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口の中の細菌感染に抗生物質はこの先将来も効くのか

口腔内レジストーム.jpg

細菌の抗菌薬(抗生物質)に対する耐性菌の問題が世界的にも注意されていますが、口腔内の感染に対して抗菌薬は非常に重要な薬と言えます。

虫歯が進行すると歯の神経まで細菌感染を起こし、歯髄や歯根の先端に膿を作る事があります。

膿が大きくなって顔が腫れたり、親知らずが感染したといった場合にも抗菌薬は重要な対処方となりますが、それも抗菌薬が細菌に効くという事が前提になっています。

口腔内の細菌に抗菌薬は効き続けるの?

細菌の持つ抗菌薬耐性の遺伝子の保存にレジストームという概念があります。

レジストームとは抗菌薬に対する多数の耐性遺伝子の総体を示しています。このレジストームの存在が抗菌薬に対する耐性を示す事となります。

様々な抗菌薬に対する多くの遺伝子は細菌の中に保存、受け継がれて、新たな抗菌薬が発見、使用されるたびにあらたな抗菌薬耐性遺伝子が発現していき、その結果耐性菌ができる事があります。

不用意な抗菌薬の使用で耐性菌が生まれる一方で、まだ抗菌薬の存在しなかった時代の口腔内細菌にも様々なレジストームが確認されるため、抗菌薬の使用によってのみこれらの抗菌薬耐性遺伝子が発現したというわけではありません。

抗生物質は元々、真菌などの生物から発見されて自然界に存在したものもあるので、それらに対抗する形で古くから一部の細菌が耐性遺伝子を持ち続けて、保存し続けたという点もあります。

それに加えて、口腔内の細菌に対して抗菌薬耐性遺伝子が新たに増え続けると必然的に口の中の感染性の炎症に対しての効力が下がっていくという事になります。

口腔内の細菌でもβラクタム系、クリンダマイシン、エリスロマイシン抵抗性のある口腔内レンサ球菌が血流に乗って心内膜炎を起こす事も報告されており、口腔内の細菌に対して抗菌薬耐性を持たせないようにする事は体全体から見ても大切な事というのが分かります。

口腔内細菌のレジストーム

原住民や古代の人々から確認されるレジストームを見ると医療的な抗菌薬の処方に関係なく、歯科医院でよく処方されるβラクタム系、マクロライド系の抗菌薬に加えて、アミノグリコシド系、テトラサイクリン系といった様々な抗菌薬に対する耐性遺伝子が細菌から確認されます。

現代人において、サンプルの遺伝子を包括的に解析するメタゲノム解析を行うと口腔内のプラークや唾液中の細菌からβラクタム系、マクロライド系、テトラサイクリン系、アミノグリコシド系、ニューキノロン計、リンコサミド系、ストレプトグラミン系、プレウロムチリンといった多種多様な抗菌薬耐性遺伝子がレジストームとして確認されます。

ただ、これらの口腔内細菌のレジストームが抗菌薬の処方によってもたらされたかという事を確認すると、処方の量とレジストームの量との間には相関関係が発見できなかったと報告されました。

しかし、これは現段階で相関関係が見つけられなかったというだけであって今後常に関係ないという事を意味していません。そのため、今現在有効に活用できている抗菌薬を今後長く使用し続けられるようにするためにも抗菌薬の処方は必要性をしっかり確認した上で適切に使っていく事が大切となるかもしれません。

千種区の歯医者の阿部歯科では虫歯が痛い、歯周病で歯茎が腫れたなどさまざまな患者さんの悩みに対応しています。

参考文献:

1) Pathogens and host immunity in the ancient human oral cavity. Warinner C., et al. Nat. Genet. 2014.

2) The microbiome of uncontacted Amerindians. Clemente J. C., et al. Sci. Adv. 2015.

3) Abundance and diversity of resistomes differ between healthy human oral cavities and gut. Carr V. R., et al. Nat. Commun. 2020.

 

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