今日は、もしかしたらみなさんの多くも不思議に思っているかもしれない「なぜ歯医者さんは木曜日が休みなのか」という話題についてお話をしようと思います。もちろん、木曜休みではない歯医者さんもありますが歯医者さんは多くが木曜日が休みですよね。当医院でも祖父が千種区に阿部歯科を開院してから長く木曜日は定休日となっていました。
会合の関係?
木曜日休みではない歯医者さん同様、阿部歯科も木曜日の診療を行いますが多くの歯科医院では木曜日が休みとなっています。これは一体何故なのでしょうか?歯科の勉強会や会合などは木曜日や土曜日に行われる事が多くなっており、千種区でも歯科関連の会合や定期の行事は木曜日もしくは土曜日に集中してきます。そのため木曜日は何かしらの用事で予定が埋まってしまう歯医者さんが多いです。
それでは、勉強会や会合が木曜日に集中するから歯科医院の多くは木曜日が休みなのでしょうか?現在の状況に限っては理由の一つはその通りだと思います。院長が会合に出席するためには、院長が不在でも歯科医院が通常通りに診療を続けられる必要がありますが、院長と同等の歯科医師が院内に滞在していないとうまく院長不在で診療を続けて行くのが難しくなってしまいます。阿部歯科の場合は、院長と副院長という役職と立場上の違いは設けておりますが診療においても治療の指針のすり合わせを行う事で診療体制に差が生まれないように制度を作っております。歯科医院でそういった制度を確立するにはかなり多くのハードルもあり、そのため院長が不在となる木曜日は歯科医院が必然的に休みになる日が多いのでしょうね。では、歯科医師の集まりなどの会合があるから歯科医院の多くが木曜休みになったのでしょうか?
木曜日の休みは元々技工日だった?
実は木曜休みになる元々の理由は別にあったという話があります。それは、「技工日」という日が木曜日に設けられていたという話です。「技工日」とはなんでしょうか?「技工日」とは歯の詰め物や被せ物、入れ歯などを実際に作る日です。今は、ほとんどの歯科医師は技工物を外注で出していますが、私の祖父の時代は自分たちで技工物をほぼ全部作っていたという話を聞きました。中には、学生さんを住み込みで住まわせてその人に技工物を作ってもらう代わりに、学生さんの学費を出していたという話も聞いたことがあります。
実際、歯科医師である私の祖父の遺品の中には数多くの歯の詰め物や被せ物、入れ歯を作るための道具がありました。私も愛知学院歯学部の学生の時には技工物を作る実習をしましたが歯科医師になってからはほとんどの歯科医師がそうであるように技工所への外注、もしくは院内技工士さんに技工物を作ってもらうというようにしております。しかし、祖父の時代はほぼ全部技工物は自分で作っていたようで技工に必要な機材だけでなく、技工に必要な材料も数多く遺品の中で目にしました。祖父は私が中学生くらいの頃までは現役で働いておりましたが、その頃になると流石にもう自分で技工物を作ってはいないようでしたが、祖父がまだ若かった頃はどうやら技工物のほとんどは自分で作っていたようです。
これは特別なことではなく、明治生まれの祖父が若い頃は歯科医師が技工日を設けて、その日に技工物を製作する、という事を行なっていたようです。その「技工日」が、木曜日であり、月火水と診療して、木曜日に技工物を作り、金土と診療をする、という流れだったようです。そのため、木曜日が休みだったのではなく、「木曜日は診療以外の技工の仕事をする日だった」というのが歯医者さんは木曜日が休みになるというように認識されるようになったと一説で言われています。
色々な業種でも特定の休みが決まっている事もしばしばですが、歯医者さんに関してもこのような理由があって木曜休みが多くなっていったのかもしれません。他にも、もしかしたら色々と「歯医者さんの木曜休みが定着した理由」説がまだまだあるかもしれませんね。