的に正しいと確認されるにはステップがあります。実はこのステップが例えば山中伸弥先生のiPS細胞がすごく革新的だったのに瞬く間に世界に広がった理由になります。実はよくよく考えてみればそうだろうと皆さんが感じる事なのですが、その理由は「関係のない第三者が論文に書かれている方法を試してみて同じ結果を得られた」という事です、これを追試に成功したと言いますが他の人がやっても成功したというステップが科学的に正しい証明となるのです。聞いてみれば当たり前と思うかもしれませんが、この追試成功のステップは極めて重要でこの追試が成功していないと科学的に正しいと認めてもらえません。
論文に書かれていて追試が成功していてはじめてその治療技術や治療方法が科学的に正しいと言えるのですね。そのため新しい治療技術や治療方法を取り入れる際は元々の根拠となった論文がその後の他の第三者の論文でも同じ結果が得られているか確認する事が科学的に正しい歯科医療を提供する上で大切となるのです。
そのため新しい治療技術や治療方法を取り入れる際はしっかりと科学的な正しさを確認する事が大切になってくると考えています。
執筆者:千種区の歯医者 阿部歯科 阿部利晴
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