今回は歯の清掃の中でもよく使われるデンタルフロスに注目してお話をしようと思います。
記事の追記:2019年10月4日
デンタルフロスにも種類がある
皆さんはデンタルフロスは使われていますか?「糸ようじ」と言われたりもしますが、プラスチックに弓状についているものや巻糸状になってるものがありますね。患者さんには使いやすい使いにくいなど色々とあると思いますが、私は巻糸状になっているデンタルフロスを使う事をおすすめします。理由は、プラスチックに弓状にデンタルフロスがついた糸ようじだと糸の部位についた汚れがついたまま使わないといけませんが、巻糸状のデンタルフロスだと汚れた部位を変えながら使えたり、歯と歯の間に入れたデンタルフロスを横から滑らせるように取ったりと応用の幅が広がるからです。
ただ、巻糸状のデンタルフロスだと自分の指に巻いて使うので慣れが必要です。他にも、香りがついたものや太さの違うもの、ワックスがついたものなど色々な種類がありますね。私は、無香料でワックスのついたものを使っていますが、理由はワックスがついていた方が滑らかに歯と歯の間に滑り込むからですが、香りも含めて好みもあると思います。ワックスがついていない方が汚れを絡め取る能力は高いのですが、ちょっとした引っかかりに引っかかって糸がほつれる事があるので、私はワックス付きのデンタルフロスを使っています。
デンタルフロスの使い方
さて、そのデンタルフロスですが皆さんはどのように使っていますか?
歯と歯の間に滑り込ませてそのまま手前と奥にザッザッと動かしてから取り出していますか?爪楊枝のようになんとなく食べ物が取れるように使っていますか?
デンタルフロスの役割の一つに、歯ブラシでは届かない場所の掃除をする、というものがあります。それが歯と歯の間ですね。では、汚れはどこにたまるかというと、歯の表面ですがそれは、デンタルフロスを滑り込ませた歯と歯の間の前側と後側の歯の表面ということになりますね。つまり、デンタルフロスを前の歯、もしくは後ろの歯の表面に押し付けながら汚れを取らないといけないという事です。そして、汚れを歯茎の中に押し込んではダメなのでデンタルフロスは歯の表面に押し付けながら歯茎とは逆の上方向に汚れを掻きださないといけないという事です。
そのため、デンタルフロスを使う場合は歯と歯の間に入れた後に手前か奥かどちらか片側の歯の歯茎近くの表面にデンタルフロスを押し当てて、そのまま歯の表面に当てながら上に汚れを掻き出し、続いてもう片方の歯の表面でも同じように汚れを掻き出す事が大切となるわけです。
この時に、同じ汚れたデンタルフロスの部位を使ってしまうと汚れの一部が歯茎の中に押し入れられてしまうため巻糸状のデンタルフロスだと汚れた部位を変えながら使えて常に綺麗なデンタルフロスの部位で汚れを取る事ができるわけです。デンタルフロスは、なるべく歯茎の近くから当てるようにするといいのですが、あまり強く歯茎の中に押し込むように当ててしまうとかえって歯茎を傷つけてしまう事もあるため注意が必要です(関連記事:デンタルフロスを使って痛い場合はどうすればいいのか)。
しかしながら、巻糸状のデンタルフロスは指にクルクルっと巻いて使わないといけないため使うのに慣れが必要なので、最初はプラスチックに弓状についた糸ようじを使ってもいいかもしれませんね。プラスチックに弓状についた糸ようじで汚れの取り方に慣れてから糸状のデンタルフロスに変えていけばいいかもしれません。
デンタルフロスの便利な使い方
他にもデンタルフロスの使い方には色々と方法があります。例えば、差し歯をされている患者さんもいるかと思いますが、歯が弱っていて差し歯が取れないか心配な場合は、歯と歯の間に入れたデンタルフロスをあえて上方向に取り出さずに、優しく横からスルスルっと滑るように取り出す方法もあります。この方法は、プラスチックについた弓状の糸ようじではできないため巻糸状のデンタルフロスを使う必要が出てきます。
ブリッジを入れられてる患者さんの場合は、横方向からスルスルっとブリッジの下に滑り込ませてブリッジの下の面の汚れを取ってあげる、なんていう方法もありますが、この方法はデンタルフロスの糸の先端を見ずにブリッジの下に滑り込ませないといけないため、かなり難しい使い方になります。デンタルフロスの使い方に慣れた上級者でもなかなかできないかもしれません。
さらに、デンタルフロスはなにも歯と歯の間だけでなく、一番奥の歯の後ろ側を綺麗にする事にも使えます。
上と下の一番奥の歯の奥側は歯ブラシではなかなか届きませんが、糸ようじやデンタルフロスを使うと奥側の歯の表面にもアクセスする事ができるので綺麗にする事ができます。
デンタルフロスの使用頻度
デンタルフロスは毎食後に使うのが理想的なのですが、全ての歯に使うにはそれなりに時間がかかるので夜寝る前の最後の歯磨きの際に使うといいと思います(関連記事:正しい歯磨きの回数や時間は?)。デンタルフロスは歯磨きと同じような役割も担っているのでたまにやると言うよりも1日1回使ってあげると歯磨きの質が大きく向上します。
このように、デンタルフロスをうまく使いこなせば、歯ブラシではあまり磨けなかった色々な部位の汚れを取る事ができるようになります。今までデンタルフロスを使う事がなかった方も一度デンタルフロスにトライしてみたり、デンタルフロスの新しい使い方を試されてみてはいかがでしょうか?
☆☆☆ 土曜日曜も診療、口腔外科・歯周病治療・審美歯科は千種区の歯医者の阿部歯科 ☆☆☆