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クロルヘキシジンを含んだうがい薬の歯周病への効果

グルコン酸クロルヘキシジンの効果.jpg

予防歯科に力を入れている千種区の歯医者の阿部歯科では、

予防歯科の一環として歯磨きと一緒に洗口液を使う事を勧める場合もありますが、

口腔内の洗口液の成分にグルコン酸クロルヘキシジンという成分が使われる事があります。

グルコン酸クロルヘキシジンの歯肉炎や歯周病に対する効果は研究が進んでおり

1970年代には歯科領域で使われるようになって、

プラークの形成を阻害したり炎症を抑制する効果が複数確認されています。

 

しかし、このグルコン酸クロルヘキシジンの使用に関して、

歯周病発生のメカニズムが口腔内の共生細菌が悪性度の高い状態にシフトする事によって発生するという

ここ数年で判明してきた事を踏まえて再評価がされています。

洗口の際にグルコン酸クロルヘキシジンの成分は使った方がいいのか?

グルコン酸クロルヘキシジンがプラークの形成や炎症を抑えるという効果は広く確認されていますが、

どのように効いているのかという事に注意を払わないといけません。

グルコン酸クロルヘキシジンの影響を受ける細菌の範囲は広く様々な細菌に対して効果を発揮する一方で

悪性の細菌にも良性の細菌にも区別なく効いてしまうという問題点も実は存在します。

 

歯周病の発生の基本的なメカニズムが細菌叢(細菌の種類の分布)が悪性に変化する事によって起きる事(dysbiosis)が分かってから、

どのような処置が細菌叢に変化を及ぼすかという事が調べられるようになってきました。

グルコン酸クロルヘキシジンの使用によって細菌組成の変化や活動が変化するという事が分かっている一方で、

一部の例において悪性度の高い細菌が逆に優勢になってしまう事もあるとも報告されています。

 

この問題はターゲットとする細菌が口腔内にとって悪性の細菌のみではなく、

不必要に良性の細菌にも影響してしまう可能性を意味しており、

健康で口腔内の環境と共生が取れている状態(symbiosis)を崩してしまう可能性を示唆しています。

そのため、不必要なタイミングで使ってしまうと逆に整っている口腔内の環境を

逆に崩してしまう恐れがあるという事になります。

細菌叢自体は簡単には変化しない

グルコン酸クロルヘキシジンが口腔内にとって良性の細菌に対して影響した場合は

逆にデメリットが出る可能性はありますが、

元々形成されている口腔内の細菌叢は簡単に変化させる事はできるわけではなく、

効果は一時的なものに留まるとされています。

 

しかし、一方でグルコン酸クロルヘキシジンの使用によって

虫歯の原因ともなる口腔内を酸性にしうる細菌が増える可能性も指摘される事があります。

それでも、グルコン酸クロルヘキシジンの使用によって

Porphyromonas gingivalis(ポロフィロモナス・ジンジバリス)やFusobacterium nucleatumといった歯周病を引き起こす細菌や

Streptococcus mutans(ミュータンス菌)やActinomyces属(アクチノマイセス属)といった虫歯を引き起こす細菌を細菌を減らすとも言われます。

 

歯周病や虫歯の発生が単独の細菌ではなく、

様々な細菌による口腔内環境との共生状態が崩壊する事で起きるという事が分かるようになってきて

特別にこの細菌だけを抑えれば歯周病や虫歯を抑制できるというわけではない事が分かってきているのです。

 

そのため、歯周病が発生している場合には一時的に悪性度の高くなった口腔内の細菌組成を崩すという意味で

グルコン酸クロルヘキシジンの使用を行う事は有効かと思われますが、

日常的に健康な状態で使い続けた場合は逆に共生状態の取れている良い口腔内環境を崩してしまう可能性もあるため、

その使用には注意しなければいけない部分もあります。

 

それでも、グルコン酸クロルヘキシジンの使用は臨床的にも歯周病や歯肉炎に効果があると確認できる事も多いため、

適切なタイミングで適切に使う事でその効果を最大限有効に使う事も可能となります。

 

参考文献:

1) Effects of a Chlorhexidine Gluconate-Containing Mouthwash on the Vitality and Antimicrobial Susceptibility of In Vitro Oral Bacterial Ecosystems. Andrew J., et al. Appl. Environ. Microbiol. 2003.

2) Effects of Chlorhexidine mouthwash on the oral microbiome. Bescos R., et al. Sci. Rep. 2020.

3) Oral biofilms exposure to chlorhexidine results in altered microbial composition and metabolic profile. Chatzigiannidou I., et al. NPJ Biofilms Microbiomes. 2020.

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