親知らずのスペシャリストとして
数多くの治療経験があります


「予防歯科への想い」等 是非とも
患者様へご覧いただきたいコラム


当歯科医院 副院長は数多くの
歯科医療の論文を執筆しています

千種区の痛くない歯医者

〒464-0074
愛知県名古屋市千種区仲田2-18-17

【電話予約】
TEL : 052-751-0613

平日遅め・土日は予約が
取りづらくなっています。
早めのご予約をお勧めします。

駐車場:あり

地下鉄池下駅より徒歩5分、
今池駅から6分

こちらはコラム記事になります。
一部、当院で行っていない治療もご紹介しております。
ご了承くださいませ。

虫歯って昔もあったの?

千種区の阿部歯科では予防歯科に力を入れていますが、
予防歯科で気になる虫歯っていつからあったのかという話をしようと思います。
虫歯や歯周病は原始時代からすでにあった事が分かっていますが、
古い時代の口腔内細菌の状態を調べる研究も進んでいます。

歯に残る歯石などからかつての口腔内細菌の痕跡をたどる事でどのように口の中の細菌が変化していったか
を調べる事で虫歯や歯周病の広がりが変わっていったのかを知る手がかりとなります。

日本においても縄文時代、弥生時代から現代への移り変わりで
虫歯や歯周病の広がりといった変化が起きています。

虫歯が広がりはじめた

おおよそ1万年前から2500年前の狩猟生活をおくっていた
縄文時代の日本人の歯の痕跡を確認すると虫歯の割合はおおよそ8%が確認できます。

一方で農耕生活がはじまる弥生時代になると
虫歯の割合はおおよそ16~20%と急激に増え、
古墳時代、室町地代、江戸時代に移り変わっても虫歯の割合はおおよそ10~15%
と狩猟生活を送っていた縄文時代とは変化がみられる事が分かります。

一方で平均寿命が15歳、
人生の長さは30年
と言われる縄文時代で現代の虫歯とは大きく違った特徴がみられます。

現在では30歳においては歯が摩耗(咬耗)している量はある程度限られており、
虫歯も嚙み合わせの面に認められますが、縄文時代では咬耗がすすんでおり、
嚙み合わせの面の虫歯は少なくむしろ歯の根の部分(歯根)に虫歯が多く認められる事が分かっています。

現代では高齢者において歯根の部分に虫歯がみられる事がしばしばあり、
歯周病によって歯肉が下がる事で歯面が露出し歯根が虫歯となります。

一方で縄文時代では30年の人生においても歯周病がすすむ速度が速く、
その結果現代の高齢者のように歯根が歯周病によって露出して
虫歯ができるようになったと考えられています。

嚙み合わせの面の虫歯においては縄文時代といった狩猟生活の時代では
食べ物の調理自体が限られており、
その結果未調理の食べ物を多く噛む事によって咬耗がすすみ歯の嚙み合わせの面にできた
小さな虫歯も咬耗とともにすり減ってなくなっていくため
嚙み合わせの面には虫歯がすくなくなっていると考えられています。

食生活で変化する虫歯の発生率

食べ物の種類によって虫歯への影響が大きく変わる事はよく知られた事ですが、
縄文時代では魚や肉類の他にもナッツやクルミといった植物類もよく食べられていました。

このような食べものは未加工になればなるほど虫歯になりにくく、
調理技術がすすむにつれて虫歯の罹患率があがっていく事となります。

一方で現代では予防歯科といった口腔衛生が発達しているのに対して
古い時代ではそういった口腔衛生観念が弱く、
縄文時代においても歯槽骨が大きく溶けており
非常にすすんだ歯周病が多く確認されています。

そのため、縄文時代の口腔内のトラブルは
もっぱら歯周病によるところが大きかったのではないかとも思われます。
縄文時代では歯は道具としても使われていたため、
歯がグラグラになる歯周病は生活の上でも大きな不便をもたらした可能性があります。

そして、現代の歯周病よりも
縄文時代ではさらに早く歯周病がすすんでいた事が分かります。
弥生時代に入っても
歯周病が大きくすすんでおり
歯根面の虫歯が同じように多く認められており、
古代においては虫歯の様式としては歯根の虫歯がより広くすすんでいた
と考えられています。

江戸時代にもなると調理技術が発達してきており
咬耗の減少にあわせて嚙み合わせの咬合面への虫歯も
広く認められるようになってきました。

鎌倉時代や江戸時代にもなると
歯の嚙み合わせの面にできる虫歯の割合は現代と大差はありません。

食生活による影響が大きくかかわっており、
食べ物の種類によって虫歯の発生率が変わるという事は
江戸時代の職業からも見て取れます。

江戸時代の武士階級と庶民階級での虫歯の発生率を調べると
武士階級の方が虫歯が少ない事が分かっており、
この差は食べ物の種類や歯磨きといった
口腔内衛生の習慣などの要素が関係しているのではないかと考えられています。

江戸時代にはすでに砂糖を使った甘い食べ物が普及しており、
歯磨きの習慣もできているものの現代のような歯ブラシや歯磨き粉の摩耗性とは大きな違いがあり、
江戸時代の人の歯からは歯の外側だけがやけに摩耗した
現代ではあまり摩耗する事のないタイプの歯のすり減りが確認できており、
歯磨きの仕方やその影響が現代とは大きく違っている事が分かります。

日本人の過去からの口腔内の状態を確認すると
歯周病は縄文時代から大きな問題となっていた事が分かる一方で
虫歯は現代になるにつれて広がりが大きくなってきた事がよく分かります。

参考文献

  1. 1)Dental caries prevalence as evidence for agriculture and subsistence variation during the Yayoi period in prehistoric Japan: biocultural interpretations of an economy in transition. Temple D.H., et al. Am. J. Phys. Anthropol. 2007.
  2. 2)Dental Caries in Japanese Human Skeletal Remains. Fujita H. J. Oral Biosci. 2009.

カテゴリー

  • 歯医者さんの豆知識